銀座時計店強盗 梓沢被告に懲役10年判決

2023年5月、銀座の時計店に仮面を被った強盗が白昼堂々と押し込み、バールでショーケースを破壊して高級時計を盗む事件がありました
実行犯として逮捕されたのはいずれも横浜市内に住む少年で、いわゆる指示役に命じられ強盗に手を染めたと明らかになっています
設楽ブライソン龍被告(19)と鳥居聖真被告(18)に対して東京地裁は懲役4年6月の判決を言い渡しています(求刑は懲役7年)。16歳の少年は少年院送致となりました
梓沢竜磨被告(当時19)は銀座事件だけでなく、岐阜県大垣市の民家に押し込んだ強盗事件への関与があり、昨日岐阜地裁で懲役10年(求刑は懲役13年)の判決が言い渡されています


東京・銀座の高級時計店で昨年5月、3億円相当の腕時計などが奪われた事件に関与したとして、強盗罪などに問われた無職梓沢竜磨被告(20)の裁判員裁判の判決が10日、岐阜地裁であった。村瀬賢裕裁判長は「実行部隊4人の中で中心的な役割を果たした」として、懲役10年(求刑懲役13年)を言い渡した。
同被告は実名報道が可能な「特定少年」に当たるとして起訴時に氏名が公表された。
村瀬裁判長は判決で、銀座の事件について「白昼堂々と行われた犯行で、一般人に恐怖心を与えるなど社会的影響も大きい」と指摘。ほかに関与していた岐阜県大垣市での強盗致傷事件では「自らの判断で、電話で(実行役に)具体的な指示を出すなど、単なる伝達役以上の役割を果たした」と述べた。
判決によると、梓沢被告は他の実行役らと共謀。昨年5月8日、銀座の高級時計店に侵入し、ショーケースをバールで破壊して腕時計など74点(販売価格計約3億850万円)を強奪したほか、その6日前にも大垣市内の民家に侵入し、男性の顔や脇腹を殴るなどして2カ月のけがをさせた上、現金約2200万円が入った金庫を奪った。
(時事通信の記事から引用)


18歳や19歳で強盗事件に関わるようになったのですから、それぞれに事情や背景があります。ここでは設楽ブライソン被告の生い立ちについての報道から引用します


「裁判には冒頭から通訳担当の職員も参加し、裁判官の説明から起訴内容に至るまですべて英語で被告に伝達していました。それもそのはず。彼は幼稚園、小学校時代のほとんどを海外で暮らしていて、日本語は不慣れ。彼の母親もこの環境が結果として息子が強盗事件を起こす土壌を生んでしまったと涙ながらに証言しています」(同)
出身地こそ日本の設楽被告だが、元アメリカ兵という父の影響から幼稚園時代はアメリカ・カリフォルニアで過ごしている。
その後、小学1年の頃に一時期的に日本へ帰国するが、翌年には再びカルフォルニアへ戻り、すぐに中東のクウェートに移り住む。一家がクウェートへと引っ越したのは、父親のアルコール中毒が原因だったという。
「被告の母親は、父親がアメリカ兵として軍に従事した経験からPTSDを発症し、以降は突然泣き出したり、暴れたりする症状が見られ、アルコールへと溺れていったと当時を回想。酒の量が増えるにつれ、被告を泣くまで羽交い絞めにしたり、息子の首を絞めることもあったといいます。
クウェートはイスラム教が特に厳格な地域で、お酒の持ち込みはたとえ外国人であっても禁止されている。中東を選んだのは、そんな父親からアルコールを切り離す目的でした。また父親は幼い被告に対して『男なら強くて当たり前』『問題は自分で解決しろ』と再三に渡って教えていたそうです」(同)
クウェートでは英語の使えるホームスクールに通っていたという被告。しかし、異国での日々は彼にとって苦痛と呼べるものだった――。
「クウェートでは厳格なキリスト教の学校に通っていました。先生がいじわるで顔を平手打ちされたり、やってもないことで木の棒で叩かれることもあった。父がアルコール中毒で厳しい人で、家で体罰も受けました。相談相手はいませんでした」(被告の証言)
小学5年生頃になると、母と妹は日本へと移住。一方、被告は父とともにアメリカ・オクラホマへと渡るが、父親のアルコール中毒は依然として治らず、被告は養父母の元で育てられることとなる。
「父は当時、彼女と暮らしていました。会うのは週に2~3回。週末が多かったです。父はお酒を飲まないと良い人。ただ飲むと狂暴になる。私が指摘すると殴ったり、蹴ったりされました。命の危機を感じたこともあります。『殺してやるぞ』と言われたこともあった」(同)
日本への引っ越しは、そんな矢先に提案されたことだったという。
(以下、略。現代ビジネスの記事から引用)


英語で生活していたブライソン被告が来日し、日本の中学校に通い始めても学校に馴染めるはずもなく、不登校となり不良交友に落ちていくのは当然の帰結なのかもしれません
ただ、そうした環境にあったとしても強盗が容認されたりはしません。犯行に加担したのは事実ですから、刑罰を受けるのは当然です
他の被告たちにもそれぞれ事情があったのでしょう。ただ、それはまだ別の話です
ブライソン被告の生い立ちを公判の場で明かしたのは、もちろん情状酌量を狙った法廷戦術であり、少しでも刑の軽減に資する目的があっての上です
裁判官も同情はするでしょうが、だからといって過度に刑罰を軽くしたりはしません。求刑が懲役7年で判決が懲役4年6月ですから、従犯という立場を考慮したものと思われます

(関連記事)
銀座時計店強盗 18歳被告に懲役4年6月判決
銀座時計店強盗 18歳少年に懲役7年求刑
銀座時計店強盗 大垣での強盗事件にも関与
銀座時計店強盗 逮捕少年は顔見知り
銀座時計店強盗 犯人は16歳から19歳
厚木の貴金属店強盗 19歳被告に懲役6年判決
ルフィ強盗団 伊藤一輝被告に懲役12年判決
川崎時計店強盗 強盗する意志なかったと主張
強盗団 同じ店に買い取り依頼で4人逮捕
ルフィ強盗団 狛江事件の19歳氏名公表
ルフィ強盗団 実報酬ゼロも懲役10年判決
ルフィ強盗団 狛江事件容疑者起訴
ルフィ強盗団 狛江強盗殺人の実行役逮捕
狛江強盗殺人 指示役はフィリピンに
狛江強盗殺人 西日本でも強盗繰り返す
狛江強盗殺人 犯人は7人グループ?
狛江強盗殺人 90歳被害者を殴り殺す
千葉の高校生4人 強盗で逮捕
天王寺マンション強盗事件 犯人6人が出頭
闇バイトに手を出す若者
「闇バイト」で強盗が増える実態