韓国ウェブトーン 人気低迷

当ブログでたびたび取り上げてきた韓国の縦読みマンガ・ウェブトーンですが、配信を手掛ける韓国企業の収益が落ち込み、とても右肩上がりで日本の漫画市場を追い越す…とは言えない状況になってきました
その1つが既に報じられている「NAVER」の子会社「ウェブトーンエンターティメント」の苦境です。2023年6月にアメリカのNASDAQ市場に株式を上場したものの、その後は収益悪化の情報もあって株価が下落し続けており、回復の兆しは見えません。同社は創業以来黒字になったことはなく、慢性的に赤字経営を続けてきたのが実際です。そして今後も、お金を払ってウェブトーンを読もうという有料会員が右肩上がりで増えるとは考えられず、収益は赤字に沈んだままでしょう。当然、株価も低迷したままです


新時代の漫画コンテンツとして期待された韓国発の縦読みウェブ漫画「ウェブトゥーン」が苦境に立たされている。
振り返れば今年6月、韓国最大手IT企業NAVER(ネイバー)のグループ会社「ネイバーウェブトゥーン」の親会社「ウェブトゥーンエンターテインメント」がナスダックに上場した。上場初日は株価が公募価格より10%近く上昇し、「アジアのディズニー」という声まで上がった。
しかし、ここがピークとなってしまう可能性が出てきた。
業績不振で集団訴訟まで
原因は、ナスダック上場後、初めて公表された第2四半期の業績発表だ。
去る8月9日に発表されたウェブトゥーンエンターテインメントの2024年第2四半期の売上は、前年同期比で0.1%増加し、3億2097万ドル(約472億円)だった。ただ営業利益はマイナス7660万ドル(約112億円)の赤字だ。
市場の期待値である売上3億4080万ドルを下回り、営業赤字も想定より大きかった。
また、ユーザー数の急減も顕著だ。第2四半期の「月間アクティブユーザー数(MAU)」は1億6630万人で、前年同期比で0.8%減少。第2四半期の「月間有料ユーザー数(MPU)」は780万人で、前年同期比で0.4%減少している。
特に最大市場である韓国では、前年同期比でMAUが6.6%、MPUが7.3%減少した。韓国のMPUは2022年第1四半期以降、400万人台を維持してきたが、2023年第4四半期に390万人に減り、今年第1四半期380万人、そして第2四半期に370万人となった。
日本ではMAUが1%、MPUが15.5%増加し、全体の減少をある程度食い止めたが、全体の売上を引き上げるには至らなかった。
さらに、ユーザー1人当たりの有料コンテンツからの平均収益(ARPU)は11.2ドルで、前年同期比で1.4%増加したが、韓国では9.9%、日本では5.7%減少しており、その他の国での上昇でカバーされた形となった。最大市場の反応は鈍いままだったわけだ。
ウェブトゥーンエンターテインメントは現在、アメリカ現地の株主たちによる集団訴訟を受けようとしている。
株主たちは「上場後6週間で発表された第2四半期の業績が証券市場のコンセンサスとかけ離れていることは、ウェブトゥーンエンターテインメントが上場時にS-1(証券申告書)などに記載すべき内容を故意に省略したか、虚偽情報を提供した可能性が高いことを意味する。業績の悪化が株価の急落につながり、投資家に損失をもたらした」と主張している。
実際に第2四半期の業績発表後、株価は8月8日の20.6ドルから翌日には12.7ドルへと38.3%下落。最近では10ドルを下回る懸念まで出ている状況だ。
ウェブトゥーンエンターテインメントは、第3四半期の売上予測を3億3200万ドルから3億3800万ドルと発表したが、これは市場予測の3億5100万ドルを下回る数字だ。
とある韓国メディアは「韓国や日本のユーザーの間では、ネイバーウェブトゥーンの連載作の数は増えたものの、実際に読む価値のある作品を見つけるのが難しいという不満が出ている。1つの作品が人気を集めると、似たようなジャンルの作品が次々と登場し、多様性に欠けるという指摘がある。最近の作品は主に『学園もの』や『転生もの』に偏っており、ストーリーだけでなく『絵柄も似通っている』という批判も一部のユーザーから上がっている」と厳しく指摘した。
新時代の漫画プラットフォームとして期待され、その市場規模は2022年50.6億ドルから、2031年には849億ドルにまで拡大するとの予測もあるウェブトゥーン。その先頭を走るネイバーウェブトゥーンがここから持ち直すのか、注目したい。
(サーチコリアニュースの記事から引用)


韓国メディアの中には、「いつかウェブトーン作品の中から『DRAGON BALL』のような作品が誕生するはず」だと楽観視する向きもあります。が、「いつか」ではなく「いま」が問題なのです。現状でヒット作品がないままですから、いつまで経っても有料会員は増えません。「無料で読める」との宣伝に釣られて来る者はいても、有料会員にならないのですから
つまりは「無料で読める」とのビジネスモデル自体が収益の足を引っ張っているとも考えられます
上記のような韓国メディアの記事を読んでも、どのような作品が売れているのか、収益に貢献しているのか、さっぱり伝わってきません
「全世界15億ページビュー」などと宣伝し、人気を誇示していますが、その99%は無料で読まれているだけなのでは?
記事を読んでも、解決策があるようには思えないのです。それに株主が注目してるのは四半期ごとの売上ではなく、収益の方です
さて、先にも取り上げた人気ウェブトーン作品「黒の月:月の祭壇」のアニメ化ですが、これ1作だけでウェブトーンの人気を盛り返すのは到底不可能でしょう

'Fatal Trouble' FMV | DARK MOON SPECIAL ALBUM 'MEMORABILIA'

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