岸田首相襲撃　公判で「テロではない」と主張: 夾竹桃日記

2025年02月05日

岸田首相襲撃　公判で「テロではない」と主張

２０２３年４月、岸田首相が和歌山市の漁港に選挙演説のため立ち寄った際、爆発物を投げ込んだとして起訴された木村隆二被告の初公判について、昨日取り上げました

しかし、元記事があまりにあっさりとした内容だったため、本日は別の記事で補うことにします

木村被告は爆発物を投げ込んだ犯行そのものは認めていますが、殺意は否認しています

和歌山市で令和5年4月、岸田文雄前首相の演説会場に爆発物が投げ込まれた事件で、殺人未遂などの罪に問われた無職、木村隆二被告（25）の裁判員裁判が4日、和歌山地裁で始まった。政治家志望だった被告は現行の選挙制度に不満を募らせ、現職代議士らを「既得権者」とみなして敵視するように。事件当日、現場から連行される際も「制限選挙を終わらせる」と言い放ったという。

（中略）

事件について「現職総理を狙ったテロ」と位置付けた検察に対し、弁護側は「目の前にいる若者は大量殺人をもくろんだ凶悪なテロリスト、果たしてそうなのか？」と疑問を投げかけた。そして、爆発物を投げ込んだのは選挙制度に関する自身の考えに関心を集めたかったからに過ぎないと主張、要人を狙ったテロとの見方を否定した。

（中略）

双方の冒頭陳述によると、大学の通信課程を中退後、地元の郵便局で短期のアルバイトをしながら政治や選挙制度について検索するようになった。「世の中をよくするため」（弁護側の冒頭陳述）に政治家を目指したが、供託金制度などに阻まれ、「日本の選挙は制限選挙だ」と現行制度に不満を持った。

4年6月には被選挙権の年齢規定や供託金制度は違憲だとして、弁護士をつけない「本人訴訟」で、国家賠償請求訴訟を起こした。

同じころ、交流サイト（SNS）のツイッター（現X）アカウントも開設。《普通選挙を行っていれば落選させることができた暴君も、制限選挙では組織票で当選してしまいます》と持論を展開し、親子代々の政治家を「世襲」と批判した。

同年9月には、地元の兵庫県川西市内で開かれた市議の市政報告会の終了後、「被選挙権が25歳以上というのは憲法違反だ」と、出席していた国会議員に食い下がったこともあった。

「被選挙権引き下げの木村です。制限選挙を終わらせ、普通選挙を実現します」。事件当日、現場で取り押さえられた後も、被告はカメラに向かってこう言ったという。父親は事件後の調べに「自分がこうだと思ったことは曲げない性格。だめな方向に行動力を発揮してしまった」と供述した。

（以下、略。産経新聞の記事から引用）

政治を変えたい（そのために選挙制度を変えたい）との意欲は伝わってきます。しかし、そのための方法論がメチャクチャです

いきなり訴訟を起こしたところで、勝訴の見込みもなく、国会議員相手に議論をふっかけても何かが変わったりはしません。そして爆発物を製作して投げ込むというテロ行為です

木村被告自身、同世代の人間と交流するのを苦手としたのか、仲間作りを考えなかったと推測されます

まずは同世代の仲間を作り（サークルであれ、NPOであれ）、そこから市議会議員を目指すなり、段階を踏んで進めていくのがベターな取り組むだったと思慮します

しかし、本人はいきなり国政選挙だったのでしょう。国会に乗り込んで日本の政治を変えてやると意欲満々でしたが、２５歳以上でなければ衆議院選挙には立候補できないという公職選挙法によって阻まれ、怒りと焦りで道を踏み外した…と考えられます。もっとも、木村被告自身は「道を踏み外してなどいない」と強弁するのでしょうが

おそらく木村被告は、「自分が衆議院議員選挙に立候補し、正しい主張をすれば支持が集まり当選するはず」と思い込んでいたのでしょう

そのためか、仲間づくりとか選挙運動を手伝ってくれる支援者獲得など不要、と決め込んでいたのかもしれません

どこの誰かも判らない若者がポンと立候補して当選するほど選挙は簡単ではなく、事前の準備や支援者獲得が欠かせません。組織作りを嫌っていては当選できないと理解する必要があります

もちろん、爆弾を投げたところで当選などしないのであり、思い違いも甚だしいと言わざるを得ません

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