相模原両親殺害 懲役10年以上15年以下の不定期刑求刑
相模原市の自宅で両親を殺害したとして起訴されている少年被告に対し、横浜地検は懲役10年以上15年以下の不定期刑を求刑しています
少年事件でのみ、この不定期刑が存在します。不定期刑の上限は15年を超えないよう決められていますので、上限いっぱいの求刑になったわけです
ただ、この事件は親からの虐待やネグレクトが背景にあると言われながらも、具体的に何があったのか明確に報じられないままでした
集英社オンラインの記事がそこら辺りを取り上げていますので、一部を引用します。不快に感じられるであろう内容を含みますので、気にされる方は読み飛ばしてください
(前略)
Aは未成年だったため、逮捕後は一度、横浜家庭裁判所に送られたが、『刑事処分の対象とするのが相当』として逆送。昨年5月に起訴されていた」(社会部記者)
殺害の理由に焦点が当たる中、5日に行われた約4時間にわたる被告人質問で明かされたのは、Aの驚くべき養育環境だった。
「Aは小学生の頃から両親からの暴言、暴力にさらされており、ほとんどの家事をさせられるなど、ネグレクトの状態に置かれていたと語りました。
さらに、Aは両親に目の前で性行為する様子を見せられたことがあると証言。父親がAに『お前もこうやってできたんだよ』などと言い、さらにAの頭を母の股間に押し付けたとも語った。Aはその時のことを『すごく自分が汚いもののように思えてきた』と振り返っていた」(前出の記者)
ほかにも両親との生活について、「殴られたり、酒や水をぶっかけられたりした」「小学生のとき日常的に『下僕』、名前の頭に『バカ』を付けて呼ばれたり、根暗などと言われた」と主張していたという。
Aの証言からは“異様な家族”の姿が浮かび上がるが、周囲の目にはAと家族はどう映っていたのだろうか。
小学生時代をよく知る同級生は、「彼は小学生のころから控えめというか、とにかくおとなしい子でした」と話す。
「大河ドラマが好きだったようで、同級生に歴史の話をしていましたよ。特に戦国時代の話が好きで、武田信玄とか織田信長とか武将の名前を出していましたね。
(中略。コンビニエンスストアで万引き事件の説明)
この日は平日だったが、Aは通っていた進学校の制服ではなく黒のジャンパー、ジーパン姿だった。通報で店に駆けつけた警察官らがAから事情を聴いている間に、連絡を受けた母親も店に到着したという。
「お母さんは従業員に『すみませんでした』と謝りながら、『最近(息子の)トラブルや非行が多くて』と話していたみたい。『ウチはお父さんが厳しい人で』とも言っていて、Aの尻拭いに追われている感じで大変そうでした。Aは警察官に『万引きしたのは今回が初めてだ』と言っていたようだけど……」(同前)
8日には児相との面談は予定通り行われ、Aも同席した。だがこの面談の際には、2日前の万引きやカッターを所持していた事実は警察から児相に伝えられていなかった。
「父親からの相談に基づく『育成相談』という手続きで、まず担当者が親子3人と面談しました。Aは望んで来たのではないという表情でしたが、両親が席を外した後、担当者と一対一になると率直に思いを話していました。『父に期待することはない』と言い、母親に対しては感謝を口にしていました」(児相幹部)
話し合いの中で虐待やDVといった「危険なエピソード」が親子双方から出なかったため、児相はAへの関与を「緊急対応」に切り替える判断を見送った。
(以下、略。集英社オンラインの記事から引用)
この記事など一連の報道を読んで思うのは、「少年の父親がどのような人物だったか」の情報が抜け落ちており、まったく触れられていない不可解な扱いです
現に横浜地検は、「父親から外出を禁止される中、交際相手と過ごしたいと考えて殺害した。通報されるのを阻止しようとして母親も殺害するなど自己中心的な思考で2人を死亡させた結果は重大だ」として、上記のとおり懲役10年以上15年以下の求刑を行っています。もはや父親がどれだけ異常な人間であった問うつもりはまったくない、との態度です。他のメディアも同じで、この少年の父親がどのような人間だったか取材しようともせず、記事を書いています
おそらくサラリーマン?だった父親は会社では悪目立ちすることのない、世間によくある中高年男性とのイメージで見られていたのかもしれません。しかし、世間に見せる顔と家の中で見せる顔が同じだとは限りません
それでも検察は父親を「厳しいながらも息子に愛情をもって接していた父親」との位置づけのまま論告求刑したのでしょうし、そもそも父親がどのような人間だったかなど関心がないのかもしれません
当ブログは児童相談所の仕事振りにいつも批判を述べているわけですが、本件の扱いについても少し書きます
こどもは自身の身に起きた経験をすべて言語化し、児童相談所の職員に伝えたりはしません。まず、相手をどこまで己に近づけさせるか、相手との距離を測ります。「この大人には何を言っても無駄だ」と判断すれば、何もしゃべりません
なので、少年の語る内容だけを追いかけていては何も掴めませんし、虐待など把握できないのです
精神分析をかじっていると、語られる内容に耳を傾けるだけでなく、語られない話にも関心を向け考察する必要を理解します。何について触れようとしないのか、語ろうとしないのか、そこが一番重要だからです
上記の集英社オンラインの記事にあるとおり、少年は児童相談所の職員に父親から受けた虐待など、詳細に語ろうとはしなかったのでしょう。この人たちに話をしても無駄だ、と判断してしまったからです。つまりはその程度の面接しかできていなかった、という証です
「少年が語らなかったから悪い」などと、責任を転嫁してはいけません。沈黙に踏み込むことこそが児童相談所の役割であり、仕事です
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