久留米妻殺害遺棄事件 夫は借金まみれ
久留米市で小学校教諭だった妻を殺害し、遺体を自宅に遺棄したとして逮捕起訴された渡邉司被告の公判が続いています
渡邉司被告は知人とウェブ広告関連の会社を起業したものの、経営がうまくいかず、消費者金融から400万円以上借り入れ、なおかつ実母からも1000万円以上借りていたと公判で明らかにされています。明らかに火の車だったのですが、それでも妻と共同でマンションを購入することになり、渡邉被告が半分の約2400万円を支払うことになっていました。が、当然、支払うなど不可能です。なぜ、妻に会社の経営実態を伝えず、マンション購入の話に乗ったのか?
それだけ借金して経営が軌道に乗らない事業なら見切りをつけて清算し、どこから働き始めた方がましでしょう
■家族4人での生活 夫婦の収入格差
渡辺被告と彩さんは約15年前、彩さんが20歳の大学生、渡辺被告が26歳の時に出会った。
2013年に結婚。
事件当時は9歳の長女と5歳の長男と4人で暮らしていた。
検察側の冒頭陳述によると、彩さんは福岡県久留米市内の小学校に勤務し、月に約30万円の収入があった。
当時は6年生の担任を受け持ち、「優秀で子供思い」などと校長や同僚からの信頼も厚かったという。
一方、渡辺被告は2006年、知人とウェブ広告関連の会社を起業した。
しかし2021年9月からは定収がなく、消費者金融から400万円以上の借金があったほか、実母からも1180万円を借りていた。妻の彩さんには「5000万円超の投資信託がある」と嘘を言っていたという。
■新築マンション購入めぐりトラブル
事件がおきた去年9月、夫婦は新築マンションのギャラリーを訪れ、販売価格4790万円の部屋の購入を決めた。
2400万円を彩さん名義でローンを組み、残りの2390万円は渡辺被告が支払うことにした。2390万円のうち470万円を手付金として振り込むことになっていたが、渡辺被告が手付金を支払うことはなかった。
(中略)
(彩さんの父親の供述調書より)
遺体を発見した日は、車の中に司さん(渡辺被告)がいて、彩のことを尋ねると言葉を濁し、要領を得ないことを話していました。
部屋に向かっているとき、司さんから「彩は死にました」と聞きました。
弟2人が鍵を取り上げて急いで部屋に行くと、ベッド上でなくなっている彩を発見しました。
「何でここまでほったらかしていたのか」と尋ねると「子供たちになんて言ったらいいか分からなかった」「9月21日にビニールで首を吊って自殺しました」と言われました。
「どこでね」と尋ねると黙り込み「すみません」と小さな声でずっと言っていました。
(以下、略。RKB毎日放送の記事から引用)
記事を読んでも彩さんが自殺する理由がさっぱりです。渡邉被告は妻が自殺したと言い張るものの、自殺の原因や理由など説明できないままです。弁護人は渡邉被告の主張に沿って弁護をしますので、「自殺した可能性が否定できない」と弁論を行っていますが、内心は「無理筋だろ」と思っているのでしょう
記事の引用からは省略しましたが、出廷した解剖医は死因が絞殺によるものとの見解を示し、弁護側が証人として招いた法医学者は自殺と判断できると証言しています
遺体が腐敗していた状態ですから精密な鑑定はできておらず、喉の骨が折れた状態が発見されたのを絞殺によるものか、縊首自殺によるものかで解剖医と法医学者の見解が分かれた状態です
が、上記の記事を読んでも渡邉被告に妻を殺害する動機(妻から住宅購入代金2400万円のうち、手付金分を振り込まなかったことで叱責され、憤慨)こそあれ、妻が自殺する理由は見当たらないのであり、渡邉被告は「殺していない」と立証できていません
殺害していないと主張するなら、それを積極的に立証していかないと裁判では勝てないのです
渡邉被告は事業がうまくいかないのに経営が軌道に乗っているかのように妻には装っていたのでしょうし、5000万円分の信託財産があると嘘をついていました。見栄を張り続けた結果が、今回の殺人だと思えてなりません
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