ミャンマー拠点に電話詐欺 中国犯罪組織11人死刑判決
日本人の詐欺組織がフィリピンやタイ、カンボジアに拠点を設け、電話詐欺や闇バイトで誘い込んだ者に強盗を指示する事件が相次ぎました。こうした犯罪の形態は日本だけでなく、中国人の犯罪組織も以前から行っていたのでしょう
ミャンマーと中国の国境に近い町を舞台に電話詐欺や違法賭博、薬物売買をしていたミャンマー人の一族が摘発され、その中国側に引き渡されたと報じられています。ミャンマー人ですから本来はミャンマーの裁判所が彼らを裁くべきなのですが、中国政府が強く身柄の引き渡しを要求したものです。彼らは中国の国内法で裁判を受け、11人に死刑判決、5人に2年間の執行猶予付き死刑判決(2年の間は死刑を執行せず、その間に改悛の情が認められれば終身刑に減刑される)、11人に終身刑判決、その他の者には長期刑が言い渡されています
なお、犯罪組織を率いていた一族の長は逮捕される前に自殺したのだとか
中国の裁判所は29日、ミャンマーで詐欺施設を運営していた悪名高い一族の11人対し、死刑判決を下した。中国国営メディアが報じた。
ミン一族をめぐっては、犯罪行為に関与したとして親族数十人が有罪判決を受けていた。その多くは長期刑を言い渡されている。
ミン一族は、中国国境に近いミャンマーの田舎町ラウカイを支配する四つの氏族の一つに仕え、ラウカイを賭博や麻薬、詐欺の拠点へと変貌させたとされる。
ミャンマーは取り締まりを強化し、2003年にこうした一族のメンバーの多くを逮捕。中国当局に引き渡していた。
中国国営メディアの中国中央電視台(CCTV)によると、中国東部の温州市で29日、ミン一族の計39人に量刑が言い渡された。
11人が死刑判決を受けたほか、5人に2年の執行猶予付きの死刑判決、11人に終身刑、そのほかには5年から24年の禁錮刑が言い渡された。
裁判所は、ミン一族と複数の犯罪グループが2015年以降、通信詐欺や違法カジノ、麻薬密売、売春などの犯罪活動に関与していたと認定。100億元(約2000億円)以上を稼いでいたとした。
過去には、四つの一族がそれぞれ運営するカジノが、年間数十億ドルを扱っていると推計されていた。
裁判所はまた、ミン一族とほかの犯罪グループについて、詐欺施設における複数の労働者の死亡にも関与していたと認定した。これには、中国へ帰国しようとする労働者を銃撃した事案も含まれる。
ラウカイのカジノは当初、中国国内の違法賭博への需要に乗じようと開発された。やがて、マネーロンダリング(資金洗浄)や人身売買、数十の詐欺施設へと変化した。
この町は、国連が「詐欺パンデミック」と呼ぶ動きの中心地とされる。10万人以上の外国人(多くは中国人)が詐欺施設に誘い込まれ、事実上の監禁状態に置かれて長時間労働を強いられる。ここでは、世界中の人を標的とした高度なオンライン詐欺が行われている。
ミン一族はかつてはミャンマー・シャン州で最も影響力のある一族の一つで、ラウカイで少なくとも1万人の労働者を抱える詐欺施設を運営していた。最も悪名高い施設では、労働者が日常的に殴られたり拷問を受けたりしていた。
(以下、略。BBCの記事から引用)
ミン一族の支配下のカジノ、売春宿、電話詐欺拠点などで働いていた数千人もの中国人も、ミャンマー警察から中国側へ引き渡されています
電話詐欺の主なターゲットは中国人ですから、中国政府としてはミン一族を許しておくわけにはいかず、ミャンマー政府に圧力をかけて身柄引き渡しを求め、見せしめとして中国で裁判を行った…という経緯でしょう
また、中国はアヘン戦争の苦い記憶がありますので、中国へ麻薬を持ち込もうとする者には容赦なく死刑判決を下します(それでも中国国内の麻薬使用者は1千万人以上と推計されてます。アヘン戦争当時では麻薬施用者が2千万人くらいとの推計があります)
麻薬であれ、買春であれ、違法賭博であれ、中国の富が海外へ流出するのですから、中国政府としては看過できず、今後も強引な取締を行うとともに、海外での犯罪者も身柄引き渡しを求め極刑に処す方針と思われます
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