韓国の超伝導物質PCPOSOS どうなった?
ノーベル賞の季節を迎えて思い出すのが、昨年来繰り返されている韓国の研究チームによる超伝導物質の件です。昨年夏、物理学者の間で騒がれた韓国の研究チームによる超伝導物質「LK-99」は、その後正式な論文が公開されることもなく、サンプルが他の研究機関に提供されることもないまま有耶無耶になってしまいました
本当に超伝導物質であるかどうか、他の大学や研究機関で確認されなければ本物とは呼べません。なぜ「LK‐99」のサンプル提供を取り止めたのか説明のないまま、すぐに「PCPOSOS」という新たな超電導物質を開発したと言い出し、世間を呆れさせました。「今度は本物ニダ」とでも言うのでしょうか(ならば「LK-99」は偽物だと承知していたのか、とツッコミたくなります)
前回、当ブログで取り上げたように「PCPOSOS」について、今年3月、アメリカ物理学会でキム・ヒョンタク教授が発表を行っています
ただ、これは一般的な研究発表枠(10分間)であり、物理学会が招待した特別講演という類ではなく、学会員が申し込めば発表の機会が与えられるものですし、研究結果が公認されたというものでもありません
以下、韓国の毎日経済新聞の記事を引用します
常温・常圧超伝導体「LK-99」を作ったと主張した国内研究者らが他の常温・常圧超伝導体を新たに開発したと関連研究結果を海外学会で公開しました。科学界では共信力のある検証を経てこそ、彼らの主張をきちんと評価できるという慎重な立場です。
5日、X(X・旧ツイッター)などソーシャルメディア(SNS)によると、LK-99の研究に名を連ねたキム・ヒョンタク米国ウィリアム・アンド・メアリー大学研究教授は、現地時刻4日午前8時12分、米国ミニアポリスで開かれた米国物理学会( APS)3月学会超伝導体セッションで常温・常圧超伝導体と主張する物質「PCPOSOS」の研究結果を発表しました。
発表は先に緑で公開した通り、PCPOSOSという物質がゼロ抵抗、マイスナー効果(超伝導体が外部磁場に反発する現象)、磁石上での部分浮上など超伝導体特性を示したという主張が盛り込まれました。キム教授は特定の状況ではサンプルが磁石の上で完全に浮かぶ空中浮揚を見せたとし、1600倍拡大した写真を見せた。
キム教授はまた、空中浮揚映像撮影とゼロ抵抗実験などが「SCTL」という他の研究室で行われたと発表し、他の場所でも再現結果が出たということを強調しました。ただし、ゼロ抵抗データは先にLK-99と同様にノイズ信号が大きくはっきりと分かりにくく、検証機関として紹介したSCTLがどこにあるのかについては特に説明がありませんでした。
発表現場では人波が集まりました。 傍聴を望んだ一部は発表場内部に入ることができないほどだったと伝えられました。
一方、キム教授の講演以降、同セッションで米国ヒューストン大学研究チームは、LK-99の再現結果に見られる特異な現象が、硫化銅不純物の構造的転移と関連しているという研究結果を発表した。
国内の専門家らは今回の学会発表が学術的に発表内容を認められるという意味ではないとし、拡大解釈を警戒しました。学術大会発表は、一定の要件を満たせば誰でもできることで、学会でその内容を認めたか、承認手続きを踏んだという意味ではないということです。
(毎日経済新聞の記事から引用)
記事にもあるように、「PCPOSOS」のサンプルを提供して追加試験を実施している「SCTL」という機関がどこなのか、不明です。検索するとアメリカの製薬会社の名前が出てくるのですが、超伝導物質の分析や試験とは関係ないでしょう。どこかの研究所なり、大学の略称だと思うのですが
この記事が今年3月のもので、それ以降は「PCPOSOS」について目立った報道はありません。引用した記事の文面からも、さすがの韓国メディアですら半信半疑というスタンスが伺われます
別のメディアでは、「PCPOSOS」の構造を解析するには量子コンピューターが必要とされ、今年の6月には韓国初の量子コンピューターが設置されるので研究が進むだろう、と報じています。しかし、韓国に量子コンピューターが設置されたとのニュースは見ていません。量子コンピューターが導入されたなら、自分たちの手柄であるかのように大々的に報道するはずです(韓国は50量子ビットのコンピューターを開発する計画を進めていることになっていますが、実現していません。なので、導入するとなればIBM製だと思われます)
他方で、超伝導物質関連と目されている韓国企業の株価は乱高下しており、またも嘘の発表をして株価を吊り上げ儲けるためのブラフではないか、と勘ぐる声も出ています
アメリカ物理学会での発表されたとする研究報告の改訂版を読んでコメントされている方の動画がありますので、貼っておきます
報告の基本となっている参考文献は、超伝導物質ではないと否定された「LK-99」のテスト結果にちなむものであったりと、怪しさが払拭できないとの結論付けられています
PCPOSOS論文の全文を翻訳し査読してみました
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