宇佐市強盗殺人 佐藤被告に死刑判決
本日は重大事件の判決が相次ぎましたので、頑張って書きます
廿日市の大学生殺人は懲役30年の判決が下され、本件の宇佐市強盗殺人では死刑判決が下されました
事件の経緯は当ブログでこれまでに触れたところですので割愛し、判決を中心に言及します
求刑通りの死刑判決
判決理由では、佐藤被告の車から被害者のDNAが採取されたことを指摘。車を使っていたのは被告だと推認でき、犯行によって生じたDNAが被告の車に持ち込まれたと考えられ、犯人性を強く推認させると指摘。被告人が犯人だと認められ、合理的な疑いを挟む余地はない。反省の態度は示されておらず刑事責任は極めて重い。などとして検察側の求刑通り、佐藤被告に対し死刑を言い渡し、佐藤被告の無罪の主張は退けられました。
量刑の理由(一部抜粋)
・被害者宅に侵入当初から殺害を計画していたものではなかったのであるから、高子さんに出くわした際などの心理状態は少なからず切迫したものと考えられ、各殺害態様に相応の影響が及んだ可能性は否定できない。
・しかし、その点を踏まえて検討しても、防御創が少なく早々に反抗を抑圧されていたと考えられる被害者らに対する殺害行為の態様は、瀕死の状態となった後も攻撃を加え続けてとどめを刺すという、極めて強固な殺意に基づく執拗かつ残酷なものであり、生命侵害の危険性が高く、生命軽視の度合いが甚だしい。
・もとより何ら落ち度のない2名の生命が奪われた結果は重大。遺族らの悲痛な感情は十分理解できる。
大分地裁の裁判員裁判で初の死刑判決
・被告は、自身の借金や苦しい経済状況について、妻や両親に打ち明け、母に相談すれば一定の援助を得ることが可能であったにもかかわらず、それをしないまま、借入や利息分の返済を繰り返す場当たり的な生活を送った末、面識のない被害者方から金品を窃取して利息分の返済に充てる資金等を得ようとしたものであり、その自己中心的で身勝手な動機に酌量の余地はない。
・被告は被害者(高子さん)と出くわした際、逃走することが可能であったのに、その選択をせず、居直り強盗を意図するとともに、口封じのため、高子に対する殺害行為に着手し、その後帰宅した被害者(博之さん)に対しても、同様の目的で、殺害行為に及んだものであり、かかる意思決定、生命軽視の態度は強い社会的非難に値する。
・被告は被害者を殺害した直後から種々の罪証隠滅工作に及び、当公判廷においても不合理な弁解を続け、反省の態度を示していないのであって、犯行後の事情に何ら有利に斟酌すべき点がない。
・以上の諸事情に照らすと、被告の刑事責任は極めて重大といわざるを得ない。
・死刑は究極の刑罰であり、その適用は慎重に行わなければならないという観点および公平性の観点を踏まえ、本件犯行は侵入当初から殺害を計画していたものではないこと、前科がなかったことなど、酌むべき事情を十分に考慮しても、死刑を選択することは真にやむを得ない。
(テレビ大分の記事から引用)
判決はほぼ検察の立証を認める内容です
補足しておきますと、被害者の遺体には凶器から身を守ろうとしてできる腕の防御創がほとんどなく、最初の数撃で死亡させたと推測されるものの、遺体には数多くの傷があり、複数人が攻撃したかのように偽装しようとしたのでしょう。単独での強盗ですから、まず最初に住人を確実に殺し、その後で金品を物色しようと考え、実行したものと考えられます。複数名の犯行ならまず住人に危害を加えるぞと脅し、金を出すよう迫るはずです。数的優位で住人を屈服させられるからです。単独犯の場合は反撃される可能性がありますので、金を出せと脅すより殺害を優先すると一般論として考えられます
ただ、佐藤被告が奪った金は8万円ほどであり、160万円もの借金を抱えていた佐藤被告にとっては強盗をやって(しかも2人殺害して)手にした分としてはあまりに少ない結果でした
そして公判では架空のプロレスマスク集団の犯行だと主張し、自分は脅されて車の運転をしただけで強盗にも殺人にも関与していないとの言い逃れを続けてきました
大分地裁の死刑判決を受け、弁護人はただちに控訴の手続きをしたと報じられており、福岡高裁に場を移して控訴審が行われます。が、死刑判決が覆ったりはしないでしょう
おそらく佐藤被告の親族も呆れているのではないか、と思います
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