中国アニメの謎作品「深海レストラン」

昨年の第36回東京国際映画祭のアニメーション部門に参加していた作品、ティエン・シャオポン監督による劇場版アニメーション「深海レストラン」を取り上げます
ティエン・シャオポン監督は中国で大ヒットしたアニメ作品「西遊記 ヒーロー・イズ・バック」を手掛けたクリエイターです
ブログの記事にわざわざ「謎作品」とつけたのは、いったい何を狙って作られた作品なのか意味不明だからです
あれこれ書く前に予告編を先に見てもらいましょう


深海レストラン - 予告編「Deep Sea」- Trailer

予告編だけで眼がチカチカする色彩の乱舞です。112分の上映時間のうち、かなりの部分がこの色彩の乱舞なのでしょう
これを「どうだ。凄いだろう」と見せる監督の意図がまったく理解できません。カラフルなCGを大スクリーンに映し出すというのは、万国博覧会などイベントでよくある手法です。ただ、そこに感動とか、深遠な思考などはなく、ただ「チカチカ、パカパカ」の映像を展開させているだけの、一過性の見世物に過ぎません
作品自体が孤独な少女が海底の不思議な世界に迷い込み、自分探しをするという「千と千尋の神隠し」風の物語です
映画.com掲載の記事がこの作品を称賛していますので、以下、引用します


第36回東京国際映画祭のアニメーション部門で10月26日、中国の劇場アニメ『深海レストラン』が上映された。同部門のプログラミング・アドバイザーを務めるアニメ評論家の藤津亮太氏が東京・TOHOシネマズシャンテでのトークショーに臨んだ。
本作は、中国で国内興行収入192億円を記録した3DCGアニメ映画『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』で知られるティエン・シャオポン監督の最新作。父の再婚で孤独を感じている少女シェンシウが、クルーズ中に海に落ちたことから物語が動き出す。シェンシウが目覚めると、そこはナンヘという風変りなシェフが働く水中レストラン「深海」だった――。
トークショーでは、藤津氏が作品の魅力を要素ごとに紹介。さらには、ティエン監督が来日時に語った宮崎駿監督への尊敬の念や、作品作りへの思いも紹介した。
本作を上映作品に選んだ大きな理由は「ビジュアルの見事さ」「キャラクターの魅力」「ストーリーの面白さ」の3点。藤津氏は、ビジュアルの魅力について「深海というと、光の届かない暗い世界を想像すると思うが、本作はむしろ主人公の内面の世界を表しており、非常にカラフルな世界が展開されます」と述べ、「特に印象的なのが水墨画をイメージさせる粒子が漂うビジュアルです。これは本作のために開発された技術を使って表現されたものです」と解説した。
続けて「キャラクターの魅力」を際立たせている要素として、個性的なキャラクター、ナンヘの表情の変化を挙げる。
「面長な顔が伸びたり縮んだり、時には歪んだりと自在に変化しています。それが、比較的リアルに表情付けがされているシェンシウと好対照になっていて、作品の印象的な味付けになっています」
さらに、物語の結末を踏まえて「ストーリーの面白さ」を紹介し、そのうえで「その過程には驚きと、ある種のカタルシスがあります」と語る。また印象的な小道具として、シェンシウが着ている赤いパーカが、シーンごとにさまざまな意味を示していることを解説した。
映像、キャラクター、ストーリー、小道具に至るまで、細やかな表現詰まっている本作。藤津氏は最後に、ティエン監督の来日時のコメントを振り返りながら、本作の魅力をまとめた。
(以下、略)


おそらくこの映画の版権を買った会社からの依頼を受け、ヨイショする記事にしているものと思われます
しかし、先に書いたとおり、無駄なCGと色彩の洪水にうんざりさせられますし、肝心のストーリーは「千と千尋の神隠し」の二番煎じ、と感じてしまうわけで、まったく魅力の感じられない作品に仕上がっています
東京国際映画祭参加作品ではありますが、日本国内の映画館では公開されないままだった(つまり、配給会社が買い付けようとしなかった)のでは?
日本のアニメーターが見ても、「力を注ぐ方向が間違ってるんじゃないの」とか、「CGの無駄遣いだね」との感想を述べるでしょう
本作品のCG映像を制作するため、新たなソフトウェアまで開発したそうです。が、アニメ(物語)を見せようとするのではなく、単なるCGの見世物になっており、CGのソフトウェアの販売促進用ビデオか、と言いたくなります
おそらく日本の劇場版アニメの数倍もの制作費を注ぎ込んでいるのでしょうが、何を狙っているのか自分にはさっぱり判りません

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