同性愛を矯正する心理療法は合憲 アメリカ最高裁 

アメリカは性に開放的な国、と認識されている方もいますが、実際は同性愛者への差別や敵意が根強い社会です。キリスト教関係者が同性愛を「神の教えに背く」と主張し、また「男は男らしくあるべきだ」という男性信仰(マチズモ)が影響しているものと思われます
その結果、アメリカ国内には同性愛者を矯正する施設、というものが大小併せて1万箇所も存在するとされ、主に10代から20代の若者を収容して脱同性愛のための治療を実施しているのだそうです
ただ、そうしたセラピーが本当に有効なのかどうか、人権を侵害するものではないか、などなど論争があります
アメリカの連邦最高裁判所は、同性愛治療を禁止したコロラド州の法律を合衆国憲法に違反すると決定を下し、つまりは同性愛治療のための各種セラピーは合法とのお墨付きを与えた格好です


米連邦最高裁は3月31日、西部コロラド州の州法が未成年のLGBTなど性的少数者に生物学的な性への性自認を促す心理療法を禁じたのは違憲とする判断を下し、下級審に差し戻した。米憲法修正1条が定める表現の自由に対する「著しい侵害」とした。
米最高裁は長官を含む判事9人で構成される。リベラル派判事2人を含む8人が違憲判断を支持。リベラル派の1人が反対した。
コロラド州では2019年、同性愛者やトランスジェンダーの性的自認を変えさせる「転向療法」は効果がなく、有害ですらあるとして禁ずる州法が成立。同州で活動する心理療法士が州を相手取って提訴し、保守系団体が訴訟を支援していた。
コロラド州はリベラル派の民主党支持者が多数を占める州の一つ。19年にはLGBTであることを公表していたポリス知事が就任している。米国では20州以上がコロラド州と同様の州法を施行しており、最高裁判決を受けて対応を迫られることになる。
(産経新聞の記事から引用)


共和党の福音派とされる保守的なプロテスタントの宗派に属する議員たちも、同性愛を容認する社会に反対しており、同性愛者の権利拡大を批判しています。そのため、同性愛者を矯正する施設やそこでの治療を合法とし、正当性を与えたいのでしょう
調べたことはありませんが、おそらくアメリカの書店には同性愛治療のための本が数多く並んでいるものと思います。さまざまな治療法が「効果絶大」と宣伝され、同性愛者を3か月で完璧に治療できるプログラムを提供している、などアピールしているのでは
ただ、こうした矯正施設で実施されている治療が妥当なものか、正当なものかはよくよく確かめる必要があります
例えば、大勢の人の前で同性愛者であることを告白させ、同性愛行為について白状させる…といった羞恥心を煽り自責の念を植え付けるような行為は治療と呼ぶに値しないと考えます。が、こうした方法を有効だと信じ込んでいる人たちがいて、「自分たちは正しいことをしている」と主張しているのですから、ぞっとします
治療ではなく、悪質な洗脳でしょう
そして連邦最高裁は、こうした悪質な洗脳を含む同性愛者治療に合法というお墨付きを与えてしまったわけで(個別の治療方法、その内容については別途、裁判で争う余地があるにしても)、アメリカ社会はますます混迷を深める気がします
以前にも貼りました、Newsweekの記事が同性愛治療の闇について告発していますので、関心のある方は一読願います

「僕は真夜中に拉致されゲイ矯正施設に送られた」...床を引きずられ監禁状態に、全米に1万か所を超える施設が

こうした同性愛者への偏見・差別の根幹にはホモフォビアとかトランスフォビアと呼ばれる問題があります。宗教や社会通念からくる嫌悪だけでなく、自分の中も同性愛的傾向があるのかもしれないという恐怖、懸念が、かえって同性愛者を激しく攻撃し否定しようとする心理機制となって作用すると指摘されています
筋肉ムキムキのマッチョな男性の場合、女性にモテたいという願望だけでなく、実は男性の目を惹きたいとの欲求が根底に隠れているのではないかと己を疑い、それを否定するためにことさら同性愛者を愚弄し、蔑む言動を取る…と考えられるのです

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