相模原両親殺害 17歳を少年院送致決定
両親を殺害した事件で横浜地裁に起訴されていた17歳の少年は、「保護処分が相当」とする判決によって横浜家庭裁判所へ送致されていました。検察側の求刑は懲役10年以上15年以下という、不定期刑の上限でした
法制度上、地裁が家庭裁判所へ送致するとの決定に横浜地検は控訴して争うことができません。つまり地裁による家庭裁判所への送致が刑事法上は最終決定となります。前回も書きましたが、実例としては非常に稀なケースです
さて、横浜家庭裁判所はこの少年を「相当長期間の矯正教育が必要」との処遇勧告を付け、少年院送致としています
相模原市南区の自宅で昨年2月、長男(17)が両親を刺殺した事件で、横浜家裁(岸野康隆裁判官)は17日、殺人などの非行内容で送致された長男を第1種少年院送致とする保護処分を決定した。
岸野裁判官は、刃物で多数回刺すなど「非行の問題性は非常に大きい」と指摘する一方、「両親の不適切な養育が原因で、家庭が安心できる居場所になっていなかった影響が大きい。経緯や動機には同情すべき点がある」とした。
その上で「改善更生を図るため、専門的な見地から教育を施すことが望ましい」として少年院に収容するのが相当と判断。期間については「相当長期間を確保すべきだ」とした。
決定によると、長男は高校1年だった昨年2月、自宅で父=当時(52)=と母=同(50)=の首などを刃物で突き刺して殺害した。
横浜家裁は同4月、刑事処分が相当として検察官送致(逆送)していた。少年は起訴されたが、横浜地裁は今年2月、同家裁へ再度移送する決定をした。
(時事通信の記事から引用)
少年矯正の仕組みを知らない方々は、「どうせ20歳で少年院から出てくるのだろう」と思うのでしょう
しかし、上記のように「相当長期間の」と注文が付けられた場合、20歳を超えても少年院に継続して収容する措置が取られます。これは収容継続と呼ばれ(そのままの名称です)、少年院の側から家庭裁判所に申請し、裁判官の決定をもって実施されます。少年法に規定された手続きです
余談ですが、神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇聖斗事件)の場合、医療少年院での処遇経過を法務省矯正局が有識者によるチームの検証に委ね、そこで議論した上で少年院から出院させるかどうか判断しています。本件の場合も検証チームに委ねるかどうかはともかく、それに準じた扱いになるのでしょう
なので、20歳になったらトコロテンのように自動的に出てくる…といった仕組みにはなっていません
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