女子高生の遺体を車に 安栖被告に懲役24年判決

前回、この事件を取り上げた際、「被害者が1人の殺人事件で、懲役28年の求刑というのはかなり踏み込んだ判断」だと書いたのですが、よくよく考えれば本件は殺人と遺体遺棄だけの事件ではなく、被害者である女子高生を強姦した直後に絞殺していますので、不同意性交等致死傷罪に問われてもおかしくない犯行です
不同意性交等致死傷罪は無期懲役または6年以上の懲役刑が法定刑です。これに対し、殺人罪は死刑または無期懲役もしくは5年以上の懲役と定められており、最高刑が死刑となっている分、殺人罪の方が刑罰は重いので、殺人罪で起訴したのでしょう
安栖達也被告に対し、宇都宮地裁は懲役24年の判決を言い渡しています


去年、SNSで知り合った女子高校生に性的暴行を加えたうえ殺害し、栃木県内でレンタカーに遺体を遺棄した罪などに問われている男に対し、宇都宮地裁はさきほど懲役24年の判決を言い渡しました。
安栖達也被告(29)は去年10月、千葉県の女子高校生(15)に性的暴行を加えたうえ、首を絞めて殺害し、遺体を栃木県上三川町までレンタカーで運んで遺棄した罪などに問われています。
これまでの裁判で検察側は、「犯行の2か月前から『殺人逮捕まで』『首絞め後』と検索するなど、犯行は衝動的でなく計画的」と指摘。
そのうえで、「被害者の恐怖感、絶望感、肉体的苦痛は極めて大きい」として、懲役28年を求刑していました。
一方の弁護側は、「被害者と会う約束をしてから短期間で会っていて、殺害を計画するきっかけがない」などと、犯行の計画性が無いとして、情状酌量を求めました。
安栖被告は、最終の意見陳述で「人生だけでなく、人の命まで奪ってしまい、なんてことをしてしまったんだろうと思いました」「刑務所で事件のことを思い返しながら1日1日反省していきます」などと述べていました。
(TBSニュースの記事から引用)


ここ最近の裁判では、被告が犯行前にスマートフォンで「完全犯罪」とか「死体遺棄」など検索し、犯行のヒントを探す行為を「計画的な犯行」の現れと認定し、「衝動的な犯行であり計画性はない」とする被告側の言い分を退ける判決が目につきます。日本の刑事裁判の場合、「計画的な犯行」はより重く罰せられますし、「衝動的な犯行で計画性がない」ものは刑が軽くなる扱いです
ゆえにほとんどの刑事裁判で被告は計画性を否定するわけです
安栖被告の場合、女子高生と知り合ってすぐに呼び出し(会いたい、などと要求したのでしょう)、車の中で招き入れて強姦し、直後に絞殺する犯行であり、最初から強姦して殺す気満々だったと考えられます。弁護人は「素手で絞殺しており、凶器を準備していなかったのだから計画性はない」と弁論していました
なぜ、そうも短絡的に強姦して殺害、という犯行を思い立ったのか、動機の部分は裁判で争点にならず報道もされていません。安栖被告は法廷で殺害と遺棄、強姦については認めたものの、その後は検察官の質問に答えず黙秘する…という公判でした
記事の末文にも「なんてことをしてしまったんだろうと思いました」という安栖被告の意見陳述が引用されていますので、被告自身が犯行の動機を深くは洞察することなく、明確な理由・事情・背景を認識していないのでしょう。自身の犯行について深く考えたくないのか、考えることができないのか、考えたとしてもそれを口に出し、公判で陳述する気にはなれなかったのか?
個人的にはそこが一番知りたいところですが

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