ロシアが北朝鮮軍を投入 死傷者多数
北朝鮮を軍事大国だ、と表現する人がいます。確かに徴兵制によって陸軍の兵士数は多いのですが、装備は旧式であり、何より実戦を想定した訓練がほとんど行われておらず(大規模な演習実施には金がかかるので)、もっぱら軍事パレード用の軍隊と化している感があります。友好国であるロシアや中国との合同演習も実施しておらず、軍を動かす戦術や戦略は朝鮮戦争当時のままなのでしょう。北朝鮮の兵士たちは朝鮮戦争後、実戦を経験していません(小規模な韓国との軍事衝突はありましたが)
そんな北朝鮮の兵士が約1万人、ロシアへと派遣され対ウクライナの最前線に投入されたと報じられています。残念ながら現代戦の経験が皆無な北朝鮮兵士は前線ですり潰され、壊滅するだけだと思われます
以下、デイリー新潮の記事から一部を引用します
(前略)
一方、北朝鮮軍は10月、船でロシア極東のウラジオストックに到着。そのままクルスク州に移動させられ、ロシア軍の軍服や武器を与えられると軍事訓練が行われた。担当記者が言う。
「派遣された北朝鮮軍の兵士は約1万人と見られており、その中には北朝鮮軍最強と言われる特殊部隊『暴風軍団』も含まれています。ニューヨーク・タイムズの報道によると、北朝鮮軍は攻撃部隊と、ウクライナ軍から奪還した占領地域を守る支援部隊の2つに別れているそうです。ウクライナ軍とクルクス州で交戦したのは、ロシア軍の第810海軍独立歩兵旅団と北朝鮮の兵士。合同で作戦に従事したところ、ウクライナ軍と戦闘状態に入りました。ウクライナ軍の占領地域で防御戦に手薄なところはないか、探るための索敵作戦だったと考えられています」
偵察が主任務だったにもかかわらず、北朝鮮軍は相当な被害を受けたようだ。ニューヨーク・タイムズの記事によると、ウクライナ側は死傷者の詳細を明らかにしなかったが、アメリカ当局は「相当数の北朝鮮兵士が死亡した」と取材に答えたという。
言葉の壁は致命傷
とうとう北朝鮮の兵士がウクライナ軍と交戦した。おまけに戦死者が出たというのだから、日本に限らず世界中の人々が驚いたのは当然だろう。だが、軍事作戦の専門家は少し違った視点から「正真正銘の異常事態」だと指摘する。軍事ジャーナリストが言う。
「もしロシア軍がまともな軍隊だったら、北朝鮮から『我々は援軍を派遣できます』と提案されたとしても、即座に断ったはずです。普通、自軍だけで作戦を遂行するにしても、複数の部隊が進軍するだけで綿密な意思疎通が必要です。もし半分がロシア兵、半分が北朝鮮兵といった部隊を編成したとして、ロシア語と朝鮮語ではコミュニケーションが成立しません。1秒で生死が分かれる最前線の戦場で、指揮官と兵士、さらに兵士同士で会話ができないというのは致命的な欠陥です。これなら民間軍事会社のワグネルが採用した囚人兵のほうが、言葉が通じるだけまだマシだと言えるでしょう」
(中略)
北朝鮮軍の兵士は“大砲の餌食”
だが、ロシア軍が北朝鮮軍の兵士に期待しているのは、人手不足の解消だけではなさそうだ。北朝鮮軍の兵士にとって最悪の未来が待ち受けているかもしれない。なぜならロシア軍は自分たちの代わりに北朝鮮兵に死んでもらおうと考えている可能性があるからだ。
「ニューヨーク・タイムズは『小規模な交戦』と表現しましたが、その内容から北朝鮮軍の兵士は『威力偵察』を命じられた可能性があります。これは実際に敵軍と交戦し、敵軍の戦力や装備を探る作戦で、危険な軍事行動であることは言うまでもありません。一般的には装甲車や戦車、ドローンなどを使って実施します」(同・軍事ジャーナリスト)
ところがロシア軍は訓練も装備も充分ではない北朝鮮軍の兵士を自分たちと共に行動させ、最前線で北朝鮮軍の兵士だけに威力偵察を命じた可能性があるという。
「ロシア軍部隊の指揮官は、北朝鮮軍の兵士が駆逐される様子から、ウクライナ軍の配置を偵察したのではないでしょうか。まさにロシア軍にとって北朝鮮軍の兵士は“捨て駒”、“人身御供”なのでしょう。ウクライナのアンドリイ・シビハ外相も17日に『ロシアは北朝鮮兵を大砲の餌食にするつもりだ』と発言しました。かつてロシア軍は囚人兵を大砲の餌食とし、ウクライナ軍の砲列を偵察しました。全く同じ作戦を北朝鮮軍の兵士に命令する可能性があるとシビハ外相は指摘したのです」(同・軍事ジャーナリスト)
(デイリー新潮の記事から引用)
北朝鮮兵士をロシアの部隊に組み入れ、いわば混成状態で作戦行動を行っているようで、現代の用兵理論からすれば「ありえない」やり方です。ロシア語による指揮・命令に即座に反応できない北朝鮮兵を部隊内に組み入れているのは、足手まといでしかないのですが、だからといって北朝鮮兵だけで部隊を運用し、作戦行動させるのは無理があります。そもそも現代戦での戦術理論に基づく訓練が北朝鮮兵には欠けており、戦場でどう動けば良いのかさっぱり理解できていない素人集団にすぎません
なので、ロシア軍の幹部たちは最初から北朝鮮兵を「使えない連中」と見ており、使い捨てる気なのでしょう
金正恩とその一派だけは、北朝鮮兵士は精強だと信じて疑わないのかもしれません。もちろん、金正恩とその一派も現代戦を知らない人たちです
ただ、それでもロシアから多大な見返りが得られるだけに、北朝鮮兵士が1万人死のうと追加で2万人、3万人と送り込むものと推測されます
すでに北朝鮮内の工場にはロシア製の工作機械など、新しい生産設備が続々と運び込まれており、これも派兵の見返りです
北朝鮮兵、ロシアの軍事施設で訓練か
(関連記事)
ロシアは期限切れ小麦粉、北朝鮮は粗末な砲弾を交換
ウクライナ紛争に北朝鮮が軍を派遣?
北朝鮮の最新潜水艦は欠陥だらけと判明
またも北朝鮮偵察衛星打ち上げ失敗
韓国・北朝鮮の「宣伝ビラ」合戦
小学生「防衛費なぜ上げる?」と岸田首相に手紙
反撃能力保有は憲法違反なのか?
北朝鮮の偵察衛星 打ち上げ失敗
北朝鮮が自称「軍事偵察衛星」打ち上げへ
北朝鮮が弾道ミサイル発射 日本の北海道沖に着水
北朝鮮発射の大陸間弾道弾「火星17号」とは
北朝鮮ミサイル発射でも朝鮮学校無償化を叫ぶ人たち
アントニオ猪木「拉致解決で幸せか?」と詭弁
「北朝鮮が北海道に攻め込む?」 韓国の仮想戦記小説
北朝鮮攻撃を「非現実的」と批判 山口二郎法大教授
「北朝鮮有事で想像を絶する被害」と批判する上野千鶴子