岡山女児虐待死を考える 母親は精神支配されていたか
岡山市で自分の娘が愛人男性から虐待を受けるがままにし、死亡させた西田彩被告には懲役10年が求刑され、裁判は結審しています。判決は9月27日に言い渡されます
虐待を主導した船橋誠二被告は既に懲役14年の判決を受け、控訴せずに刑が確定しています。で、西田彩被告の場合、検察側は共謀共同正犯であるとして重い刑罰を科すべきとしたのに対し、弁護側は船橋被告によって精神的に支配されており従属的な立場だたので幇助に留まる、と刑罰の軽減を求めています
西田彩被告の公判が船橋被告よりもかなり後になって始まっているため、起訴前に精神鑑定が実施され3か月ほど鑑定留置があったのではないかと推測します。結果として西田被告は起訴されていますので、刑事責任に疑いを挟む余地はないと判断されたのでしょう
ただ、法廷での展開では弁護側が西田被告が精神支配されていたとの主張を全面的に展開し、精神科医や臨床心理士を証人に立てていたのが判りましたので、その当たりの報道を引用します
岡山市で幼い女の子が虐待され死亡した事件で、逮捕監禁致死などの罪に問われている母親の裁判で、母親を診察した精神科医が出廷し、「交際相手に支配され、虐待を止めることが困難だった」との見解を示しました。
岡山市の無職、西田彩被告は2021年、交際相手の男と共謀し、娘・真愛ちゃんに対して、椅子の上に置いた鍋の中に長時間立たせるなどの虐待を繰り返したほか、全身に布団を巻いて放置し、死亡させたとされています。
裁判では、直接、虐待していない西田被告に、共謀が成立するかが争点となっています。8月28日に行われた弁護側の証人尋問で、西田被告を診察した精神科医が出廷し、「虐待に関して問題意識はあったと考えられる一方で、認知能力や表現能力の低さから被告の生活のサポートを担う交際相手に支配され、虐待を止める、周囲に助けを求めることが困難だった」との見解を示しました。
続いて、被告人質問も行われ、西田被告は「子供たちを助けられなかったのは自分の弱さが原因」としたうえで、「事件の被害者は4人の子供。子供たちのためにもどういう形になっても罪を償ってきたい」と話しました。
(岡山放送の記事から引用)
岡山市で西田真愛(まお)ちゃん(死亡当時6歳)が虐待を受けて死亡した事件で、逮捕監禁致死と強要の罪に問われた母親の西田彩被告(36)の裁判員裁判の第5回公判が27日、岡山地裁であった。弁護側の依頼で西田被告の当時の心理状態を調べた臨床心理士が証人として出廷。西田被告について、元交際相手の船橋誠二受刑者(41)=逮捕監禁致死などの罪で懲役14年が確定=から逃げることが出来ない状態だったと証言した。
起訴状によると、西田被告は2021年9月10~25日、船橋受刑者と共謀し、自宅で真愛ちゃんを椅子の上に置いた鍋の中に長時間たたせ、指を口に押し込ませるといった暴行を加えて嘔吐(おうと)などを繰り返し強要。同25日には、真愛ちゃんに布団を巻き付けて約1時間半放置し、翌22年1月12日に低酸素脳症で死亡させたとされる。
この日は、昨年に弁護人同席のもと西田被告と面接したという臨床心理士が、弁護側の証人として法廷に立った。3種類の検査などで心理状態を鑑定したという。
(朝日新聞の記事から引用)
記事では臨床心理士が3種類の検査を実施したとあります。考えられるのは文章完成法(SCT)のような検査でしょう。これは「不安なときは(
)」などと書き出しが並んでおり、括弧の中に被検査者が文言を書き込んで文章を完成させるものです。他者への依存度、追従性、主体性の欠如などを判断できます
臨床心理士の見解は、「船橋受刑者がしつけを口実に見せしめのように虐待し、西田被告が助けられない状況を作ることで親子関係を分断しようとしたのではないか。西田被告が真愛ちゃんを助けられなかったのは、虐待に疑問を持ちながらも、『しつけができない自分が悪い』という意識を船橋受刑者に植え付けられ、受け入れざるを得ない心理状態だったと思う」というものです
ただ、この臨床心理士の見解をどこまで重視するか、は裁判官次第です。精神科医の鑑定意見と同等なくらい重視してくれればよいのですが、おそらくは1つの意見、1つの見解という扱いで重視はされないでしょう
余談ですが、西田被告は親が再婚であり、父親は西田被告がこどもの頃に自己破産し母親は失踪するという、かなり問題のある家庭で育っています。そのため一時、養護施設に預けられていたのだとか。それでも広島県立国泰寺高校へ進学しており(偏差値62)、かなりの努力家だったのではないかと推測されます。ただ、高校進学後はギャル化してしまい、中退したとされます。以降、結婚しないままこどもを4人出産しており、生活は苦しかったのでしょう
それでも低学歴の現実検討能力の乏しい人物とは考えられず、相応の判断力があったのでは?
船橋受刑者によって精神支配されるほど、脆い性格だとは考え辛いというのが自分の所感です。むしろ、経済的な支援を失うのが怖くて逆らえなかったのだろう、と思ってしまいます
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