韓国映画の低迷 大量在庫が上映されないまま
韓国映画・劇場版アニメが停滞していると、昨年来報道されています。単発的なヒット作品はあってもそれが続かない状態であり、制作費の回収もままらない状態にある、と書いている記事がありましたので取り上げます
韓国のフリーライターによる記事で掲載は2023年6月と少し古くなっていますが、状況が改善してはいないのでしょう
「イカゲーム」のヒットでNetflixから韓国の映画・ドラマ制作会社に注文が相次ぎ、この世の春とばかりに特需に浮かれていたのもでした。しかし、「イカゲーム」以降は多くの韓国ドラマがNetflixに登場したものの、大ヒット作品はありません
日本アニメ『スラムダンク』に太刀打ちできない…なぜ韓国映画がいま大不振に陥っているのか
(前略)
映画製作会社「ハハ・フィルムズ」のイ・ハヨン代表は、現在の韓国映画界は長期低迷の入り口に立たされていると主張する。
「業界では現在、80~90編あまりの作品が倉庫で眠っている。これは国内のスクリーンを2年間埋めることができる分量だ。それに加え、現在上映されているのはコロナ禍前に作られて“賞味期限”が切れた作品ばかり。急激に変化している観客の好みに追いつけず、一様に失敗している。今の状態が続けば、これまでは洋画と国内作品のシェアが50対50を維持してきたところから、洋画の比重が増えていく。一度韓国映画を離れた観客は戻ってこないだろう。今はまさにその入り口に立っている」
韓国の全国紙「朝鮮日報」は「投資金回収が長期間できずにいる状況で投資が途絶えている」とし、「新しい映画を製作できない問題も深刻だ」と指摘している。同紙は、映画監督の証言を借りて「製作資金の70~80%をファンド運用会社、20%以下をCJやロッテなどのメジャー配給会社が担当しているため、これらの会社が資金を提供しなければ映画製作そのものが不可能な状況」と説明した。(「朝鮮日報」4月15日「公開作が半分に激減、マーケットシェアは29%……韓国映画最悪の危機」)
チケット代が大幅に引き上げられて客離れが起きた
すでに映画界では「事実上、新作の製作が中断された状態」という言葉も出ている。筆者の知人の映画関係者は「2025年には韓国映画が映画館で観られなくなる可能性がある」と嘆く。
「韓国では毎年70作あまりの商業映画が製作されてきたが、コロナ禍以後は縮小し、今年はせいぜい20本程度になる見通しだ。その中でも製作費が30億ウォンを超える中規模~大作映画は10本にも満たないとみられる。映画1本の企画から上映までにかかる期間は通常2~3年なので、今のような製作の“日照り”現象が続けば2025年には映画館から自国作品が姿を消すことになるかもしれない」
韓国映画の低迷理由として最もよく挙げられるのは、OTT(Over The Top/オンライン動画配信サービス)の普及と鑑賞料金引き上げ問題だ。新型コロナウイルス感染症によって映画館を訪れることができなかった3年間、OTTが急激に普及したおかげで映画を家で観る習慣が定着した。他方で、映画館はコロナによる不況が長引くと、チケット代を36%も引き上げてしまった。かつては大人1人で1万1000ウォン(約1100円)だったのが今では1万5000ウォン(1500円)。結果、観客はさらに厳しい目で映画館で観る映画を選ぶようになり、興行不振が続いているという分析だ。
(以下、略)
「上映されない韓国映画が倉庫に80~90本眠っている」と書かれているのに驚く方もいるのでしょう。が、これは最近の現象ではなく、以前からの続いていた現象です
韓国では映画振興委員会という官製の組織があり、約400億円の予算から映画製作費を補助する制度が存在します。映画を完成させれば補助金が支払われ制作費の一部を回収できるようになっており、映画館で上映されるかどうかは問いません。そのため映画館で公開されない映画が毎年大量に作られ、倉庫に眠る事態が繰り返されているのです(なお、韓国ドラマもテレビ等で放送されないまま眠っている作品が50本を超える、と引用から省略した部分に書かれています)
年に70本の商業映画が作られているなら、補助金は1本あたり1億円から3億円くらいでしょうか(支給の基準、金額がよくわかりませんし、非商業作品にも補助金が出ています)
日本にも映画への補助金制度があるものの、1本につき400万円なのだとか。にも関わらず、日本では毎年600本もの新作日本映画が公開されています
それはともかく、韓国映画の興行成績が低迷しているのは、単に「面白くないから」なのでは?
面白い作品であれば、映画館での興行もインターネット配信でも数字が残せるはずです
ともかく、「作れば当たるかもしれない」との目論見で映画やドラマが作られ、結局は配給会社やテレビ局から見向きもされずお蔵入りになっている作品が多数生じているのが実情だと判ります。粗製乱造とまでは言いませんが
昨今、「日本映画はダメになった。客が入るのはアニメばかり」などと評されます。言葉の裏には「アニメなんてこども向けの娯楽」と見下すニュアンスがありありです。500本から600本もの新作映画(実写)を公開して、そのうち興行収入10億円を超える作品は30本前後ですから、大半の作品は制作費も回収できないのでしょう。なので、韓国映画の状況を笑って見ている場合ではありません
ただし、数ある日本映画の中には「これだ」と言いたくなる作品が年に数本あります
来年公開予定の、吉沢亮主演作品「国宝」もその1つです。来年6月公開だそうですから、これは映画館で観たい作品です
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