追手門学院の退職強要研修 和解成立
大阪府茨木市にある追手門学院(大学から高校、中学まで抱える学校法人)で、事務職員18名を退職させるため研修という名目の罵倒、強制行為があり、これに参加した職員がストレスによって体調を崩し勤務できない状態に追い込まれました。このため労働災害の申請や、学院と研修を実施したブレインアカデミー(本社東京)に損害賠償を求めた訴訟が起こされていました
2022年、この退職強要研修による健康被害が労働災害と認められ、申請した職員に労災の給付金が支給されています
損害賠償請求訴訟の方は今年11月、大阪地裁にて和解が成立したと報じられています
学校法人追手門学院(大阪府茨木市)が実施した「研修」で、パワハラによる退職強要を受けたとして、職員3人が法人などに計3600万円の損害賠償などを求めた裁判が11月6日に終結した。
この日、大阪地方裁判所で開かれた弁論準備手続で和解が成立。追手門学院側が謝罪するとともに、原告3人に計約9200万円の解決金が支払われることになった。
和解成立後に原告3人と代理人らが大阪市内で記者会見を開いた。3人は「研修」の場で人格否定の言葉を浴びせられ、その後も執拗な退職強要を受けたことで精神疾患を発病し、今も通院している。
3人は「こういうことは追手門学院ではもちろん、世の中でも2度と起こらないようにしてほしい」とうったえた。
「この裁判は、自分たちがハラスメントを受けたことに対する損害賠償や、職場に戻してもらうための地位確認を求めていましたが、それだけではありません。自分たちが泣き寝入りすると被害者が他の学校にも増えていくだろうと思い、それは絶対にあってはならないと考えて裁判を起こしました」
和解を受けて思いを吐露したのは、2016年8月当時に追手門学院大学や中学・高校で勤務していた職員3人。
追手門学院とコンサルタント会社「ブレインアカデミー」が実施した研修などによって、執拗な退職強要を受けた結果、精神疾患を発病して休職に追い込まれたとして、法人と川原俊明前理事長、ブレインアカデミー、それに研修の講師をつとめていた男性を相手取り、損害賠償などを求めて2020年8月に提訴していた。
大阪地裁で11月6日に開かれた弁論準備手続で、この裁判の和解が成立した。和解条項には追手門学院が3人に謝罪すること、今後教職員に退職勧奨を含む不相当な言動をしないこと、それに3人に計約9200万円の解決金を支払うことなどが盛り込まれた。職員側の勝利的和解と言える内容だった。
(以下、略。弁護士ドットコムの記事から引用)
本件は研修とは名ばかりの、講師が一方的に怒鳴りつけ、罵倒し、人格を否定した上で退職するよう強要するものでした。それを1日8時間、5日間実施しています
学校事務の職員も50代になれば給与が高くなりますので、彼らを退職させ給与の安い若手に置き換えようと企んだのでしょう
追手門学院の中の誰がこんな研修という名のクビ切りを考えたのか不明ですが、労働災害が認められましたので従業員を危険にさらした責任が問われます。さらに休業補償の支払いや訴訟費用など、もろもろ追手門学院が負担する形になっており高い代償を払っています
こんな結果になるなら最初から勧奨退職制度を導入し、退職金を上乗せするので辞めてもらう形にした方がよかったはずです
なお、ブレインアカデミーは研修を委託していた講師が勝手に退職を強要した、と言い逃れをしていました
しかし、追手門学院とブレインアカデミーとの間で、退職に追い込んだ場合に成功報酬を支払う契約があったとバレてしまい、結局ブレインアカデミーも「受講者に対して当事者意識を確立して欲しいという思いで誠実に研修をしましたが、弊社の講師が委託の趣旨に反する一部不適切な発言を行いました。受講生の皆様及び学校法人追手門学院様に多大なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」と声明を出しています
解決金ついては追手門学院とブレインアカデミーで、どちらがどれだけ負担するか、話し合うのでしょう。ただ、ブレインアカデミー側はあくまでも契約に従い業務を遂行しただけ、として解決金の負担に応じない可能性が高く、結果的に追手門学院が全額負担するのでは
他の企業、学校などでも「研修」という名目で退職に追い込むようなビジネスがまかり通っていたりします。悩んだ末に退職届を出したり、自殺することがないよう、こうした悪行を許してはなりません。本人の意志に反して退職を強要すれば労働協約に反するわけで、労働契約法違反に問われますし、刑法の強要罪に問われる場合もあり得ます
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