野々市市中学生 いじめ加害者に賠償求め提訴

先日、大阪府門真市で自殺した中学生の保護者が、いじめ加害者を相手取り損害賠償を求め訴訟を起こした件をブログで取り上げました
今度は石川県野々市市で自殺した中学生の保護者が、いじめ加害者を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こしています
学校や教育委員会がその役割を果たさず、いじめ被害を阻止できない以上、こうした裁判は増えるものと思います。ただ、自殺した後に訴訟を起こしたところで何も解決などしないのであり、親御さんとしても虚しい気持ちは埋まらないものと推察します
野々市市のいじめ自殺では、まず教育委員会と学校の責任を問う形で野々市市に対する損害賠償請求の訴訟が6月にあり、次いで今回、加害者側に賠償を求めて提訴しています。2つの記事を貼ります


2021年2月、石川県野々市市の中学1年生だった女子生徒が同級生からのいじめを受け、自殺しました。生徒の両親は、学校側がいじめの防止措置を怠ったとして、27日、市に7000万円余りの損害賠償を求める訴えを起こしました。
父親にとって自慢の娘は、野々市市の布水中学校に通っていましたが、2021年2月、いじめを苦に自ら命を絶ちました。
女子生徒は学校によるアンケートでいじめの被害を訴えていましたが、学校側は市の教育委員会に対し「いじめは解消した」と報告していました。
「辛い思いなら何度もしました。苦しい」亡くなる1週間前、女子生徒が残した日記です。
外部の委員でつくる市の第三者委員会は、2023年2月、同級生が女子生徒を仲間外れにしたSNSのLINEグループで陰口を言ったり、そのグループを「いじめだ」と指摘し退会した男子生徒に対し女子生徒の前で土下座を指示するなど、29の行為をいじめと認定しました。
父親「一生、自分のしたことを背負ってほしい。とんでもないことをしたんだよということをずっと死ぬまで抱いてほしい」
両親は、学校側の当時の対応をめぐり、追加の調査を求めていますが、市からの返答はないといいます。
父親「娘がかわいそうすぎる。何としてもその気持ちを晴らしてあげたい、それだけです」「きちんと真実を確定させてそしてそれに対する報いというか責任を誰かがちゃんと果たすけじめをつけたい」
(以下、略。北陸放送の記事から引用)

石川県野々市市でいじめを訴えていた同市立中学1年の女子生徒=当時(13)=が令和3年2月に自殺し、生徒の両親がいじめをしたとされる同級生8人のうち1人に165万円の損害賠償を求めて金沢地裁に提訴したことが18日、分かった。16日付。
訴状によると、いじめを行ったとされる生徒が女子生徒からいじめられていると学校に虚偽の申告を行い、クラスで孤立するきっかけを作ったこと、クラスのLINE(ライン)グループや学校内で仲間はずれにしたことなどが自殺の原因になったとしている。
女子生徒の両親は生徒8人と教員1人に損害賠償を求める民事調停を申し立てた。生徒4人と教員とは調停が成立し、3人は継続中。今回提訴した生徒とは不成立に終わっていた。
昨年2月、同市教委が設置した第三者調査委員会は29の行為をいじめと認定し、複数の女子生徒によるいじめが自殺の原因と結論付けた。両親は今年6月、学校側がいじめの防止措置を怠ったなどとして、同市に計約7200万円の損害賠償を求め提訴している。
(産経新聞の記事から引用)


学校側の対応がいまいち不明なので、そこは流します。おそらく担任の教師がグループ内での人間関係をよくよく調べないまま、自殺した生徒をいじめの主犯のように決めつけ、彼女がクラス内で孤立するきっかけを作ってしまったのかな、と想像します
通常、公務員である教員に対しては直接、損害賠償請求の訴訟を提起することはできず、学校の設置・管理権を有する市町村相手に賠償請求の訴訟を起こします
本件では民事調停が先に申し立てており、教員側がこれに応じたなら賠償支払いを求めることが可能です。民事調停に応じなければ、先述のとおり市町村を相手に訴訟を起こすことになります
民事調停には強制的にこれに応じさせる効力がありませんので、上記の記事にあるように調停が不成立という結果に終わる場合があります。民事調停を拒否しても、民事訴訟のような敗訴の決定が下されたりはしません。ただし、一旦調停が成立すると裁判官の判決と同等の効力を持ちます
法律上のテクニカルなやり取りだけで「いじめ問題」が解決するわけでもなく、賠償請求や民事調停が有効な解決策というものでもありません
理想としては生徒と教師、保護者の話し合いで解決されるべきでしょう
ただ、教師にその能力があるかどうかが問題です。解決能力のない教師には解決できないのですから

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