交際相手の父殺害 相馬被告に懲役20年判決

交際相手である女性の実家を訪問していた相馬寛大被告は突然その父親(80)に包丁で切りつけ、殺害した上に車で逃走。殺害現場となった愛知県知多市から神奈川県小田原市の自宅アパートに逃げ戻ったところを逮捕されました
これまでの裁判で相馬被告は刃物で刺した事実は認めたものの、「亡くなったのか、けがをしたのか、確認が取れていないのでわかりません」と主張していました。また、弁護人は相馬被告が統合失調症であり、妄想に支配されていた可能性があると主張し、責任能力を争う展開になっていました
判決で名古屋地裁は相馬被告の責任能力を認め、検察側の求刑どおり懲役20年を言い渡しています


愛知県知多市で2023年、交際相手の父親を包丁で刺して殺害した罪に問われた男の裁判で、名古屋地裁は3月12日、求刑通り懲役20年の判決を言い渡しました。 
神奈川県の無職・相馬寛大(45)被告は2023年4月、知多市で交際相手の父親の西岡歳一さん(当時80)の首や背中を包丁で突き刺し、殺害した罪に問われていました。
これまでの裁判で弁護側は、事件当時、被告が統合失調症だったと主張して、責任能力が争点となっていました。
12日の判決で、名古屋地裁は「精神異常を窺わせる点は見当たらないばかりか、被害者を確実に殺害する方法を選び取っている」などと責任能力を認め、懲役20年を言い渡しました。
(東海テレビの記事から引用)


当ブログで初公判を報じた記事を取り上げましたが、その後、求刑公判を報じた記事があるだけで、裁判の経過が掴めません。どうにももどかしいところです
弁護側が統合失調症を主張し、責任能力を争点にしたため、相馬被告に対する2度めの精神鑑定が行われたものと推測するのですが(そうでなければ弁護側の主張の根拠がありません)
となれば、検察側の主張の根拠となる「妄想性パーソナリティ障害」との鑑定結果と、弁護側の主張の根拠となる「統合失調症」との鑑定結果の2つが法廷の場に持ち出され、それぞれの鑑定医が鑑定理由について説明したはずです
判決では相馬被告の精神異常を否定し、責任能力があったと結論付けています
「妄想性パーソナリティ障害」は精神障害ではなく人格障害として扱われるため、これで被告の責任能力が否定されたりはしません
相馬被告は交際相手の父親が2人の結婚に反対していることから、「親子は近親相姦の関係にあるのではないか」と邪推しており、そうした疑い深いところが「妄想性パーソナリティ障害」と鑑定された理由の1つかな、と推測します
ただ、相馬被告が西岡歳一さんを殺害して得をする点は何もなく、なぜ唐突に殺害したのか、あるいは最初から殺すつもりで実家を訪問したのか、どうにもすっきりしません。結婚に反対する歳一さんを殺害したところで逮捕されるのですから、結婚に結びついたりはしないのであり、相馬被告にそれが理解できなかったとは思えません
もし、判決文が後日、裁判所の判例データベースにアップされるのであれば読んでみます。また、何か詳細な報道でもあれば言及しようと思います
追記:別の報道によれば判決理由で、被害者が交際相手との関係を妨害しているという被害妄想的な考えは「精神疾患に基づくものでなく、被告の人格の特徴によるものだ」と指摘。精神状態は徹夜明けや無我夢中の状態に近い「催眠性トランス状態」で「行動の自覚はあった」として、心神喪失状態だったとの弁護側の主張を退けた、と伝えています

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