韓国初の本格偵察衛星 運用開始

韓国がアメリカに依頼して打ち上げた、初の本格的な軍事偵察衛星の運用が開始されたと報じられています
ただし、現状は光学カメラと赤外線センサー搭載の衛星1基のみの運用であり、北朝鮮を監視するのに十分とはいえません。今後はさらに合成開口レーダー搭載の偵察衛星など追加し、将来は5基体制での運用を目指すと報じられています


北朝鮮のミサイル発射の兆候を探知して先制攻撃する韓国の「キルチェーン」において中心的な役割を担う韓国軍の軍事偵察衛星1号機の本格的な運用が始まる。
韓国防衛事業庁は14日、軍事偵察衛星1号機が国防部から戦闘用に適合するとの判定を受けたと発表した。
同衛星は昨年12月、米カリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられ、これまで宇宙環境でテストが行われていた。
1号機には可視光を撮影する電気光学(EO)センサーと赤外線を検出して映像を生成する赤外線(IR)センサーが搭載されており、夜間にも物体識別が可能だ。
防衛事業庁は「衛星1号機はわが軍初の独自の監視偵察衛星で、わが軍が望む時間に望む地域を撮影でき、世界最高水準の解像度で各種標的を精密に分析することができる」と説明した。
軍は今年4月、高性能の合成開口レーダー(SAR)を搭載した2号機の打ち上げに成功し、今年下半期中には3号機を打ち上げる計画だ。
防衛事業庁の担当者は「軍は迅速な兆候の監視および早期警戒警報のための超小型衛星システムも開発中」とし「軍独自の監視偵察資産の能力を極大化し、北の衛星に比べ圧倒的優位を維持する」と話した。
(聯合通信の記事から引用)


記事では「望む時間に望む地域を撮影でき、世界最高水準の解像度」だと紹介されているのですが、これは嘘です
1基の光学衛星だけでは、朝鮮半島上空を1日2回通過するのであり、とても「望む時間に望む地域を撮影できる」はずがありません。5基の偵察衛星が運用しても、監視は2時間ないし3時間に1回でしょう
また、「世界最高水準の解像度」とあるのも怪しいところです。カタログスペックとしての解像度はともかく、現時点で世界最高水準の偵察衛星は米軍が運用する「キーホール」だとされます。これはハッブル宇宙望遠鏡と同じサイズの反射望遠鏡を地球に向け、偵察に用いるというバカげた発想の衛星ですが、名前の通りドアの鍵穴を見分けられる精度があると言われます(これも大袈裟な表現で、実際にはそこまでは見分けられないでしょう)
ハッブル宇宙望遠鏡は全長13メートル、重さ11トンという桁違いの大きさであり、通常のロケットでは打ち上げができない重量があります。もちろん、韓国の偵察衛星はもっと小さいはずで、それだけ光学カメラのレンズやイメージセンサーも小さく、能力としては世界最高水準には及ばないものと考えられます。韓国メディアは今回の光学衛星を、「設計から製造まで国産化した」と報じていますが、これは真偽不明です。韓国ではこれまでに「ネジ1本でも韓国国内で締めれば、国産化に成功したもの」として戦闘機や人工衛星を「国産」と報道してきた例があります
韓国では5基の偵察衛星を補完する目的で小型衛星を多数、打ち上げる予定があり、これによって切れ目なく北朝鮮の軍事活動を監視しようと計画しています
ちなみに日本の情報収集衛星は10基体制での運用を目指しており、内訳は光学衛星4基、レーダー衛星4基、データ中継衛星2基の構成になる予定です。10基体制の完成は2026年以降です

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