ススキノ首なし遺体 録音で瑠奈被告の罵声を再生

ススキノ首なし遺体事件で共犯に問われている田村浩子被告の第4回公判が、10月1日に札幌地裁で行われています。法廷では弁護側が提出した証拠の1つ、田村瑠奈被告の声が再生された、と報じられています。これは精神科医である父親田村修被告が、瑠奈被告の症状について他の精神科医の見解を求めるため録音した音声データの一部なのだそうです
瑠奈被告が大声で父親に罵声を浴びせる、鬼気迫る様子に裁判員も傍聴人もさぞかし驚いたのではないでしょうか?


丁寧なお辞儀に始まり、流された絶叫音声
10月1日、法廷に現れた浩子被告は、白髪混じりの髪を後ろでひとつにまとめ、濃いグレーのアンサンブルでロングスカートという服装だった。メガネをかけて、入廷時には丁寧にお辞儀をしていた。
弁護側の証拠として法廷で再生された音声は、弁護人によると、もともとは「精神科医に診てもらうために修が録音していたデータ」で、60時間以上あるものを7分程度に編集したものだという。裁判を傍聴したジャーナリストの高橋ユキ氏が語る。
「これまでの公判で、弁護側は、『瑠奈被告は複数の人格が入り込んでいるという“ゾンビ妄想”を抱えている』と主張しています。5~6人の魂を持っており、『シンシア』や『ルルー』などと名乗っていたといいます。そのためでしょうか、音声データの中で瑠奈被告は、『I want to kill you』など頻繁に英語を口にしていました。大声だったり泣き叫んでいたりするので、もはや聞き取りにくい部分もありましたが……。
“瑠奈被告は修被告が自分の要求に従わないことに不満を持っている”のような説明とともに再生された2022年12月4日22時頃の音声データでは、瑠奈被告が『I want you follow my order(私の命令に従え)』と言っていました」(高橋ユキ氏、以下同)
2023年1月22日23時頃に録音された音声データは、傍聴人たちを特にギョッとさせた。「テメーよ! とっとと消えろ!!!!」「ちょっとでも力をつけて、テメェら殺してやる! ずっとそう思って生き延びたんだよ!!!」「あんたの責任は、あんたが首絞めて……。それもできないくせに、腰抜け!」とまくし立てる瑠奈被告。修被告の「まず明日(精神科に)行って、そのレベルだとうちで対応できないと……」という言葉を遮り、「ウゥゥ~~~ッ!!!!!」と絶叫。その後も時折「ウォォォーーーーーッッ!!!」と叫びながら、何事かぶつぶつと呟いていた。
修被告が英語で話す場面もあった。修被告が「I don’t kill any(私は誰も殺しません)」と言うと、瑠奈被告は、「so what?(だから何)」と返し、またも絶叫。モニターに表示された補足説明によると、「私が殺す、お前が殺す、どっちを選ぶか」と英語で2択を迫っていたらしい。
誰も殺さないという修被告に対して、「ノ~~~ゥ!!!」と連呼していたが、「妹を殺して……。その責任も取らないくせに。とっととやんなさいよ」と途中でいきなり日本語になった。
修被告が「それはしません」と言うと、瑠奈被告は「とっとと売れやクソアマを! いつ売るの! イマッ!!!」と怒りをあらわにした。それでも修被告は「それはしません」と繰り返して、瑠奈被告は、「お前がさあ、妹を殺してさあ、唯一の、唯一の味方だった私が、妹と一緒にさあ! ねぇ! ねえ!!!」などと叫び続けた。
田村一家に次女はいないはずだ。この“妹”とは何者なのか。
「瑠奈被告に、実際の妹はいません。ここで言う“妹”とは、瑠奈の魂のことだと思われます。瑠奈被告は、『シンシアという魂が死んだ肉体を借りている。シンシアのほかに複数の人格がいる』という言い方をしていたそうで、瑠奈の魂はすでに死んでいるというのです」
瑠奈被告の絶叫が響く家庭で、父と母も少しずつ心の闇を深めていったのだろうか。
(NEWSポストセブンの記事から引用)


法務省の矯正施設に勤務していると、特に拘置所や少年鑑別所では、精神に障害をきたしたり覚醒剤中毒の影響で怒鳴りまくったり、奇声を発したり、ケラケラと笑い続けたり…といった被収容者に遭遇するのが珍しくありません。逮捕された直後、勾留状を持った警察官によって連れて来られます。逮捕時は警察の留置場に身柄を置いて取り調べるのが通常の捜査方法ですが、異常な状態にある被疑者は警察の留置場で扱うのが大変だからと、勾留先を拘置所や少年鑑別所に指定し、連れて来るのです
裁判所の発行する令状によって勾留場所に指定されている以上、身柄を引き受けなければなりません
こうした特殊な被収容者は自傷行為に走ったり、自殺を企図する可能性があるため要注意者に指定し、24時間対面監視をします。職員はもちろん交代しますが、昼間も夜間も監視を続け、約15分ごとに動静を記録して残します(万が一にも自殺された場合、監視を怠っていなかったとのアリバイにするためです)
自分も対面監視の業務についた経験がありますが、なかなかしんどいものです。医師の処方による鎮静剤を投与し、その薬が効いてうとうと寝てくれたらしめたものですが、中には夜中でも大声で叫び続ける者もいたりします
こんな話を書いたのは、家の中に瑠奈被告のような異常行動を繰り返す者がいたら家族がどれだけしんどい思いをするか、裁判員や傍聴人が改めて実感したからではないか、と想像したらからです
この事件が報じられた際、ニュースサイトには「父親が娘を甘やかし続けた結果だ。もっと厳しくしつけていればこんな事件は起こさなかったはず」との意見が溢れました。瑠奈被告がどれだけ異常な状態にあったのか、想像できない人たちがこぞって「甘やかしている」と書き込んだのでしょう
精神障害者と身近に接した経験のない人達に、その異常さというものは理解できません
もちろん、症状が手に負えないほど進行しているのに入院治療を選択しなかった田村修被告の判断ミス、と指摘するのは簡単です
ただ、精神科治療の実態を肌で感じているがゆえ、娘を入院させまいと決断し、苦労するのを避けようしなかったのも親としての愛情であり覚悟だったのだな、と感じます
法廷で公開された録音データはほんの一部にすぎません。田村夫妻は娘の浴びせる罵詈雑言に15年、16年耐えてきたのであり、その忍耐には驚嘆させられます

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