東京・納骨堂練炭殺人 懲役30年を求刑

2023年7月、東京都足立区の寺の納骨堂内に火のついた練炭を並べ、住職を一酸化炭素中毒で死亡させた男に東京地検は懲役30年を求刑しています
殺人事件で死者が1人にも関わらず、懲役30年を求刑するのは異例のように映るのかもしれません。ですが、本件では住職のみならずその家族の殺害も計画したと判断し、家族への殺人未遂と併せて懲役30年の求刑としてします


去年7月、東京・足立区の寺で住職を殺害した罪などに問われた石材会社代表の男に、検察側は懲役30年を求刑しました。
石材会社の代表、斎藤竜太被告(51)は去年7月、足立区の寺の地下にある納骨堂に侵入し、練炭に火をつけて住職の男性(当時70)を一酸化炭素中毒に陥らせて殺害したほか、住職の妻と次女も殺害しようとした罪に問われています。
斎藤被告はこれまでの裁判で、「私がしてしまったことに間違いありません」と述べ、起訴内容を認めています。
きょうの裁判で、検察側は、斎藤被告と住職には霊園事業をめぐるトラブルがあったと指摘し、「被告人は住職さえいなければ、事業が好転すると思い、強い憎悪を抱いていた」「犯行は卑劣かつ狡猾で、無差別殺人に近いものだ」として、斎藤被告に懲役30年を求刑しました。
一方、弁護側は「被告人は霊園の運営をめぐり、住職から侮辱されるなどして、怒りや悲しみがあった」「犯行に至るまでの経緯には酌むべき点がある」として、懲役20年の判決を求めました。
斎藤被告は裁判の最後に、「住職の命を奪ってしまったこと、残りの人生を奪ったこと、大変、申し訳なく思っています」と謝罪しました。
きょうの裁判では住職の遺族が意見陳述し、「被害者は家族思いの優しい人でした」「目の前で、手の届くところにいたのに何もできず助けることができなかった」と当時の悲痛な思いを語り、斎藤被告については「重い処罰が下されることを望みます」と話しました。
(TBSニュースの記事から引用)


前回、当ブログで取り上げた際にも書きましたが、地下の納骨堂内に火のついた練炭を29個も並べています。住職が納骨堂内で倒れているのを見れば家族は助けるため納骨堂内へ入った可能性があり、一酸化炭素中毒で死亡することも十分に考えられます。そこで家族への殺人未遂でも起訴したのでしょう
また、納骨堂とは別に、境内の焼却炉内にガソリン入りのペットボトルも仕掛けており、気づかないまま火をつければ焼却炉ごと吹き飛び周囲の人を殺害する危険がありました。ガソリンに引火した場合、燃え上がると思っている人が多いのかもしれませんが、実際には爆発と表現できるほど威力が高いのです
弁護人は上記の記事の通り懲役20年の判決を求めていますが、とても懲役20年で済ませるような犯情ではありません。たまたま死亡したのが1人だけだった、という話です
前回、この犯行をもう1人の共犯である青木淳子被告が主導したのではないか、との仮説を書きました。もし、斎藤被告が犯行を主導したのであれば、早朝に境内を掃除する住職に忍び寄り、金属バットで死なない程度に滅多打ちにする…といった犯行を選ぶのではないか、と想像します。練炭をならべた上にガソリン入りペットボトルまで仕込むといった過剰な犯行計画には、女性ならではの執念深さを感じます(特段、女性を揶揄するつもりはありません)
上記の記事では青木被告の公判に触れていません。おそらく犯行を認めた斎藤被告の公判を先にし、犯行を否認している青木被告は分離公判として後に回す、検察側の算段なのでは?
追記:11月29日、東京地裁は斎藤被告に対し懲役25年の有罪判決を言い渡しています。家族に対する殺人未遂も認めました
ただ、青木淳子被告の公判については期日が決まっていないのか、報道がありません

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