メタノールで妻殺害 夫のは初公判で否認
2022年1月、製薬メーカー「第一三共」の社員だった吉田佳右被告は自宅で妻にメタノール入りの飲料を飲ませ、急性中毒によって殺害した疑いで逮捕され、起訴されています
吉田被告は逮捕時から「殺害はしていない」と否認を続けており、初公判でも無実だと主張したと報じられています
毒劇物法で劇物に指定されているメタノールを自宅で妻に飲ませて殺害したとして、殺人罪に問われた製薬大手「第一三共」元社員、吉田佳右被告(42)の裁判員裁判初公判が2日、東京地裁で開かれた。吉田被告は「私は無実です」と起訴内容を否認。弁護側は「妻が自らメタノールを摂取した可能性がある」と主張した。
検察側は冒頭陳述で、被告は仕事でメタノールを扱う機会があったと指摘。夫婦関係が冷え切っており、妻にメタノール中毒とみられる症状が出ていたのに直ちに救急車を呼ばなかったと述べた。
弁護側は、被告が順調にキャリアを積み重ねていたのに対し、同期入社だった妻は転職を繰り返し、不満を抱いていたとした。事件当時、被告は妻が二日酔いで体調が悪いと考えていたと主張した。
起訴状によると、吉田被告は令和4年1月14~15日ごろ、妻の容子さん=当時(40)=にメタノールを飲ませ、16日に急性中毒で死亡させたとしている。
(産経新聞の記事から引用)
前回、当ブログで取り上げた際に引用した報道では、妻のスマートフォンに夫と言い争うシーンを収めた動画ファイルがいくつも残されており、いざ離婚という時に備えていたのではないか、と考えられます。夫婦仲は冷え切っており、家庭内別居状態だったとの話です。その原因は吉田被告の不倫だったとも
吉田被告は妻を殴るなど、暴力をふるった事実は認めていますがメタノールを使って殺害はしていない、と逮捕時から一貫して否認を続けています
ただ、弁護人の言うところの「妻が自らメタノールを飲んだ可能性がある」との主張は甚だ疑問です。吉田被告のマンションの部屋からメタノールを入れた容器は見つかっていません。妻が自分でメタノールを飲んだ(自殺か、あるいは何か他のものと間違えて飲んだか)としての容器が自宅にないのはあまりに不自然です。妻が容器を始末したという線はあり得ないでしょう。メタノールを飲んで体調不良となった者が、不燃物としてマンションのごみ置き場まで捨てに行くとか、ありえません
また、記事の中で「被告が順調にキャリアを積み重ねていたのに対し、同期入社だった妻は転職を繰り返し、不満を抱いていたとした」とする弁護人の主張も変です。別の報道によれば、妻は広告会社に務め仕事は順調だった⇒つまり自殺する理由がない、と伝えられていました
吉田被告と弁護人が協議した上で、「妻の自殺」説を強調し、無罪判決を得ようとしているのでしょう
家の中で目撃者もいない事件ですが、目撃者がいないことが被告にとって有利になるとは限りません。吉田被告が妻を殺害してはいない、と証言してくれる第三者がいないからです
なので吉田被告が自身の無罪を証明する手段は皆無に近く、ただ「妻は自殺したに違いない」と主張するだけにとどまります
追記:検察の冒頭陳述によれば、妻が日頃から飲んでいた焼酎のパックの内側にメタノールが付着していたのだそうです。ただ、メタノールを毎日常態的に飲んでいたとは思えませんし、急性中毒で死亡したからには相当量を一度に飲んだと考えられます。なので、焼酎パック内にメタノールが付着していたのは、吉田被告による偽装ではないかと思われます
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