大阪バラバラ殺人 大木容疑者を鑑定留置に

遺体をバラバラに切断する事件は一般に猟奇殺人と受け止められ、犯人は精神異常者ではないのかと思う方も多いのでしょう
ただ、遺体を始末するのに困った結果、運びやすいよう切断して持ち出し遺棄する場合もあるため、一概に異常者による犯行と決めつけるわけにはいきません
大阪で国土交通省職員を殺害し、遺体をバラバラにして遺棄した大木滉斗容疑者の場合はどうだったのでしょうか?
大阪地検は大木容疑者を鑑定留置とし、精神状態を調べると決めたようです
鑑定留置を報じた記事と、文春オンラインに掲載された大木容疑者の母親のインタビュー記事の一部を貼ります


国土交通省の職員が殺害され、遺体が山中に遺棄された事件。鑑定留置で刑事責任能力の有無が判断されることになりました。
大阪市中央区の無職・大木滉斗容疑者(28)は去年12月に国交省の職員で同じマンションに住む神岡孝充さん(52)の首を絞めて殺害し、現金5万円などを奪ったうえ、遺体を東大阪市の山中に遺棄したとして、強盗殺人と死体遺棄の疑いで逮捕されています。
神岡さんの遺体は、両腕、両足などが切断された状態で見つかりました。
この事件をめぐり、大阪地検は大木容疑者の犯行当時の精神状態を調べるため、11日から3か月間、鑑定留置を行うことを決めました。
今後、刑事責任能力の有無が判断されることになります。
(MBSニュースの記事から引用)

A子さんは実家でピアノ教室を営んでいた。その関係で大木も小さい頃からピアノに触れていた。成長して地元を離れても、実家に帰ってくるたびに鍵盤を叩く息子の姿が目に焼き付いている。自分の部屋に閉じ籠ったりせず、ピアノのある部屋で長い時間を過ごしていたという。
「これ言うと親バカみたいなるけど、練習しない割には上手に弾けた。勉強もそう。大して勉強もしないのに難しい問題が解けたり、賢かったな。いろんな才能がある子やったから、磨けば光るってずっと思ってた。なのになんでいつも選択を間違うんかな……」
大木の人生に影が落ち始めたのは中学生の時。クラスメートからのいじめだった。3年間にわたるいじめに耐えかねて、中3の秋に教室で自ら首を吊ろうとした。
「あの時から滉斗は暗くなっていきました。でもいじめのことも何も言わなかった。自分はそんなことに負けてないって思いたかったんでしょうね。私がガンになったのもその頃。5年後私が生きてるかどうか考えたときに、このままじゃって思いが出てきて、あの子に必要以上に厳しく当たっていたかも。『いじめられんようにしなさい』とか言ってしまってたな……。あの子傷ついたよな」
助けてくれる大人がいなかったことが、孤立に向かう大木の心に深く刻まれたのかもしれない。時おり息子と年齢の近い記者に対して、もう会えないかもしれない息子の気持ちを確かめようと言葉を繋ぐ。
「どう思います? 私は言い方間違っていたんかなあ。大学受験の時も強くなじってしまったし。だって普通せんようなミスしてしまうんやもん。そういうのやっぱり傷になりますよね?」
大学受験に臨んだ大木は、受験票忘れや受験番号の記入間違いで希望した大学への進学の道を閉ざされていた。
「私には見せんようにしてたけど、かなり落ち込んでいたみたい。でもこっちも言いたくなるから強く言ってしまった」
その頃から母と息子の距離は開いていった。
(以下、略。文春オンラインの記事から引用)


大木容疑者が中学時代にいじめに遭い心的外傷を負ったのは確かでしょうし、それが解消されないまま大学生活でも挫折を経験し、親とも疎遠になり自ら孤立する道を選んだ…と解釈されます
が、そこから殺人に飛躍するにはもっと別のファクターがあったようにも思われます
また、大木容疑者が母親を避けるようになった理由も別のところにあるのではないか、という気がします
自分は精神分析をかじっていますので、大木容疑者と母親の関係を記事から読み取ると(文春オンラインの当該箇所は引用はしていませんが)、大木容疑者が音楽サークルのライブに母親を呼ぶとか、思春期の男性にしては微妙に母親との距離が近すぎるように感じます
いじめの直接的な原因だとは断定できませんが、大木容疑者は周囲から「マザコンだ」と揶揄されていたのかもしれません。母親との関係が良好だったことを恥じる必要はありませんし、それを揶揄するのも大間違いなのですが、大木容疑者自身が「マザコン」と言われることを気にして母親を避けるようになった…とも推測されます
これは世に言われるマザーコンプレックスどうのこうのではなく、精神分析の主要な課題であるエディプスコンプレックスをこじらせ、その克服がうまくできず挫折したケースのようにも思われます。エディプスコンプレックスとは思春期のこどもが大人へと自立する過程に立ちはだかる問題です。詳しく説明すると長くなってしまうのでここでは書きませんが、大木容疑者は自身の人生の挫折の数々を母親との関係に結びつけ(大学の入試で受験票を忘れたのも母親のせい、などなど)、あらゆる失敗を母親のせいにすることで己を誤魔化し、それゆえ自立にも失敗するという負の連鎖に自らはまり込んでしまった…というのが一連の報道を読んだ上での自分の仮説です
ただ、既に報じられているところの、大阪のマンションで一人暮らしをしていた大木容疑者には数々の奇行が見られていますので、何等かの精神障害を抱えるに至った可能性があるのかもしれません

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