交際相手の娘に淫行 最高裁が男に監護者性交罪適用

母親の連れ子である娘に、母親の交際相手である男が不同意のまま性交した場合に監護者性交罪が成立するか、争われてきた事件で、最高裁は監護者性交罪が成立するとの決定を言い渡しています。2017年に法律が改正され、監護者性交罪が新設されてから初めての判断です
この事件は2023年9月に1審判決があり、当ブログでも取り上げました
法律の適用範囲がどこまでになるのか、条文に明記されていない場合は判例の積み重ねによって決定されます。なので、今後は「母親の交際相手が義理の父親と同等の立場を利用し、連れ子である娘に手を出した場合は、監護者性交罪に問われる」根拠になります
1審松江地裁の判決を報じた記事と、最高裁の決定を報じた記事の2本を貼ります


交際していた女(39)と共謀し、女の娘と性交したなどとして監護者性交罪や児童買春・ポルノ禁止法違反の罪に問われた無職、津野田陸被告(31)と女に松江地裁(今井輝幸裁判長)は27日、それぞれ懲役6年と同5年の判決を言い渡した。求刑は懲役9年と同6年。
津野田被告は監護者の立場には当たらないが、監護者の女に依頼して共謀し、娘と性交した「身分なき共犯」として起訴された。検察関係者によると、監護者性交罪の「身分なき共犯」での起訴は異例という。
今井裁判長は判決理由で、津野田被告は実母である女の影響力を利用した「身分なき共犯」に当たると説明。「性交当時16歳だった娘の人格を無視した卑劣な犯行だ」と非難した。
判決によると、被告らは共謀し、今年1月に女の娘と性交したほか、令和2年6月~4年12月に29回にわたり、胸などを撮影したとされる。
(産経新聞の記事から引用)

最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)は、交際相手の女の娘=当時(16)=と性交したとして、監護者性交罪などに問われた無職男(32)の上告審で「監護者でなくても、監護者と共謀して影響力に乗じた場合は同罪が成立する」との初判断を示した。27日付の決定。懲役6年とした1、2審判決が確定する。裁判官5人の全員一致の意見。
平成29年施行の改正刑法で新設された監護者性交罪は、親らが立場を利用して18歳未満に性的な行為をした場合、暴行や脅迫がなくても処罰できる。
弁護側は「監護者が性交をしていない場合には共謀は成立しない」などと主張したが、1審松江地裁判決は、監護者としての影響力を利用する意思があったのは明らかで、共謀は成立すると認定。2審広島高裁松江支部判決も支持した。
判決によると、嫌がる娘が応じるよう女に要求し、女は交際関係が終了しないよう娘を説得。昨年1月に性交した。
(産経新聞の記事から引用)


2017年の法改正で監護者わいせつ罪、監護者性交等罪が設けられました。18歳未満(男女を問わず)の者に対し、監護する立場にある者が影響力に乗じて、わいせつな行為や性交等をした場合、暴行や脅迫の事実がなかったとしての処罰可能となります。ただ、この監護者の範囲をどこまでとするのか、条文には明記されていませんでした。監護する立場としては、学生寮の管理人や舎監も含まれます。本件のように母親の交際相手(同棲相手)も含むとの解釈で、今後は運用されるのでしょう
さて、本件の母親は39歳で交際相手だった津野田被告は31歳です。母親は若い恋人である津野田被告を引き止めておくため、娘との性交を積極的に認めたのでしょう。被害者の母親も同罪として、懲役5年の判決が下されています
この種の事件は、少年矯正に関わっている者としてはしばしば遭遇します
以前にも書きましたが、母親の同棲相手である男から幾度も性交を求められるのが嫌で、家出を繰り返した少女がシンナー乱用などで補導され、少年鑑別所に収容されたケースです。収容された際には血液検査(主に梅毒のチェック)など、医療上の検査も実施します。彼女の場合は妊娠しているのが判明したものの、出産する意思もなく(誰のこどもかも判らない)、医療少年院に送致して中絶手術を受けさせ、その後は女子少年院に移送すると家庭裁判所の決定が出ました。しかし、医療少年院に収容された後、首をつって自殺しています
こうした不幸な実例を、「よくある話」として片付けるのではなく、1件でも減らすのが少年矯正の役割だと思い知らされた次第です
いまだに全国にこうした不幸な実例が絶えないのであり、それを減らすにはブログに記し、1人でも多くの方に読んでいただく・知っていいただくのが今の自分にやれることです

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