新潟妻子殺害 求刑通り無期懲役判決
妻子を絞殺したとして起訴されていた元看護師渡辺健被告(31)に対し、新潟地裁は検察の求刑通り無期懲役の判決を言い渡しています
弁護人は不倫相手と生活するため邪魔となった妻子を殺害したものではなく、あくまでも夫婦関係が破綻してしまったため衝動的に犯行に及んだものであり、計画性はなかったと主張してきました
検察側は渡辺被告が計5度にも渡って妻子の殺害を計画あるいは準備をしたとして、殺人罪だけでなく殺人未遂や殺人予備の罪でも起訴しており、犯行の計画性も裁判の焦点でした
そして午後3時に始まった判決公判。
渡辺被告は、これまでと同じ濃いグレーのスーツに身を包み、いつもと変わらない様子で出廷しました。
■新潟地裁 小林謙介裁判長
「主文、被告人を無期懲役に処する。」
新潟地裁は、犯行の動機を「不倫相手との仲が深まっていく一方で、不倫やお金の使い込みが発覚して、妻への不満が高まったゆえのもの」と認定。「極めて自己中心的で身勝手なもので、酌むべき点は皆無」としたうえで、「公判でも殺人未遂・殺人予備に関しては不合理な弁解を繰り返し、自己の犯した罪の重大さに真摯に向き合っているとも言い難い」などとして、渡辺被告に無期懲役の判決を言い渡しました。
最後に、新潟地裁の小林謙介裁判長は渡辺被告に「法廷でのあなたは、いつもどこか他人事のように感じられた。本来あなたが守るべき2人の命を奪ったということを忘れずに、自分の罪と向き合って償い続けてください」と話し、渡辺被告は小さく「はい」と答えました。
弁護側は、控訴について「被告人と話し合って決める」としています。
判決全体についての受け止めについて、専門家に聞きました。
■あくつ法律事務所 飽津史隆弁護士
「(Q.受け止めは?)極めて打倒な結論だった。今回、問題になったのが殺人未遂。それ自体が認定されたのが実務的に大きい意味を与えたと思う。」
飽津弁護士は、殺人未遂罪と殺人予備罪が「無期懲役刑」をより確固たるものにしたと話します。
■あくつ法律事務所 飽津史隆弁護士
「殺人だけでも無期懲役になりうる事案、ただそれだけを起訴したのでは全体像をきちんと示すことはできないと考えたので、殺人未遂・予備も光を当てた。」
遺族は極刑を望んでいましたが、無期懲役の求刑・判決になりました。
■あくつ法律事務所 飽津史隆弁護士
「もし殺人で家族や親族を亡くされた方には人数なんて関係ない。でも、実務的に各事案の公平性を担保するために、どうしても数という点には考慮せざるを得ない。今回2人ということだが、結論的には(求刑・判決は)やむを得なかった。」
(UX新潟テレビ21の記事から引用)
検察の主張をほぼ認めた判決です
5度も妻を殺そうとして果たせず、最後に絞殺しておいて、「計画性はなかった。衝動的に首を絞めてしまった」などと渡辺被告は主張したのですが、いかにも無理筋であり通用しません。その絞殺に使用したロープも渡辺被告が事前に購入し、準備しておいたものです。計画的犯行以外のなにものでもありません
挙げ句に、「妻が娘を殺害し、その後で首をつって死んだ」と、当初は警察に申し立てていたのですから、偽装する気満々だったと判ります
また、勤務先の病院から塩化カリウムを盗み出して隠し持っていながら、「塩化カリウムを使って殺害するつもりはなかった。お守りのようなもので、持っていると安心できた」などの釈明(弁護人が被告に代わって主張)には裁判官も裁判員も「何言ってるんだ、こいつ」と思ったでしょう
この判決を不服として控訴しても、高等裁判所でひっくり返され有期刑に減刑されるとは考えられず、控訴は棄却されるはずです
不倫相手である女性は渡辺被告と入籍し(いわゆる獄中結婚)、毎月刑務所へ面会に通い続けるのかもしれません
無期懲役刑でも仮釈放の対象にはなりますが、仮釈放を審査する際に被害者遺族の同意が1つの条件になります。被害者遺族が仮釈放に反対している場合、それを押し切って仮釈放するわけにはいかないのです。そのため、仮釈放されることなく刑務所で亡くなる無期懲役受刑者が少なくないのが現実です
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