鹿児島県警捜査資料漏洩 性暴行事件の不可解(2)

鹿児島県警捜査資料漏洩事件の背景の1つとして、鹿児島県医師会職員による性暴力が闇に葬られた件があります
当ブログでは繰り返し取り上げてきました
県医師会に勤務する男性職員がコロナウィルス感染症対応のため、隔離施設に勤務していた際、そこに収容された女性看護師に複数回、性暴行を加えたものです。鹿児島県警が被害届の受理を拒み、事件として扱わないとする姿勢を露骨に示した背景に、加害者男性の父親が鹿児島県警の元警察官であり、警察との間に「事件化しない」との約定があったとされます。結果として被害届は受理されたものの、鹿児島地検は不起訴としています。起訴するに足る証拠がないとの判断なのでしょうが、鹿児島県警が最初から十分な捜査をせず、書類送検していた疑いがあります
その後、被害者である女性看護師側は検察審査会に審査を請求しています
東京新聞がこの県警の対応と県医師会の対応について、疑義を提起する記事を掲載していますので一部を引用します


鹿児島県警不祥事のカゲで苦しむ女性 性加害めぐり県警と県医師会の対応に疑問
(前略)
男性が数年間にわたって所属していた県産婦人科医会事務局は、県の性加害サポートネットワークかごしま(通称・FLOWER)との連絡窓口。県医師会が問題を把握した2022年1月以降は、男性は事務局の勤務を解かれていた。
県医師会の内部調査では、他の3人の女性職員や女性派遣社員への抱きつきやキスなどのセクハラやパワハラ行為があったとの報告やLINE(ライン)の履歴も提出された。
◆鹿児島県警は医師会の男性職員を書類送検
しかし、県医師会はそれらの指摘を「数年前のことで(調査の)時間もなかった」(大西浩之副会長)として懲戒処分の対象に含めなかった。
医師会の懲戒処分とは別に、県警の捜査は進まなかった。2023年3月、国会で立憲民主党の塩村文夏衆院議員が捜査の遅れを問題視。警察庁の渡辺国佳刑事局長は「個別事件のコメントは控える」と答弁し、一般論として「被害の届け出がなされれば、被害者の立場に立ち対応すべきで、警察が被害届の受理を渋っているのではと受け取られることのないよう、被害者の心情に配意するよう指導している」と述べるにとどめた。
3カ月後の2023年6月、県警が強制性交等の容疑で男性を書類送検した。12月に鹿児島地検が不起訴処分にした。女性は「不起訴は不当」と今年1月に鹿児島検察審査会に審査請求した。これとは別に、民事でも男性を相手に慰謝料を求め提訴している。
◆ハンター代表「被害を訴える女性を冒瀆」
この事件を巡っては2024年4月、事件に関わる「告訴・告発事件処理簿一覧表」などを外部に流出したとして起訴された県警公安部の元巡査長藤井光樹被告(49)が公判で、こんなふうに動機を語っていた。
「時間がかかっているし、流れも疑問。被害者をふびんに思った」
「(情報を出すことで)検察が再度調査する方向になればと考えた」
ハンター代表の中願寺氏は「情報漏えいの事件の核心は、女性への性暴力事件でのおかしな警察捜査にあるのに、この問題は今も、うやむやにされている」と指摘し、続けた。
「警察は関係者への聴取着手に、なぜ10カ月以上もかかったのか疑問だ。捜査中の2022年9月と今年6月に県医師会が開いた会見は、被害を訴える女性を冒瀆(ぼうとく)する行為だ」
◆「県医師会から性加害を闇に葬られた」
女性は、県医師会の会見がYouTubeにアップされたままのことについても被害を訴えている。「個人が特定される」などとして削除と謝罪を求めているが、県医師会は「個人が特定されるものは出していない」として応じていない。
女性は「県医師会から性加害を闇に葬られ、尊厳が踏みにじられ、怒りと失望でいっぱい。男性は当初、手紙などで2度、罪を認め謝罪していたことを医師会はどう受け止めているのか。男性が県警OBの父親と県警に相談し『事件にならない』と言われたとも聞く。何を信じればいいかわからない状態だ」と話す。
(以下、略。東京新聞の記事から引用)


県医師会は同意の上での性行為だったとし、逃げの一手です。ただ、上記の記事にもあるように、女性看護師とは別に医師会事務局に勤務していた女性職員や派遣社員3人に対してもセクハラを繰り返していた事実があり、県医師会から懲戒処分を受けた事実は隠蔽できません
つまり、そういう男だった、という話です
そんな札付きの性犯罪者をなぜ、必死にかばおうとするのか理解不能です
検察審査会が「不起訴不当」と判断し、鹿児島地検に再捜査を命じる展開となれば、対応が変わってくるのかもしれません
田舎の警察ですから縁故での結びつき、しがらみがあるのでしょう。医師会についても、医師とその縁者らが結びつき、事を荒立てずに済ませようとしたのか?
また、警察や検察が当てにならないのであれば、民事訴訟で損害賠償を認めさせるしかありません。加害者男性は何ら刑罰は受けないものの、賠償を命じられることで多少なりとも被害者側は溜飲が下がるでしょう
それにしても鹿児島県警の対応の酷さには呆れます。県民を守ることより、警察OBの家族を優先して犯罪に目を瞑るのですから

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