袴田事件再審 無罪判決

袴田事件の再審で静岡地裁は袴田巌死刑囚に対し、無罪判決を言い渡しています
メディアは「死刑台からの生還」などと題した記事を掲載するのでしょうが、問題は静岡県警が「袴田が犯人」という先入観に囚われてしまったため十分な捜査をせず、むしろ後から証拠を捏造するなど捜査とは無関係な工作に時間と労力を費やし、結果として4人を殺害した凶悪犯を逮捕できなかったところにあります


1966年、静岡県旧清水市(現静岡市清水区)で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」で死刑が確定している袴田巖さん(88)の再審で、9月26日、静岡地方裁判所(國井恒志裁判長)は無罪を言い渡しました。静岡地裁は「調書、5点の衣類、端切れの3点のねつ造がある」と認定しました。
「袴田事件」は、1966年で旧清水市(現静岡市清水区)でみそ製造会社の専務一家4人が殺害されたもので、逮捕された袴田さんの死刑が確定しました。
しかし、無罪を訴える袴田さんは再審を求め続け、2023年3月、東京高等裁判所は事件から1年2か月後、現場近くのみそタンクから見つかり、犯行着衣とされてきた「5点の衣類」について「捜査機関によってねつ造された可能性が高い」などしして、再審開始を認めました。
2023年10月、静岡地裁で再審=やり直し裁判が開始。再審で最大の争点となっている「5点の衣類」に付着していた「赤い血痕」について、検察側・弁護側の見解が分かれ、検察は長期間、みそ漬けされても血痕の赤みが残る可能性はあるとして「5点の衣類」は袴田さんの犯行着衣だと主張し、死刑を求刑しました。
一方、弁護団は「長期間みそ漬けされた血痕の赤みは黒くなる」と主張。「5点の衣類」は「捜査機関によってねつ造されたものだ」などとして、無罪を主張してきました。
9月26日午後2時から始まった判決公判で、静岡地方裁判所は袴田巖さんに無罪を言い渡しました。
(静岡放送の記事から引用)


みそ製造会社の役員一家が殺害されたのですから、従業員の中に犯人がいると見立てるのは理解できるにしても、証拠が不十分だから証拠を「偽造してやれ」と言い出したのは静岡県警の当時の警察官です。捜査を指揮していた幹部がそう命じたのでしょう
真犯人は警察の手にかからず、まんまと逃げおおせたものと考えられます
田舎の警察では、「怪しい奴を引っ張ってきてとっちめれば白状するはず」という自白偏重の捜査が当たり前で、証拠の採取など後回しにするのが当たり前のように行われていました
その結果、いくつもの冤罪事件を生み出してしまったわけですが、同時に真犯人を取り逃がしてしまったという側面も忘れてはなりません
事件発生から50年以上、殺人犯の汚名を着せられた袴田さんとその家族にはお見舞いを申し上げることしかできませんが、余生を健やかにお過ごしください
そして被害者の遺族の方々は、何とも報われない思いで一杯だろうと推察します。真犯人が生存しているとすれば高齢ですし、すでに死亡しているのかもしれません
静岡県警の怠慢が生み出した冤罪により、50年を経て遺族は深い失望を味わう結果となりました

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