「日本橋に青空を取り戻せ」という無駄な工事
以前にも言及したことがある、東京・日本橋の首都高速道路地下化工事について再度、取り上げます
日本橋の下、地下トンネルを掘る工事が761億円で入札が完了しています。この他、地下化事業に伴う高速6号向島線接続地区の橋梁工事が441億円で入札を終えており、この2件の工事だけでも1200億円かかっています。もちろん、これ以外にも高速道路の接続切り替えが必要な箇所がいくつもあり、総工費は3200億円とされます
老朽化した高架橋の架替が必要なのは言うまでもありませんが、わざわざトンネルを掘って地下化する価値があるのか、と思います
日本の道路の起点とされる「日本橋」(東京都中央区)。周囲には老舗の商店やオフィスビルが建ち並ぶが、橋の上を通る首都高速の高架に視界が遮られる。青空を望む風情ある景色を取り戻そうと、高速道を地下に移設する計画が動き出している。
事業区間は、首都高の神田橋ジャンクション(JCT)と江戸橋JCTの間の約1・8キロで、このうち約1・1キロを地下に移設する。両端は既存の高速道と結ばれる。地下区間の開通は2035年度、高架の撤去は40年度を目指しているが、今後の地下工事は難航が予想される。
移設予定地にある通信網や上下水道、ガス管などの設備は事前に移動させる必要がある。地下鉄3路線が近くを走行しているため、その間を縫うように掘り進めなければならない。日本橋川の水が漏れ出ないような処置も必要だ。首都高の担当者は「ほぼ前例のない工事」と語る。
◇東京五輪に向け「川の上に高架」
日本橋の起源は江戸初期にさかのぼる。徳川家康が江戸幕府を開いた1603年、江戸城を中心に町を整備し、日本橋川に木造の橋を架けたと伝わる。木造の橋は浮世絵に描かれ、何度か造り替えられた。現在の石造の橋は1911年に完成し、国の重要文化財に指定されている。
日本橋周辺は人や物産が集まってにぎわったが、1923年の関東大震災で川沿いの魚市場は全壊し、現在の築地へ移転した。戦後は64年の東京五輪に向けて高速道建設が急がれ、用地買収などの手間が省ける川の上を通ることになった。
◇地元の熱意が実を結ぶ
「当時は高速道の建設を期待しながら見ていたんだけどね。いざ完成すると、圧迫感があって橋が暗くなった」。こう振り返るのは、日本橋のたもとに本店を構える三越の元社長の中村胤夫(たねお)さん(88)だ。中村さんが三越に入社した2年後に高速道は開通した。
中村さんは現在、地元の住民や企業で組織する名橋「日本橋」保存会の会長を務める。この保存会は高速道開通の5年後に発足し、将来の高架の移設を望んできた。
(以下、略。毎日新聞の記事から引用)
日本橋が高架橋の下にあって何が悪いのか、理解不能です。東京に多額の投資をすれば一極集中が進むだけで、東京以外に住む大多数の国民にとってはムダに映るだけです
財務省は「カネがない」と口癖のように言いつつも、結局はこのように必要のない大規模公共事業に多額の支出を許しているわけで、何とも不可解です
政治家はもちろん、こうした大規模公共事業が大好きであり、あれこれ理由を並べて大規模事業をやりたがります。それだけ有形無形の見返りが期待できるからでしょう
おそらく地下化せず、首都高の高架橋架替で済ませるなら総費用は3分の2くらいで済んだのでは?
上記の毎日新聞の記事は、「日本橋に青空が戻るのは素晴らしい」との見方だけで書かれており、費用にはまったく触れていません。自分が調べた所では最初に書いたように3200億円の総工費です。しかし、いつものごとく想定外の事態が生じたり、必要もない付帯工事を後から追加して総工費は4000億円を超えるのでしょう。この費用を北海道や九州に住んでいる国民も負担するわけです
「東京だから必要」とか、「日本橋は歴史的な遺産だから」などという説明ではとても納得できません
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