メタノールで妻殺害 懲役16年の判決
自宅マンションで妻にメタノールを飲ませ、中毒死させた吉田佳右被告に対し、東京地裁は懲役16年の判決を言い渡しています(求刑は懲役18年)
求刑から2年ほど割引いた量刑判断は、妻の側にも家庭内不和を醸成した責任があったと斟酌した結果なのでしょうか?
吉田被告側は妻が自らメタノールを飲んで自殺を図ったと主張していましたが、判決では退けられています。自殺を明確に立証できない上に遺書もないのですから、裁判官が自殺説を退けるのは当然でしょう
妻にメタノールを摂取させて殺害したとして、殺人罪に問われた夫で元大手製薬会社研究員の吉田佳右被告(42)の裁判員裁判で、東京地裁(坂田威一郎裁判長)は30日、懲役16年(求刑懲役18年)とする判決を言い渡した。被告は無罪を主張していた。
吉田被告は2022年1月、東京都内の自宅マンションで、妻(当時40)に何らかの方法でメタノールを摂取させ殺害したとして起訴された。
メタノールは実験器具の洗浄などに使われ、飲み込むと吐き気や意識障害などを引き起こす。失明する例もあり、死亡する場合もある。
被告が妻にメタノールを摂取させたことを直接的に示す証拠はなく、検察側は公判で、間接的な事実を積み上げ「被告が犯人だ」と主張した。具体的には、妻の携帯電話などを解析しても自殺につながる言動や動機はなくメタノールの購入歴もなかった▽製薬会社で働く被告はメタノールを職場から持ち出すことができた▽妻から繰り返し中傷され、殺害する動機があった――などと指摘した。
被告側は「妻に殺意を抱いたことはない」と反論した。夫婦が不仲だったため孤立感などから自殺した可能性がある▽メタノールが買える薬局などが自宅周辺にあった▽被告が薬物で殺害するのは疑われやすく殺害手段も不確実だ――などと主張していた。
(朝日新聞の記事から引用)
亡くなった妻は自宅内でメタノールを摂取したと考えられますので、外部犯の可能性は消えます。となれば自宅にいた吉田被告しか犯行可能な人物はいません
もし自殺だと主張するのであれば、妻がどこでメタノールを入手したのか、どこの薬局かドラッグストアで購入したのか、立証する必要があります。しかし、弁護側は妻が自殺を図るためにメタノールをどこで購入したのか、立証できませんでした
そもそも「妻が自殺した」と言い張っているのは吉田被告だけなのです
繰り返し書いているように、メタノール中毒は即死ではなく中毒症状に苦しんだ末に死に至るものですから、わざわざそのような苦しい思いをして自殺を図る者はいません。別の薬物を使うか、別の手段で自殺を図るでしょう
法廷では吉田被告の供述により、夫婦関係が壊れ、互いの憎悪し合い、暴力の応酬となった経緯も明かされています(が、あくまで吉田被告の言い分です。妻には妻の言い分があったはずです)
そのドロドロの内幕を報じた記事もありますが、引用してもあれなので当ブログでは触れないことにしました
吉田被告がメタノール中毒に苦しむ妻をほぼ1日、自宅で放置していたのも妻への報復という意味合いだったのでしょう。これについて吉田被告は「ただの二日酔いだと思った」と供述しています。しかしそれでは「妻は自殺した」との言い分と矛盾します
計画を練って妻を殺害したのですが、実はおそろしく杜撰な計画であり犯行だった、という事件です
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