長野ひき逃げ事件 生きていた被害者を遺棄で殺人罪適用
交通死亡事故でも飲酒運転など、重大な法律違反がない限りは業務上過失致死罪として扱われ、そのほとんどは執行猶予付き有罪判決で決着します
しかし、事故を起こしながらも現場から逃げたり、被害者の救護を怠った場合は罪が重くなり、実刑となります
長野県佐久市で高齢男性を車ではねた佐藤英伸被告は、事故の届けも出さず被害者を救護もせず、事故を隠蔽する選択をしました。まだ息のあった被害者を現場から離れた山林に運び放置したのです。被害者は凍死した状態で後日、発見されています
また、現場に戻った佐藤被告はコンビニエンスストアで購入した水を使って路上の血痕を洗い流し、事故の痕跡を消す工作もしています
佐藤被告は「事故を起こしてパニックになった」と主張していますが、とてもパニックを起こした者の行動ではありません
2023年12月、長野県佐久市の県道で85歳の男性が車にはねられ山の中に遺棄されて死亡した事件。検察は、すでにひき逃げなどの罪に問われている32歳の会社員の男を「殺人の罪」で起訴した。
男性をはね、約30キロ離れた山林に
殺人の罪で起訴されたのは、佐久市の会社員・佐藤英伸被告32歳。
この事件は2023年12月、佐久市岩村田の県道で近くに住む当時85歳の男性が佐藤被告の運転する車にはねらたもの。
その後、男性は佐藤被告の車に乗せられ約30キロ離れた長和町の山林に遺棄され死亡した。
男性を運ぶ際「いびきをかいていた」
検察は2024年1月までに、佐藤被告を過失運転致傷とひき逃げの罪などで起訴。
安全を確認しないまま時速72キロで車を運転、道路を横断していた男性をはねて多発性外傷を負わせ、救護もしなかったとした。
ただ、男性の死因は「凍死」で、山林に遺棄された後に死亡した可能性が出ていた。
捜査関係者によると、佐藤被告は男性を運ぶ際「いびきをかいていた」という趣旨の供述もしており、警察は生きていたことを認識しながら山林に遺棄したとして、保護者責任者遺棄致死容疑ではなく、殺人容疑に当たる可能性もあるとみて調べていた。
「死亡するのもやむを得ない」
3月28日、殺人の罪で起訴した検察。
起訴状によると、佐藤被告は適切な治療を早急に受けなければ男性が死に至ると認識しながら、事故を隠ぺいするには死亡するのもやむを得ないと決意。
その後、山林に遺棄し多発性外傷と低体温症により死亡させて殺害したとしている。
死亡しても構わないとするいわゆる「未必の故意」を認め、殺人罪に当たると判断した結果だ。
(長野放送の記事から引用)
当ブログでこの事件を取り上げた際、殺人罪での起訴は難しいのではないかと書きました
この後に行われる刑事裁判でも、殺人罪の適用が妥当なのかどうか、争点になるものと思われます
佐藤被告は殺意を否認し、被害者は既に助からない状態にあると判断した上であくまで「遺体を遺棄したつもり」だったと主張するのかもしれません
ただ、そうまでして事故を隠蔽する行動をしたのはなぜか、です。強いて憶測するなら、佐藤被告は酒を飲んだ後に車を運転し帰宅する途中だったのかもしれません。事故を届け出れば飲酒運転がバレてしまうため、隠蔽しようと考えたのでは?
冒頭で書いたように、過失運転致死であれば執行猶予付有罪判決で決着する可能性があったわけで、わざわざ隠蔽するメリットはないはずです
しかし、飲酒運転がバレて死亡事故を起こしたとなれば実刑判決になります。それを回避したかった…というのが自分の仮説です
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