メタノールで妻殺害 公判で暴露された夫婦関係

製薬会社「第一三共」の元研究員だった吉田佳右被告は、妻にメタノールを飲ませて殺害した疑いで公判中です
吉田被告側は一貫して妻が自殺したと主張、殺害の容疑について無罪を唱えています
他方、検察側は夫婦中の悪化による妻を殺害したと主張し、真っ向対立した状態で公判が続いています


「殺人」か「自殺」か
妻にメタノールを飲ませ殺害したとして逮捕・起訴された第一三共元研究員・吉田佳右被告(42歳)の裁判員裁判が、9月2日に東京地裁で始まった。
'22年1月、被告から通報を受けた救急隊が東京都大田区の自宅マンションで倒れている妻・容子さんを発見。
その後、死亡が確認され、解剖の結果、体内からメタノールが検出された。警察は被告が勤務先の研究室からメタノールを持ち出し、容子さんに摂取させたとして捜査、同年9月16日に逮捕した。
裁判は、「殺人」を主張する検察側と、「自殺」とする弁護側、それぞれに生々しい証言を提出する展開となっている。
「『殺人』を主張する検察側は吉田被告が風俗店に入れ込み、生活費を渡さなかったことに言及。そのことに怒った妻の容子さんが、『梅毒』などとなじりながら携帯で被告を撮影し、さらに被告に消臭スプレーをかけていたことなどを説明しました」(傍聴した記者)
妻が最後に「検索していた言葉」
被告は北海道大学を経て、第一三共に入社。京都大学大学院卒の容子さんとは同僚だった。'18年には被告の留学のため2年間、家族で米国へと移り住んだ経験もある。
「『自殺』を主張する被告の弁護側は、容子さんの過去に踏み込んだ。容子さんは被告と結婚後、別の社員と社内不倫をし、それが原因で退職。被告とは離婚しませんでしたが、キャリアに悩んでいたと主張しました」(同前)
初公判で吉田被告は「妻にメタノールを摂取させたことはありません」と容疑を否認。続く第2回の公判で検察側は、容子さんの両親や知人の供述調書を読み上げ、米国での生活について楽しげに語っていたという被害者の姿を伝えた。
亡くなる直前に容子さんがネット検索したワードが、かつて家族で過ごした米国の地名「シカゴ」だったことも明かし、自殺を考えていたような様子はなかったと主張した。
エリート夫婦に何が起きていたのか。判決は10月30日に下される。
(現代ビジネスの記事から引用)


従来は夫である佳右被告の女性関係が夫婦の亀裂を深めた原因と報じられていました。これに反論するためか、妻が他の男性と不倫関係となり、「第一三共」を退職せざるを得なくなったと、被告側は暴露しています
ただし、妻が過去に不倫をしていたとして、それが自殺の原因だとは思えません(被告側は、「第一三共」を退職後、転職を繰り返すようになりキャリア形成に悩んでいたとの言い分ですが、直ちに自殺する原因ではないでしょう)
また、自宅になぜメタノールがあったのか、という謎は解明されていません
佳右被告としてはメタノールの存在を知らなかった、と主張するほかなく、メタノールの存在を知っていたと口に出せば裁判では不利になってしまいます。ゆえに、メタノールの存在について検察や裁判官が納得できる説明はないままとなり、かえって疑いを深める結果になります
当ブログでも繰り返し指摘しているように、メタノール中毒は即死するわけではなく、長い時間苦しんだ末に死亡するものですから、自殺の手段として選択する者はいません。ましてや妻は京都大学の薬学系出身ですから、メタノール中毒の悲惨さを理解していたはずで、メタノールを使い自殺する必然性は皆無です。自殺するなら別の薬物を使うでしょう
なので、この自殺に見せかけた殺害方法があまりに不自然であり、怪しいのです
この展開で佳右被告に有利な判決が出る可能性は低く、弁護人も弁論に困るんでは?
最後は、「疑わしきは罰せず」との法理を持ち出し、「不明な点は被告人の利益とし、検察側が立証できない以上は被告人を無罪とすべき」と主張するしかないのかもしれません。もっとも、検察側がそれで引き下がったりはしませんが

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