日本の学園ラブコメアニメを羨む中国

アニメーション作品の制作本数では中国が日本を上回っています。一頃は「制作本数、作品時間数(中国はなぜか作品の分単位の累計を重視する)で日本を上回った」と中国メディアがしきりに宣伝していました
が、中国のアニメーション作品で、中国以外の国で高く評価されているものはほとんどないのであり、駄作の山というのが実情なのでしょう
制作本数が多いにも関わらず、中国で作ることができないのが学園ラブコメ作品です
「中学生や高校生の恋愛などとんでもない」とする中国共産党の幹部(老人たち)の考えにより、中高生の恋愛を描いた作品は禁じられています。作品の舞台を異世界ファンタジーと設定し、この規制を逃れている作品もあるようですが、現代の中国社会を舞台に中高生の恋愛模様を描くのは御法度です
他方で、日本のアニメーション作品でも最強と呼べるのがこの学園ラブコメで、毎シーズンいくつもの新作が登場しています
レコードチャイナの配信記事で、日本の学園ラブコメ作品に言及しているものがありましたので取り上げます


2025年1月4日、中国のポータルサイト・淘宝百科に「日本のアニメに描かれる学園恋愛物語は夢が交錯する芸術の世界」と題した記事が掲載された。
記事はまず、「日本のアニメの世界に足を踏み入れると、青春にあふれた学園恋愛物語が私たちの心を揺さぶる。それらは純粋な恋愛を描くだけでなく、夢と現実が交差する不思議な体験をもたらし、私たちに深い余韻を残す」と述べた。
その上で、「桜が舞い散る季節に、日本のアニメは独自の繊細な筆致でロマンチックなシーンを描き出す。『君の名は。』の心の通じ合い、また『秒速5センチメートル』の繊細な感情表現など、どれも学園生活の中で最も心を打つ一幕を描いている」と説明した。
また、「『言の葉の庭』の主人公同士の出会いは、まるで春風のように優しく心を揺さぶる。あの少し不安げな好きという気持ち、恥じらいながらの告白は、どれも私たちが経験した青春の思い出そのものだ」とした。
一方で、「『おおかみこどもの雨と雪』では、友情と恋愛の境界が曖昧になり、私たちの深い思考を促す。主人公たちが友情の温かさと恋愛への切望の中でどのようにバランスを取るのかは、多くの視聴者にとっても共通の成長の課題となっている」と論じた。
さらに、「『進撃の巨人』のエレン・イェーガーとミカサ・アッカーマンは、単なる甘い学園恋愛ではなく、生存と救済という使命を伴っている。これは、真実の愛が時には個人的な感情を超えて、夢を追い求める原動力となることを教えてくれている」と言及した。
そして、「日本のアニメの学園恋愛物語は、甘酸っぱい恋物語にとどまらず、青春、夢、そして成長を深く描写している。これらの物語は私たちに、どれほど複雑な世界であっても、心の中の純粋さと夢は決して失われないことを信じさせてくれる。だからこそ、静かな夜には日本のアニメを一話見てみてみてほしい。あの美しい学園恋愛の物語があなたの心を温かくしてくれることだろう。そして、いつかあなたもその中で共鳴するものを見つける日が来るかもしれない」と結んだ。
(レコードチャイナの記事から引用)


上記の記事でも、なぜ中国で学園ラブコメ作品が作れないのか、言及されていません。これに触れるのは中国共産党の政策を批判するのと同義であり、逮捕されて反革命罪で強制収容所行きになるのでしょう
であるからこそ、日本の学園ラブコメ作品がまばゆくて仕方がない…のかもしれません
おそらくこの種のアニメーション作品を量産しているのは日本だけでだと思います
ディズニーやピクサーはもっとファンタジー寄りでファミリー向け要素が強く、韓国で学園ラブコメ作品がどれだけ制作されているのか、報道を目にしたことがありません
さらに学園ラブコメだから「ありがちな展開」というわけでもなく、評価の高い作品はそれぞれ独自の工夫がされ、凝った設定の物語だったり、シリアスなものからギャグ満載のものまで、多様性に富んでいるのもこのジャンルが根強く支持されてきた理由でしょう
今後もさまざまな語り口で、表現で、個性的なキャラで、恋愛模様を描く作品が制作されるはずです
ラブコメ作品のお薦めを紹介した動画を貼っておきます。ただし、京都アニメーションの作品は除外されています

【恋愛アニメランキング】歴代ラブコメおすすめアニメTOP40

(関連記事)
次の中国アニメは「卓球少女」
中国アニメ「哪吒2」 2100億円の大ヒット
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/510366556.html
中国アニメ「この恋で鼻血を受け止めて」とは?
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/510203707.html
中国メディア 日本の劇場版アニメを称賛も中身は?
中国メディア「日本アニメは論理性が欠けている」
中国で「名探偵コナン 迷宮の十字路」が大ヒット
異世界ハーレムアニメを語る中国メディア
「日本アニメの没落」と書く韓国メディア
アニメ「ブルーピリオド」感想
ドラマ「その着せ替え人形は恋をする」不評
韓国劇場版アニメ「愛のハチュピン」 興行好調
「秒速5センチメートル」実写化で大コケ予想
大コケした最近の劇場版アニメ作品たち
ハリウッド版「聖闘士星矢」大コケ
劇場版アニメ「ルックバック」を語る押山監督の熱量
いま一度、映画「ルックバック」を語る
日本アニメ「ルックバック」 上海国際映画祭で激賞
中国の漫画・アニメ業界の「ヒーロー待望論」
中国アニメは質・量とも向上、という記事
実写化「岸辺露伴は動かない」成功した理由
井筒監督「漫画を安易に映画化しすぎる」と批判
キムタク主演映画「無限の住人」大コケ
アニメ「葬送のフリーレン」を称賛する中国
中国を席巻する日本の劇場版アニメ