大和川溺死事件 偽装工作の数々

大和川で遺体が発見された男性が他人を受取人として生命保険をかけていた事件は、保険金殺人との疑いが浮上し、保険金の受取人になっていた井上司容疑者(61)が逮捕されています
逮捕される前、井上容疑者は取材に応じているのですが、不自然なくらい「(亡くなった男性が)自ら川に入ったとしか考えられない」と事故を強調する発言を繰り返していました
毎日新聞の記事と読売テレビの記事の2本を貼ります


--池田さんが亡くなる直前まで一緒にいたのか。
12月4日昼、2人で誘い合わせて大和川の河川敷に行った。無職の池田さんが仕事を始める時に備え、体力作りをするためだった。池田さんは3キロのダンベルを利用したり、足に付ける重りを使ったりして鍛え、私はウオーキングをしていた。重りは3日に私が買ってあげたものだ。池田さんはそれらの器具をリュックに入れ、自転車で帰ると話していた。私とは現地で別れた。
5日朝、池田さんの用事で市役所に行く予定だったが、待ち合わせに現れなかった。自宅に帰った様子もなかったのでおかしいと思って警察に相談した。
--池田さんが亡くなったと知り、どう思ったか。
◆本当にびっくりしたが、川には自分で入ったとしか思えない以前にも「カモを見ていた」と言って川に落ちたことがあった今回も同じだと思う
--池田さんの生命保険の受取人になっていたという話もある。
◆池田さんが自分で手続きをした。ただの友人なので断ったが、気づいたら私が受取人になっていた。私は保険金を受け取っていないし、受け取るための手続きもしていない。池田さんに返してもらっていない金もあるが、保険金殺人だと疑われたらかなわない。
(毎日新聞の記事から引用)

保険金目的で、知人の男性を川で溺死させたとして逮捕された男が、事件直後、男性の行方不明者届を自ら警察署に出しに行っていたことが新たにわかりました。
29日朝、送検された無職の井上司容疑者(61)は2023年12月上旬、保険金目的で知人の池田明弘さん(当時63)を大阪府柏原市の大和川に転落させ、溺死させた疑いがもたれています。
属ちひろ記者:「井上容疑者は事件後、八尾警察署に自ら池田さんの行方不明者届を出しにきたということです」
(読売テレビの記事から引用)


亡くなった男性のリュックからダンベル(遺体が水面にすぐ浮かばないよう、井上容疑者が重しとして入れたと推察されます)が発見されても不自然と思われないよう、「河川敷でダンベルを使い筋トレをしていた」などと主張しています
自分に疑いがかかるのを想定し、あらかじめ弁解を用意していたのでしょう
そして保険契約も、「気がついたら自分が受取人にされていた」などと説明しているところも随分と不自然です
保険契約がどのように締結されたのか、警察は当然ながら調べているはずです。現在ではインターネットの手続きだけで契約できる保険もあります。昔ながらの保険会社の営業担当者を介した契約であれば、受取人が親族以外に指定されているのを怪しみ、よくよく確認したはずですし、警察の聴取にもそのように説明するでしょう
逆にインターネットや郵送手続きだけで契約していたなら、十分な審査もせずそのまま契約を結んでしまったのかもしれません(本来はきちんと審査した上で契約を結ぶはずですが、保険会社によって対応が異なるとも考えられます)
そして保険金殺人との嫌疑がかかり、取り調べを受けるようであれば保険金の受け取りを諦め、殺害はしていないと言い張って免れる算段だったと思われます
大和川に架かる橋の欄干の高さがどの程度なのか不明ですが、通常は歩行者が転落しないよう十分な高さの欄干を設置しているはずで、それを乗り越えて川に転落するというのもひっかかります

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