風力発電反対派の情報を警察が漏らし裁判 岐阜
少々わかりにくい裁判のニュースです
中部電力の子会社「シーテック」が岐阜県内に建設を計画した風力発電を巡り、一部の住人が反対運動を展開していました。この反対派住民4名の個人情報を岐阜県警大垣署の警察官が「シーテック」側に漏らした、として裁判になっていたものです
1審、2審の裁判で岐阜県側が敗訴したため、最高裁への上告を断念したと報じられています。これで住民1名につき110万円の賠償支払いと警察が保有する個人情報抹消を命じた判決が確定しています
中部電力の子会社が岐阜県大垣市で計画した風力発電事業を巡り、県警大垣署が反対住民の個人情報を収集したのは違法とし、県に計440万円の支払いと保有情報の一部抹消を命じた名古屋高裁判決について、県は2日、上告しないと発表した。理由は「上告審で当方の主張を十分に立証することは困難であると判断した」としている。2日が県の上告期限だった。原告側も上告しなかったため、判決は確定する見通し。
原告は県内の住民4人で、県警が違法に収集した氏名や病歴、市民活動歴などの個人情報を子会社側に提供したことでプライバシーを侵害されたなどとして、国や県に損害賠償と個人情報の抹消を求めていた。
9月13日の高裁判決は、県警による情報提供に加え、情報収集の違法性も認定。1審・岐阜地裁判決を変更し、県に1審から倍額の計440万円の支払いや、保有情報の一部抹消を命じた。「市民活動を際限なく危険視し、情報収集、監視を続けることは憲法に反する」などと違憲性についても指摘した。
県警は抹消命令を受けた情報について「今月1日に県公安委員長立ち会いの下、抹消した」としている。
(毎日新聞の記事から引用)
環境保護団体が極左政治組織の隠れ蓑になっているのは広く知られているところです。一般論としてそうした団体は法務省の公安調査庁か、警察庁警備局内の公安部門と各都道府県警察の警備課内の公安係が監視を行います。ちなみに法務省の公安調査庁と警察の公安部門は仲が悪いと言われます。これは厚生労働省の麻薬取締部門と警察の薬物対策係の仲が悪いのと同じで、同族嫌悪なのでしょう
都道府県警察においても公安係の予算は県警予算とは別枠になっており、警察庁から直接予算が配布されます。活動内容を知られないためでしょう
このように岐阜県警の警察官といえど、県警警備課内の公安係がどのような活動をしているのか知らない、というのが通常です
なので、本件でも風力発電反対派住民の個人情報(学歴や職歴、交友関係など)を収集したのは公安係の警察官ではないかと推測されます
一部メディアは記事に、「岐阜県警が上告を断念した」と書いていますが、本件訴訟の相手となっているのは岐阜県警ではなく岐阜県です。組織上、県警は都道府県に所属する組織という扱いで、予算の都道府県の予算の枠内で扱われます。よって、本件の敗訴による賠償金は岐阜県の予算から捻出されるわけで、次の県議会に補正予算を上程するとともに県警本部長が議会で陳謝を表明するのでしょう
ただし、「公安警察活動の一環として環境活動家の個人情報を収集していた」などと言うはずもなく、「個人情報の取扱について十分注意するよう指導した」と述べるにとどまるのでは?
ちなみに県警の公安係の活動としては、共産党の発行する新聞「赤旗」の購読者をリストアップというのもあります
県民の知らないところで公安係がせっせと個人情報を収集しているのが実情です
事件の背後にあるもの
ただ、岐阜県警の1警察官が個人情報収集しタダで電力会社に手渡すという考えにくいのです。特に公安警察の場合は
勝手な想像をすれば、岐阜県選出の国会議員に電力会社が頼み込み、国会議員から警察の幹部を経由して情報の収集を依頼したのではないか、と考えられます。岐阜県選出の国会議員の中には国家公安委員長(警察庁を監督する部署)を務めた棚橋泰文とか古屋圭司などがいます。そうと決めつけるわけにはいきませんが、政治献金と引き換えに政治家が官庁に口利きをするというのは珍しくありません
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