交際相手の父殺害 相馬被告の初公判
2023年愛知県知多市の西岡歳一さん(80)が自宅で首を切られ殺害された事件で逮捕、起訴された相馬寛大被告の公判が始まりました
相馬被告は交際相手だった女性の実家を訪ねた際、西岡さんと口論になり刃物を持ち出して殺害したとされます。相馬被告は現場から逃走し、当時住んでいた神奈川県小田原市まで車で戻っていました
当ブログで前回、この事件を取り上げた際に相馬被告に精神科への通院歴などないだろうにわざわざ鑑定留置をするのか、と書きました
が、実際には相馬被告が精神的不調を抱えていたと明らかなっており、それが裁判の争点の1つです
愛知県知多市でおととし、当時80歳の男性を殺害した罪に問われている男の初公判が開かれ、男は起訴内容を一部否認しました。
殺人の罪に問われているのは、神奈川県小田原市の無職、相馬寛大被告(45)です。
起訴状などによりますと、相馬被告はおととし4月、知多市内の住宅で交際相手の女性の父親、西岡歳一さん(当時80歳)の首や背中を包丁で刺し、殺害した罪に問われています。
3日の初公判で相馬被告は起訴内容について、刺した事実は認めたものの「亡くなったのか、けがをしたのか、確認が取れていないのでわかりません」と一部否認しました。
検察側は冒頭陳述で「妄想性パーソナリティー障害があった」「被害者と交際相手が性的関係にあるのではないかなどと考えた」と主張しました。
弁護側は「事件当時、統合失調症などで妄想に支配されていた」とし、刑事責任能力について争う姿勢を示しました。
(名古屋テレビの記事から引用)
別の報道では検察側の冒頭陳述で「被告の金遣いなどを巡り交際相手の女性との関係が悪化すると、父親が仲を引き裂こうとしているのではないかと疑い、敵意を募らせた」と指摘したと伝えています
相馬被告は西岡さんの長女(49)と交際しており、SNSには交際を伺わせる内容の投稿が散見されるのだとか。そんなリア充アピールをしていた人間が「統合失調症で妄想に支配されていた」と主張されても、「?」と思うしかありません。もし、相馬被告が以前から統合失調症による妄想に苛まれていたとすれば、SNSに支離滅裂な投稿があった然るべきでしょう。相馬被告のSNSについては直接確認していないので、何とも言えないところですが
検察は起訴前に鑑定留置をし、そこで「妄想性パーソナリティ障害があった」との鑑定結果が得られたのでしょうが、刑事責任応力を問えると判断し起訴しています。当ブログで何度も言及していますが、「妄想性パーソナリティ障害」は人格障害の範疇として扱われ、精神障害とは区別されます。
日本の刑事裁判では精神障害によって自身では制御できない状態に陥り、犯行に至った場合は心神喪失と認め、無罪判決となります。精神障害でも善悪の区別がつく状態にあったとすれば心神耗弱と認め、減刑の扱いになります
これに対し、人格障害では心神喪失を認めない扱いが一般的であり、その程度や妄想念慮の度合いに応じ減刑するケースもあります
ただ、統合失調症で妄想に支配された状態なのか、人格障害に伴う妄想(疑い深くなり、悪い方へ悪い方へと勘ぐるようになる)状態なのか、識別するのは精神科医の間でも見解が分かれるところです
おそらく検察側による起訴前の精神鑑定とは別に、弁護側の申し立てによる精神鑑定も実施されており、双方の鑑定医が出廷してそれぞれの鑑定結果について説明する展開になるのでしょう
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