和歌山カレー事件 3度目の再審請求
1998年7月、和歌山県で起きたいわゆる「毒入りカレー事件」では、林真須美死刑囚の刑が確定しています。が、死刑判決を不服としてこれまで2度、再審の申し立てをしてきました
2度目の再審請求では元裁判官である弁護士がつき、「死刑判決はあまりに杜撰」だと原判決を批判した上で和歌山地裁での審議に臨んだのですが、棄却されています
それでも今回、3度目の再審請求を申し立てると報じられています
再審請求はあくまでやり直し裁判(再審)ではなく、再審を行うかどうかの判断を求めるものです。なので、再審請求が確定し、そこからあらためてやり直し裁判が始まります
平成10年に和歌山市で4人が死亡した「毒物カレー事件」で、殺人などの罪で死刑が確定した林真須美死刑囚が、再審=裁判のやり直しを求め、和歌山地方裁判所に3回目となる申し立てを行いました。
26年前の平成10年(1998年)7月、和歌山市園部の夏祭りの会場で、カレーライスを食べた4人が死亡し、63人がヒ素中毒となった「毒物カレー事件」では、近くに住む林真須美死刑囚(62)が殺人などの罪に問われ、平成21年に死刑が確定しました。
弁護団は、今月5日、事実認定に疑いが生じる新たな証拠が見つかったとして、和歌山地方裁判所に3回目となる再審の申し立てを行いました。
弁護団によりますと、有罪の決め手となった現場で検出されたヒ素と林死刑囚の自宅などにあったヒ素が同じだとする鑑定結果や、林死刑囚の髪の毛からヒ素が検出されたという鑑定結果に誤りがあったと主張しています。
また、不審な行動を見たとする近隣住民の証言は、木の枝や葉で遮られて目撃自体が不可能だったとして、当時の航空写真を新たな証拠として示しています。
林死刑囚は3年前、「第三者の犯行である証拠が見つかった」などとして、和歌山地方裁判所に再審の申し立てを行い、去年、棄却され、大阪高等裁判所に即時抗告しています。
(NHKの記事から引用)
死刑判決への批判はいろいろあるわけですが、単に死刑判決を批判するだけでは再審は実現しません。原判決を覆すだけの証言、証拠があってこそ再審の扉が開かれます
原判決の批判の中で、「犯行動機が不明だ」と指摘する報道がこれまでいくつもありました。犯行動機については林真須美死刑囚が犯行そのものを否定していますので、動機を外部の人間(検事、判事)が特定できるはずがありません
上記の記事では「第三者による犯行である証拠が見つかった」として行われた第二再審請求にも触れています。しかし、逮捕もしていない第三者の犯行動機まで特定できているのかは疑問です。怨恨や金銭目的でなければ、何らかの偶発的な理由となりますが、そうなると単なる憶測に過ぎないのではないか、とのツッコミが入るでしょう
さて、3度目となる再審請求は「原判決にあるヒ素鑑定は誤り」と指摘する内容です。が、これも過去の再審請求で挙げたものと同じ内容ではないか、と思われます(違っていたら自分の誤りです)
カレーに混入されたヒ素と、林真須美宅で発見されたヒ素を同一にものとした原判決の鑑定が誤りだ、として以前にも再審請求していましたが、「それだけで林真須美被告の犯行ではない、と断定するには至らない」と門前払いされています
これだけだと話が散漫で何が何やら、と思われる方が多いと思います
実は「第三者による犯行説」と「カレーに混入されたヒ素が林家にあったヒ素とは別物」という話は結びついているのです
この2つを結びつけている仮説が以前からささやかれており、カレー鍋に混入されたヒ素は地元の自治体(町内会?)で配布した害虫駆除用の薬剤で、夏祭りのカレーを甘口にするためこどもが砂糖と間違えてこの薬剤をカレー鍋に混入させた…と噂されています
ただし、どこの誰がカレー鍋に害虫駆除用の薬剤を入れたのか、特定できるかどうかは別の話です
この仮説が再審請求の内容と一致するかどうかは確認できていないので、そこは保留しておいてください
なお、確定死刑囚の多くが再審請求をしている実態があるのですが、これは冤罪だからという理由ではなく、再審請求をしているうちは死刑が執行されないだろう、との予測の上で、死刑執行を回避するために再審請求をしているのが本当のところです
しかし、ここ最近は再審請求中でも死刑が執行されるケースが増え、いわゆる死刑執行回避を目的とした再審請求は容認しない、とする法務省の考えが前面に現れています
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