異世界ハーレムアニメを語る中国メディア

新年早々から、海外メディアによるアニメーション評を槍玉に挙げています。これも、「水準の高いアニメ作品が生まれるためには、水準の高い批評が必要」という、自分の考えによるものです
つまりは、中国や韓国のメディアの報じるアニメーションやマンガ関連の批評があまりに低レベルで、これでは水準の高い作品は生まれないよ、と言いたいからです
今回は「異世界ハーレムアニメ」について報じた記事を引用します
ここ数年、異世界を舞台にしたライトノベル、マンガ、アニメ作品が大量に登場しており、もう「お腹いっぱい」状態です。が、出版社や制作会社の側にすれば、一定数の重要が見込めるジャンルだからともかく出せ、との考えなのでしょう


2024年12月10日、中国のポータルサイト・淘宝百科に異世界ハーレムアニメの文化的背景と流行の傾向について紹介した記事が掲載された。
記事はまず、「異世界ハーレムアニメは単なる娯楽ではなく、一つの文化現象でもある。この記事では、この異世界ハーレムアニメの魅力を深く探り、その背後にある文化的背景や流行の傾向について詳しく解説していく」とした。
次に、「異世界ハーレムアニメは、その名の通り、主人公が何らかの方法で異世界に転生または転移し、そこで複数の女性キャラクターと出会う物語だ。これらの女性キャラクターは、通常主人公に好意を抱き、場合によっては恋愛関係に発展する。このようにして、いわゆる『ハーレム』的な状況が形成される。このジャンルの作品は、ファンタジー、冒険、恋愛などのさまざまな要素を組み合わせ、視聴者に視覚的・感情的に豊かな体験を与えている」と説明した。
続けて、「異世界ハーレムアニメが日本国内だけでなく、世界的にも広く支持されている理由には、三つの深い文化的背景がある。一つ目は異世界への憧れだ。日本の伝統文化には、異世界への想像力が古くから根付いており、古代の神話や伝説から現代の小説まで、異世界を舞台とする物語が多く存在する。二つ目はハーレム文化の受容性。日本社会は、複数の女性キャラクターが主人公に好意を寄せる『ハーレム』的な物語設定に比較的寛容であり、こうした要素がある作品が市場で受け入れられやすい背景があるのだ。三つ目はグローバル化の影響。これにより、海外の視聴者もこのジャンルのアニメに触れる機会が増え、さらに人気が高まっている」と述べた。
また、「近年、異世界ハーレムアニメは多様化の傾向を見せている。アニメクリエイターたちは新たなストーリー展開やキャラクター設定を試み、より多くの視聴者を惹きつける努力をしている。一方で、古典的な作品も続編やスピンオフ作品を通じて、息の長い人気も保っている。さらに、インターネット技術の進歩により、オンラインプラットフォームがこのジャンルの作品の重要な発信源となり、視聴者がより手軽にアクセスできるようになった」と論じた。
そして、「異世界ハーレムアニメは、独特の文化現象として、人々のロマンチックな幻想を満たすだけでなく、現代社会における多様な文化や価値観を包容する姿勢をも反映している。アニメ愛好者であれ一般の視聴者であれ、このジャンルから自分なりの楽しみを見つけることができだろう。この記事が、異世界ハーレムアニメという作品をより深く理解する助けとなり、興味を持つきっかけになれば幸いだ」と言及した。
(レコードチャイナの記事から引用)


寸評としても「?」が浮かぶ内容です
異世界ハーレムアニメ(ここではライトノベル、マンガも含めて)は、テンプレート化したファクターをいくつも入れ替え、物語を簡単に作り変えられるのが特徴です
冒険者、魔法使い、剣士、僧侶などキャラクターをあれこれ組み換え、魔法や魔物、ダンジョン、アイテムなどの要素を加えれば誰でも物語が編み出せます。そこにハーレムを構成する魅力的な女性キャラをいくつか投入すると、あっという間に異世界ハーレムの物語が生まれるという手軽さから、似たりよったりのライトノベル、マンガ、アニメ作品が大量に商品化されていると考えられます
なので、このジャンルから新たな名作が生まれる可能性は限りなく低い、と自分は思っています。もう見限った方がよいのでは?
引用した記事では、異世界ハーレムアニメが「ファンタジー、冒険、恋愛などのさまざまな要素を組み合わせ、視聴者に視覚的・感情的に豊かな体験を与えている」などと書いていますが、大いに疑問です
端的に言うなら、「さまざまな女性からモテる経験をしてみたい」という男の願望と、「でも家事分担とか子育てとか、親の介護とか面倒なのは嫌だ」という身勝手な言い分が組み合わさったものが異世界ハーレムアニメなのでしょう
そこから何も得られるものなどありません。恋愛経験の乏しい男子には恋愛の手引になるのでしょうか?
最初からハーレム構成(主人公がモテモテ)と決まっている物語から得られるものなど皆無であり、恋愛の手引にもなり得ません
ですから、この記事を書いた記者がなぜ異世界ハーレムアニメを推すのか、謎です。現実の結婚生活に挫折し、失望する経験でもしたのかな、と勘ぐってしまいます

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