滋賀医科大学強姦事件 高裁の無罪判決を考える

既に当ブログでも取り上げたように、滋賀医科大学の学生3人による強姦事件で大阪高裁は片倉健吾被告と木下淳弘被告に無罪判決を言い渡しています
高裁の判決内容を詳細に報じた記事が見当たらないので、判決の中身がどうなっているのかよく判りません
ですが、判らないままにしておくのは何とも心地悪いので、自分なりの推測をまとめてみます


知人の女子大学生に性的暴行を加えた罪に問われ一審で実刑判決を言い渡された医学部の男子大学生2人について、大阪高裁は18日、逆転無罪判決を言い渡しました。理由について「女子大学生の同意があった疑いが払しょくできない」としています。
判決などによりますと、医学部の男子大学生3人(A・B・C)は2022年3月、男子学生Cの自宅で、別の大学に通う知人の女性大学生に対し性的暴行を加えた罪に問われていました。
男子学生3人は、女子学生を含む知人らと大津市内の飲食店で会食した後、男子学生Cの自宅に移動して酒を飲んでいました。
男子学生Cは一審の大津地裁で中心的な立場であるとされた上で有罪判決を言い渡され、控訴しましたが大阪高裁が退け、最高裁に上告していました。
一方、男子学生A・Bの2人は「女子学生の同意があった」などと無罪を主張。
一審の大津地裁は2024年1月、「被告人らの供述は信用できない」として、男子学生Aについて「直接的な暴行や苛烈な脅迫を加えていないものの、女子学生の意思を無視して性的暴行に及んだ」として懲役5年、男子学生Bについて「性的な接触をしていないが、動画撮影や共犯者を煽る発言をし犯行実現に影響を与えた」として懲役2年6か月を言い渡しました。その後、男子学生A・Bは控訴しました。
18日の控訴審判決で、大阪高裁は「女子学生は当初、無理やりの性行為だと信じてもらうため警察にあえて話さなかった行為があり、ウソの供述をしている可能性が否定できない」と指摘。
その上で「事件当日に撮影されていた動画から、女子学生はためらう様子もなく男子学生Cの自宅に入り、当初自らの判断で性的な行為に応じた可能性を否定できない。その後、女子学生が男子学生Cの求めに応じて男子学生A・Bとも行為に及んでいて、脅迫とされた発言も性的な行為の際に見られることもある卑猥な発言という範疇のものと評価可能であり、明確に脅迫や暴行とあたる行為は認められない。いずれの行為についても女子学生の同意の上であった疑いが払しょくできない」として、男子学生A・Bについては一審の有罪判決を取り消し、無罪を言い渡しました。
(読売テレビの記事から引用)


高裁が問題にしたのは、被害者が自らの意志で男子学生3人と行動をともにし、長田知大被告の自室マンションへ出向いているところでしょう。そこで3人とのセックスが始まったわけですが、録画された内容に中で拒絶する様子は映っていなかったので「同意があったものと」と判断する根拠になったと思われます
さらに被害者が警察に相談に赴いたのは、撮影された動画が拡散されるのを防ぎたいとの動機からであり、3人の学生を強制性交で刑事告発する気はなかったと、被告側弁護人は指摘しています
よって高裁は3人の学生と行動をともにしたのも強制ではなく被害者自身の意志であり、そこで性交に応じたのも被害者の意志で、性交の撮影を拒絶していないため、犯罪を構成する要件を満たしていないと結論付けたのでしょう
ただ、高裁の判断は前提となる事実を無視しています
3人の被告はナンパ目的の飲み会をしばしば開催し、女性を持ち帰って姦淫する行為を繰り返していたのが実際です。そのこと自体は立件されておらず、今回の起訴に含まれてはいません。が、3人の被告は本件も同様に女性を酒に酔わせ、長田被告のマンションに連れ込んで姦淫する計画をしていたものと推認されるわけです
その計画に基づいて女性を酔わせ、正常な判断をしにくい状態にして姦淫していた、というのが実際でしょう。酒によって被害者はイケイケの状態になっていたのかもしれません
被害者は後日、性交の様子を動画に撮られていたのを思い返し、その動画が拡散されるのを防ぎたいと警察に相談しています。事情を聞いた警察は3人による「計画的な犯行」と判断し、検察庁の意見も聞いた上で逮捕に踏み切った経緯があります
高裁の判断が上記のとおりであるかどうか、未確認です
しかし、「同意があった」というのは性犯罪者の常套句であり、「同意があったと思った」と釈明すれば何をしても許される=犯罪にならない、では性犯罪者を利するだけでしょう。これでは被害者に泣き寝入りを強要するだけの裁判で終わってしまいます
卑劣な性犯罪者に免罪符を与えるような判断を高裁が下すのは大間違いです。3人は繰り返し女性を酔わせて姦淫し、動画に撮り、「オレたちは何人もの女を回した(輪姦した)んだぜ」と自慢している下司野郎だ、との前提に立って彼らを裁かなければダメでしょう
3人の被告のうち長田被告だけが高裁段階で有罪となっていますので、整合性を保つためにも検察は最高裁に上告し、判断を仰いでもらいたいものです
追記:大阪高検は12月26日、逆転無罪判決を不服とし最高裁に上告しています

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