小金井アイドル刺傷事件を考える 警察が対応不備認める

2016年、シンガソングライターとして活動していた冨田真由さんがストーカーの男に刺され、重傷を負った事件の続報です
犯人の岩崎友宏は懲役14年6月の判決が確定し、服役中です
冨田さんは岩崎受刑者につきまとわれ、警察にも相談をしていたのですが、具体的な対処のないまま被害に遭ったとして警察に対し(警視庁を所管する立場の東京都が訴訟の相手方になります)、損害賠償を求める訴訟を起こしていました
東京地裁の勧告により、冨田さん側と東京都の間で和解が成立する見込みだと朝日新聞が記事にしています。警察側は「対応に落ち度はなかった」との言い分ですが、冨田さんの弁護士によると相場を超える見舞金支払いの打診があり、実質的に警察の対応不備を認めた形と解釈できるのだそうです
先日の川崎市のストーカー事件でも、警察に何度も相談したものの対応が緩慢で被害者女性が殺害される事態となっており、あらためて警察のストーカー対策が問題視されています
もちろん、見舞金を受け取っても何かが解決したわけもなく、冨田さんはシンガーとして人前で歌うこともできず、日常生活にも支障をきたす後遺症を抱えたままです


(前略)
関係者によると、和解案は、警視庁側が「武蔵野署が相談を受けていたところ、被害に遭ってしまったことを重く受け止める」などとして、冨田さん側に「見舞金」を支払うとしている。
■弁護士「対応の不十分さを認める金額」
警視庁側は和解案で、相談を受けた後の対応に「違法性はない」としたが、冨田さん側の代理人弁護士は取材に「見舞金は相場を超える金額で、警察が当時の対応の不十分さを事実上認めたと受け止めている」と説明した。見舞金の額は明らかにしていない。
和解案は、双方ともおおむね合意しており、28日に和解するとみられる。東京地裁が和解を勧告し、今年に入って本格的に協議していた。
冨田さん側は訴訟で、事件が起きた約7カ月後に武蔵野署長から謝罪された点を踏まえ、「警察に対応ミスがあり署長がそれを認めた」とも指摘。昨年10月には、法廷で冨田さんが「(警察に相談したのに)何もしてくれていなかったことを事件後に知って裏切られた気持ちでした」と語った。
冨田さんを刺した男(殺人未遂罪などで懲役14年6カ月が確定)についても、冨田さんは損害賠償を求めており、28日に判決が言い渡される。
■冨田さん「同じ被害起きない対策を」
冨田さんは朝日新聞の取材に応じ、約6年に及んだ今回の訴訟が和解になる見通しを受け、「警察には、同じ被害が起きない対策を考えてほしい」と語った。
事件が起きる前、男につきまとわれ命の危険がある旨を武蔵野署に繰り返し訴えていた。
それなのに、武蔵野署は事件のあと「相談内容から、冨田さんの生命や身体に危害を加える危険性があるとの認識はなかった」と説明。訴訟でも同じ主張を続けた。
(以下、略。朝日新聞の記事から引用)


当ブログで前回、この事件に言及した際、岩崎被告の精神鑑定結果はどうだったのか(人格障害などの指摘がなかったのか)、と書きました
判決文が裁判所のデータベースにアップされており、これを読むと、裁判では岩崎被告の精神状態はまったく争点になっておらず、精神鑑定への言及もありません
弁護人も岩崎被告の精神状態や責任能力について何かを主張し、減刑を得る狙いがなかったと判ります
裁判時、岩崎被告側は冨田さんに200万円の支払いを申し出ており、それを汲んだ上で懲役14年6月の判決が下されたのでしょう(求刑は懲役17年)
今回の訴訟で冨田さん側が警察に対して求めた賠償は7600万円です。金の話ばかりになって恐縮ですが、こうした形で警察に賠償を求めても、請求額の10分の1程度を支払うよう命じる判決が出ればましな方です
なので和解案ではおそらく3000万円程度の見舞金支払いを提示したのではないか、と想像します
警察としては、「ストーカー事件での対応が不十分」とする判決が下される事態をなんとしても回避したかったので、見舞金をはずんだのでしょう。一度でも「対応不十分」との判決が出てしまうと、それが判例となって警察の活動が制約されてしまうためです

(関連記事)
小金井アイドル刺傷事件を考える 控訴取り下げた被告
小金井アイドル刺傷事件を考える 被害者の落ち度で炎上騒動
小金井アイドル刺傷事件を考える 懲役14年6月の判決
小金井アイドル刺傷事件を考える 殺人未遂認める
小金井アイドル刺傷事件を考える 法廷で大声、退廷
小金井アイドル刺傷事件を考える 容疑者は鑑定留置
小金井アイドル刺傷事件を考える SNS書き込みは規制対象外
小金井アイドル刺傷事件を考える 誰がストーカーと判断するのか
小金井アイドル刺傷事件を考える 身近なアイドルという罠
池袋地下アイドル殺害事件 被告に懲役18年求刑
AKB握手会襲撃男に懲役6年の判決
AKB襲撃犯のプロフィールを考える 発達障害
AKB襲撃事件 握手会商法破綻
大人の発達障害 会社で問題社員扱いされる人
三鷹女子高生殺害を考える6 懲役22年の判決
三鷹女子高生殺害を考える2 無職のストーカー
三鷹女子高生殺害を考える1 ストーカー対応
ストーカー殺人の少年が出所後また殺人未遂
同性愛者ストーカー殺人を考える
大学職員がストーカー、同僚を殺害して逮捕