ドラマ「その着せ替え人形は恋をする」不評: 夾竹桃日記

2024年10月26日

ドラマ「その着せ替え人形は恋をする」不評

人気漫画や人気アニメのテレビドラマ化が批判され、低視聴率で終わる現象は珍しくありませんし、同様に実写映画化されてコケる作品も多くあります

他方でNHKがドラマ化した「岸辺露伴は動かない」のように、実写化が難しいだろうと言われる作品を鮮やかにテレビドラマに仕立てた例もあります

どこで成功と失敗が分かれるのか、自分なりに考えてみました

例として挙げるのが、漫画「その着せ替え人形は恋をする」のアニメ版とテレビドラマ版の評価です

『ヤングガンガン』で連載中の漫画『その着せ替え人形は恋をする』の実写ドラマが10月8日にMBS系列でスタートした。現在第2話まで放送されているが、原作ファンからドラマ内容に対する批判がXで殺到する事態になってしまっている。

同作は単行本の累計部数が1100万部を突破し、22年にはアニメ化されて大ヒットした人気漫画。雛人形制作が趣味の内気な男子高校生・五条新菜と、見た目はギャルだがコスプレ好きのオタクな女子高校生・喜多川海夢の成長と恋を描いた物語で、コスプレを軸としたラブコメディだ。

実写ドラマでは、主人公の五条新菜役を「メンズノンノモデルオーディション2023」の準グランプリ受賞者の野村康太（20）、ヒロインの喜多川海夢役を『SEVENTEEN』の専属モデル経験のある永瀬莉子（22）が演じている。

「原作ファンは、主要キャラクターの行動や言動が原作からかけ離れていると指摘しています。特に批判が集まっているのは、第二話でコスプレ衣装を制作するために、五条が海夢の採寸をするシーンです。原作では海夢がビキニの水着姿になるのですが、ドラマではかなり露出の抑えられた衣装に変更されていました。

このシーンは趣味のためなら細かいことに頓着せずに突き進む海夢と、海夢の大胆な行動に動揺しながらも自分の仕事を完遂しようとする職人気質の五条……という二人の性格や信念が浮き彫りとなる重要な場面です。しかし、ドラマでは結局五条が緊張して固まってしまい、海夢がほとんど自分で採寸したというように描かれました。この“改変”にはがっかりしたファンも多かったようです」（テレビ関係者）

《どれだけ海夢の水着姿に緊張しようと正確に測る為に採寸は自らの手で完遂する　五条新菜を侮辱するなと言いたい》

《五条くんは見習いかもしれないけど、雛人形つくるために、頑張ってる職人気質の子なのよ。採寸任せるわけがない》

《サービスカットの要素も含まれてるけど、コスプレ衣装をきっちり作ってほしいから体型を正確に測るためにビキニを着ているのであって、それは五条くん（異性）に対する恥ずかしさよりコス愛が上回った結果の行動なんだよね》

（以下、略。女性自身の記事から引用）

原作漫画、アニメファンの熱量の高さ、思い入れの深さに圧倒されるコメントが並んでいます。引用から省略した部分では、五条新菜が「祖父の仕事を継ぐ人がいないから、仕方なく（雛人形作りの職人を目指している）」というドラマのセリフが槍玉に挙がり、「五条君は決してそんなセリフは口にしない」とファンが憤っています

ファンは原作の世界観、キャラクターの性格や心情を何より慮り、大切にしているので改変には敏感であり、「許せない」と感じるのでしょう

他方で、ドラマの制作陣にとって「その着せ替え…」は数あるドラマの１つに過ぎないので、そこまで思い入れはなく、世界観もキャラクターも自分たちで適当に改変し、「そら、こうした方が面白いだろ」などと余計なシーンを盛ってファンを激怒させる結果を招く、と考えられます

テレビ局にとっては１クールの放送枠を埋める駒にすぎず、話題になってくれたら「続編もやるか」程度の感覚で、ファンのような熱量は最初からありません

そしてテレビドラマで見せたいシーンは出演する俳優たちのあれやこれやであって、物語の土台である世界観ではない、というのもファンは物足りなく感じる所以でしょう

アニメ「その着せ替え…」では本編とは別に「おまけ」の動画があり、こちらも人気となっています。海夢がコスプレやメイクをするシーンがきっちりと描かれており、ファンが見たいのはこれ、だというのが判ります

アニメ『その着せ替え人形は恋をする』「大変身!!着せ恋的ビフォー・アフター」