京都アニメーション放火事件 青葉被告の控訴趣意書

京都アニメーション放火事件では青葉被告が1審で死刑判決を受け、これを不服として控訴しています
弁護側が控訴趣意書を提出したと報じられており、それによれば1審での責任能力認定に誤った判断があると主張し、争う方針のようです
青葉被告は起訴前と起訴後、2度の精神鑑定が実施されており、いずれも犯行時は心神喪失や心神耗弱の状態ではなかったとし、刑事責任を問える精神状態だったと鑑定意見がつきました


36人が死亡、32人が重軽傷を負った令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件で死刑判決を言い渡された青葉真司被告(46)側が、刑事責任能力があるとした1審京都地裁の判断に誤りがあるとする控訴趣意書を大阪高裁に提出したことが2日、関係者への取材で分かった。1審に続き、控訴審でも責任能力が争点になる。初公判の期日は決まっていない。
1審公判で検察側は、被告が妄想性パーソナリティー障害だったとした起訴前鑑定結果から「完全責任能力がある」と主張したが、弁護側は妄想性障害があったとした起訴後鑑定を基に「心神喪失や心神耗弱状態だった」と訴えた。
今年1月の地裁判決は起訴後鑑定を踏まえ被告に妄想性障害があったと認め、動機の形成に影響したと認定。しかし犯行においては「妄想の影響はほとんど認められない」とし、善悪を区別して犯行を思いとどまる能力は「多少低下していたとしても、大きな減退まではなかった」と完全責任能力を認めた。
関係者によると、控訴審で弁護側は起訴後鑑定自体は問題とせず、犯行における妄想の影響に対する裁判所の評価を争う。1審に続き、被告に完全責任能力があったとしても絞首刑は残虐で違憲とする主張もする。
(産経新聞の記事から引用)


弁護側が控訴審でどのような弁論を展開するのか、公判が始まらないと判りません。が、強いて憶測するならば1審の判断による「妄想障害はあったが、善悪の判断はできており、刑事責任能力が減退する心神耗弱じょうたいではなかった」との判断を誤りとし、「妄想の影響による正常な判断ができない精神状態にあったのだから、心神耗弱を認め、罪一等を減じて死刑ではなく無期懲役刑とすべきだ」と主張するのかな、と想像します
弁護人は何が何でも死刑判決を回避させたいのでしょう
ただ、この事件では36人が死亡し、生き延びた人の中にも火傷の後遺症や精神的なストレスに悩まされている方たちがいます
青葉被告の死刑を回避し、無期懲役判決を得たとしても、遺族や被害に遭った人たちの心が晴れたりはしないでしょう
弁護人は1審に続き、「死刑は残虐な刑罰だから違憲だ」と主張するつもりのようですが、青葉被告の犯行は死刑以上に残虐なものです。青葉被告の犯行の残虐さは不問にし、死刑の残虐さは許せない…といった理屈は通用しませんし、世間一般の支持も得られません
そもそも全身に火傷を負い、身動きもままならない青葉被告に死刑を執行する可能性は限りなくゼロです。拘置所に死刑囚として死ぬまで拘置し続けるだけです
なので、死刑は残虐な刑罰で違憲だと主張し、死刑判決を回避しようとする弁護人の戦術は「なんだかなぁ」と思うばかりです。いったい誰が得をするのか、と

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