「紀州のドン・ファン」 法廷で饒舌な須藤被告
野崎さん殺害の裁判が続いています
状況証拠の積み重ねで犯行に及んだ犯人は須藤早貴被告しかいないと立証する検察に対し、須藤被告はあれやこれやと言い逃れを重ねており、むしろしゃべりすぎではないか、と思われるほどです
弁護人と周到に打ち合わせをし、検察の立証を崩すための言い逃れをあれこれ考え出し、公判の場でしゃべっているわけですが、取ってつけたような言い分では裁判官、裁判員を納得させるのは無理があります
「紀州のドン・ファン」殺人事件の裁判。覚醒剤をめぐる元妻の供述の変遷を検察側が追及しました。
合計２８人という異例の規模の証人尋問を経て、１１月８日、ついに始まった被告人質問。１１日も被告は淡々と供述していました。
須藤早貴被告（２８）は２０１８年、夫で「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家・野崎幸助さん（当時７７）に何らかの方法で致死量の覚醒剤を摂取させ、殺害した罪に問われていて、これまでの裁判では全面的に無罪を主張しています。
１１日は被告人質問の２日目。まず、当初から財産目当ての結婚だったという周囲からの指摘については…
（弁護人）「結婚が遺産目当てと言われていることについてどう思いますか？」
（須藤被告）「（自分から）もらしているというか、全然隠していないし、『１００万円くれるくらいなら結婚する』って社長（野崎さん）にも言っていたし、遺産目当てって誰にも隠してないです」
次に、犯罪に関する検索履歴が確認されている点について問われると…
（弁護人）「平成３０年（２０１８年）２月２８日に『完全犯罪』と検索していますが、それについては？」
（須藤被告）「不気味な事件とか切り裂きジャックとか未解決事件とか猟奇殺人とかサイコパスとか、そういうのが好きで調べていました」
（弁護人）「その後（３月下旬に）『老人』や『完全犯罪』と連続して検索していますが、それについては何か説明できますか？」
（須藤被告）「直前に老人ホームで３人を転落死させて、殺害を認めた男のインタビュー動画を見ていたので、その内容を検索していました」
検索と野崎さんの死亡とは関連がないという姿勢を崩しませんでした。
（弁護人）「あなたは、用意した覚醒剤を野崎さんに口から摂取させて殺したと言われているんですけど、そうした事実があるのかないのか、最後に言ってください」
（須藤被告）「一切ありません」
一方、８日の被告人質問で、野崎さんが亡くなる１か月半前に覚醒剤の密売人と接触したことは認めたものの、「覚醒剤の購入は野崎さんから依頼されたもので、受け取ったのは結局、本物ではなかった」という主張をした須藤被告。
１１日午後の検察側の尋問では、起訴される前に「野崎さんから覚醒剤の話が出たことはない」などと供述していた点が追及されました。
（検察官）「（捜査段階で）野崎さんから購入を頼まれたと言わなかったのはなぜ？」
（須藤被告）「言ったらどうなるか分からないから」
（検察官）「というのは？」
（須藤被告）「現にいまこうして、氷砂糖を買っても逮捕・起訴されているわけですから。当初から殺人者扱いでしたし、怖くて言えませんでした。検事の中でストーリーがあるから、何を言ってもダメだなって」
（MBSニュースの記事から引用）
まあ、いろいろとツッコミどころのある陳述が並んでいます。これも弁護人と事前に打ち合わせていたもので、「完全犯罪」を検索していた履歴についてはどう説明するか、など考えたうえで答えているわけです
最初に書いたように、いずれも取ってつけたような（後付けで思いついた感ありありの）言い分です
特に取り調べ段階で「覚醒剤を買うよう野崎さんから依頼された」とか、事件の核心に当たる内容を裁判が始まってから主張するといった不自然さが目につきます
須藤被告は最初から無罪を主張しているのですから、取り調べが始まった段階で主張していないとおかしいのでは？
「警察があらかじめストーリーを作っていたのだから、言っても無駄だと感じた」との反論も不自然です。積極的に無罪を主張するか、完全黙秘を貫くかは被告の判断であり権利ですが、須藤被告の性格からすれば積極的に反論しまくるタイプと推測されます
弁護人の法廷戦術で、公判の場で反論し検察の立証を覆す作戦だったのかもしれません。が、それにしては上記の記事の須藤被告の反論（何度も書いているように、取ってつけた感）が稚拙に感じてしまいます
そもそも数年前の出来事について、ペラペラと見てきたかのように説明できるのが異常であり、わざとらしすぎです。まともな人間であれば、「７年前の１１月４日の夕飯の献立は何か？」などと訊かれても答えられないのが当たり前です
にも関わらず、２０１８年に野崎さんが亡くなった前後の状況を克明に記憶し、説明している須藤被告は「いかにも」という感じが漂うのです
「思い出せません」とか「記憶が曖昧で…」と言うくらいが丁度よいのに、雄弁に語りすぎるというのは「語るに落ちた」と映ってしまいます
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