鹿児島県警捜査資料漏洩 巡査長に執行猶予付き有罪判決

鹿児島県警の捜査情報漏洩事件で起訴されていた元巡査長藤井光樹被告に対し、鹿児島地裁は懲役1年執行猶予3年の有罪判決を言い渡しています(求刑は懲役1年)
判決内容は藤井被告の個人的な犯行、との扱いです
藤井被告自身が「鹿児島県警の不正を糺すため告発した」のではないと述べており、公益通報としての情報漏洩ではないとの認識を示しています
ただ、それでよいのか、との思いが残ります


捜査情報を漏らした地方公務員法違反の罪に問われた県警の元巡査長藤井光樹被告(49)の裁判で、鹿児島地方裁判所は先ほど、懲役1年の求刑に対し、懲役1年・執行猶予3年の判決を言い渡しました。
判決などによりますと、藤井被告は96の事件・304人分の個人情報を福岡のウェブメディアの記者に漏らしたものです。
5日の判決で、鹿児島地裁の松野豊裁判官は「100件以上の情報を漏らし、プライバシー侵害の程度は高い」「情報を漏らし、記者の信頼を得ようとした動機は正当化できない」とした上で「前科はなく反省していて社会内での更生の機会を与えるのが相当」などとして、懲役1年の求刑に対して懲役1年執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
藤井被告は裁判のあとに取材に応じ、控訴しないと話しました。
藤井被告は、「私が今回してしまったことは、言い訳が全くできることではなく、法律に触れる行為。私が犯罪をおかしてしまった理由は、裁判長のご指摘のとおりと考えている。許されるのであれば、鹿児島県警は鹿児島にとってなくてはならない組織で、懸命に働いている捜査員の方、職員の方もいらっしゃるので、今後鹿児島県警が私が抜けることによって、よりよくなることは間違いないと考えているが、今まで以上により県民に信頼される組織になればと考えている。」と話しました。
自身の情報漏えいに公益通報の意図があったかを記者に問われると、「私のしてしまった行為というのは、公益通報には該当しないと考えている。裁判長から指摘されたとおり、主たる理由は私の私利利欲から出てきたこと。ウェブメディアの記者と関係をよくしたいという個人的な欲。組織に報告することで私自身の立場を評価してもらおうと考えた。公益通報には該当しないと私自身は考えている。」と述べました。
その上で、「個人情報を流出させた方々に直接謝罪に行くことができずに、皆さんの前で申し上げることしかできない。その方々には謝って許されることではないと考えているが、申し訳ございませんでしたとしか言うことができない。本当に申し訳ありませんでした。」と深く頭を下げ謝罪の言葉を述べました。
(南日本放送の記事から引用)


鹿児島県警の問題はこれまで当ブログで書いてきたとおりであり、本件の判決によって何かが解決したわけではありません
権力を握った警察組織が法令を無視し、警察官と利害を共有する人たちのため犯罪を隠蔽するような真似を繰り返している疑いがあります。誰もその責任を取らず、従来の姿勢のまま権力装置として動き続けるのでしょう
警察庁も特別監査を実施したものの、鹿児島県警本部長の更迭には至らず、いわば鹿児島県警の異常な組織運営にお墨付きを与えるようなものです
現在、国会は休会中ですが、必要があれば委員会を開いて質疑応答の機会を求められます。与野党とも、鹿児島県警の在り方について委員会審議を求める気はないのでしょうか?何のために国会議員のバッジをつけているのか、と言いたくなります

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