不凍液で娘殺害 志保被告と人格障害
先に自分の娘に不凍液(エチレングリコール)や向精神薬を服用させ殺害した容疑で逮捕された細谷健一と志保の夫婦は、その後実姉、実父、実母も殺害した容疑で再逮捕に至っています
この一連の再逮捕前に夫婦はともに精神鑑定が行われており、つまりは鑑定結果を受けて刑事責任を問えるとの検察庁の判断に立って、徹底解明が進められているものと推測されます
志保被告については、これまでにさまざまな異常行動が報じられてきました。警察沙汰になったことも20回近いのだそうです
逮捕前、志保被告は適応障害あるいは不安障害との診断を得ていました。いわゆる不安神経症であり、診断をつけないと薬を処方できないので、適応障害と医師が診断を下したのでしょう
「みっともない女と一緒にするな!」「台所洗剤を飲み干し…」家族4人殺し・毒殺夫婦の「異様な家族風景」
(前略)
周囲からサイコパスと称される妻・志保容疑者の素顔について詳しく報じる。知人が語る(以下、「」は知人)
「志保に初めて会ったのは19年頭でした。健一が『子供が生まれるので妻が入院してる。これから面会に行く』というので聖路加病院について行きました。病院の入口まで志保が出て来て、そこで初めて顔を見た。本当挨拶程度でしたが、小柄で大人しそうな人でした」
しかし、その印象は時間を追うごとに崩れ、豹変していく。
「志保には専属のカウンセラーがついていました。ただ彼女はいつも自宅に来たカウンセラーを1~2時間待たせたりすることもザラ。ひどい時は部屋から出てこずカウンセリングを受けずに終わることもよくありました。志保は自身が部屋にこもって出てこないことを『鎖国』と呼んでいました。
私も彼女の部屋を見たことはありますが、床はモノで散乱している状態。キャラクターのぬいぐるみが並んでいて、本当に子供部屋のような感じです。志保は自身でも化粧や着飾ることに執着していて、健一に『SK2を買ってこい!』と命令して買いに行かせることもありました。周囲も健一に『志保の言いなりにならない方がいい』と注意はしていたんですが、彼は聞く耳を持たなかった。
志保は子供の服に関しても着せられないほど大量に購入していました。彼女にとって子供は着せ替え人形のような感覚だったと思います。会って話せば彼女がサイコパスだとすぐに分かります。とにかくウソをつくし、少しでも自分の思い通りにならなければ怒り狂う。相手の立場を考えたりすることができない人物です」
「飛行機に乗らない」
放火事件後、児童相談所が子供たちを保護した際も志保はこんなトラブルを起こしていた。
「ベトナム移住の下見に行った際、志保は飛行機の乗り換え地点の香港で化粧品を大量に購入していた。同行していたシッターさんが健一に『すでに化粧品はたくさん持ってるし、今回は観光で来たわけじゃない。少しは注意した方が良い』と伝えると、ちょうどそれが志保に聞こえてしまった。そこで彼女は怒り狂って、飛行機に『乗らない、帰らない』と騒ぎ出してしまった。
置いて帰るわけにもいかず、どうにか成田まで連れ帰ってきたんですが、今度は成田で大騒ぎ。迎えに来た車にも『乗らない、帰らない』と大喧嘩になった。怒った志保は家の鍵やパスポートもゴミ箱に捨ててしまった。
(以下、略。現代ビジネスの記事から引用)
記事で言うところのサイコパスとは精神病質(人格障害)との意味合いなのでしょう
確かに記事で語られている志保被告の行動からすると、人格障害の類型の1つ、自己愛性人格障害なのではないか、と思い至ります
当ブログでこの事件に言及した際、自分は自閉スペクトラム障害なのかな、と思い浮かびました。が、あくまで報道に接してそう思った、というだけでそれ以上の根拠はありません
いずれにせよ、公判となれば精神鑑定結果が明かされるはずで、鑑定医の判断が公表される前にああだ、こうだと言ってもはじまりません
ただ、それではブログの記事として物足りないため、ここは自己愛性人格障害との仮説に立って書いておきます
人格障害の類型に当てはめ、自己愛性人格障害だと判断したとしても何かを語ったことにはなりません。これは「志保被告はサイコパスだ」と指摘したところで、何も語っていないのと同じだからです
肝心なのは志保被告の自己愛性人格障害と一連の犯行をどう結びつけ、解釈するか、です
自己愛性人格障害と犯行との関係
志保被告の行動を「わがまま」と言ってのけるのは簡単ですが、なぜそうなのか、を考えなければなりません
志保被告と健一被告の関係を端的に表現すれば、志保被告にとって健一被告は「自分のモノ」という認識なのでしょう。人生の中で自分の味方でいてくれる存在、自分をかばってくれる存在がほとんどいなかった志保被告にとり、自分を常に気にかけてくれる健一被告はお気に入りの玩具のような存在だと思われます。そして細谷家の財産は健一被告のものであり=自分のもの、という了解でしょう。他人(たとえ健一被告の実姉、実父であっても)からこれを奪われるのは我慢ができないのであり、徹底して排除しなければ奪われてしまうと考えたと考えられます
自分のモノを守るためなら極めて攻撃的に振る舞い、相手を殺害するのもよしとするのは志保被告にとって当然の事、と推測できます
徹底して自分本位であり、他人の痛みや悲しみ、苦しみなど斟酌しないというのがサイコパスの特徴です
つまり志保被告としては、「自分のモノを奪おうとしたアイツラが悪い」との思考であり、その結果が本件の連続殺人だと解釈されます
繰り返し書いているように、人格障害は精神障害ではないとの扱いが日本の刑事裁判では一般的です。精神障害なら心神喪失で無罪としたり、心神耗弱で減刑といった扱いがされます
しかし、人格障害というだけで心神喪失は認めませんし、心神耗弱として減刑するのも稀です。最近では発達障害も似たような扱いで、発達障害は精神障害ではないので、心神喪失で無罪という判断にはなりません。発達障害の程度に応じ、情状として斟酌し1年か2年減刑する場合はありますが
ですから、志保被告が仮に自己愛性人格障害だとの診断があったとしても、直ちに減刑の対象とはなりません
(関連記事)
不凍液で娘殺害 細谷夫婦は実父も殺害していた
不凍液で娘殺害 細谷夫妻は実姉殺害で起訴
不凍液で娘殺害 細谷夫妻は起訴されたのか?
両親による4歳児殺害 精神鑑定に不満表明
両親による4歳児殺害 細谷志保容疑者とは?
両親による4歳児殺害 娘をネグレクト
児童相談所一時保護児童を連れ去った両親に有罪判決
八戸5歳児虐待死 なぜ面会しないのか?
八戸5歳児虐待死 児童相談所の対応が疑問だらけ
八戸5歳児虐待死 冷水を浴びせ続ける
本庄5歳児暴行死 石井陽子被告に懲役13年判決
本庄5歳時暴行死 石井陽子被告とは
岡山女児虐待死を考える 船橋被告に懲役14年判決
岡山女児虐待死を考える 船橋被告に懲役18年求刑
幼児をエアガンで虐待・死亡させた父親に懲役16年判決
3歳児に熱湯浴びせ殺害 松原被告に懲役10年判決