廿日市大学生殺人 保険金殺人と認め懲役３０年判決
昨日、当ブログで取り上げた廿日市の大学生殺人で広島地裁は保険金目当ての殺人と認定し、南波大祐被告に求刑通り懲役３０年の判決を言い渡しています
大学生を替え玉に仕立て保険金詐取を計画し、スズメバチに刺されたように見せかけようとわざわざスズメバチの巣を採取したり、ムカデに噛まれたように見せかけようとムカデを採取したりと、あれこれ策を講じた南波被告ですが、完全犯罪などそうそうできるものではありません
最終的には大学生を睡眠導入剤で眠らせ、カテーテルを使ってアルコール度数９０のスピリタスを腸内に流し入れる犯行に踏み切ったものの、救急車で搬送させた病院に、危篤の知らせを聞いて駆けつけた南波大祐被告の母親が駆けつけ、「自分の息子ではない」と申し立てたため、替え玉殺人だと露見してしまいました
広島県廿日市市のホテルで男子大学生に注射器でアルコールを摂取させ殺害した罪などに問われている男に、広島地裁は2日、懲役30年の判決を言い渡しました。
起訴状などによりますと、広島市西区の職業訓練生・南波大祐被告（33）は、愛知県の大学生・安藤魁人さん（当時21）に睡眠導入剤を混入させた飲食物を摂取させ、廿日市市のホテルに連れ込み、注射器でアルコールを摂取させて、吐しゃ物の誤嚥による窒息で殺害したなどとされています。
初公判で南波被告は、「すべて黙秘いたします」と話していました。
検察側は動機について、「自身に多額の生命保険を掛け、その受取人を弟にしていた。そのうえで、替え玉つまり”ニセモノ”の南波大祐を仕立て上げて殺すことにした」などと指摘。「被害者に落ち度はなく、理不尽に全てを奪われ、無念さは想像もつかない」として、有期刑の上限となる懲役30年を求刑していました。
一方、弁護側は、替え玉保険金殺人について、「常識的に考えて不可能で、不可能なことを計画していたとはいえない」などと主張。南波被告がひそかに安藤さんに睡眠導入剤を摂取させたことなどは認めつつも、被告による殺人が立証できるのかなどを争う姿勢を見せていました。
■下された懲役30年の判決 裁判所の判断は
迎えた2日の判決。広島地裁の石井寛裁判長は、事件後に南波被告が所持していた注射器に、被害者の安藤さんのDNA型と一致する付着物が検出されたことや、救急搬送時に安藤さんの口から酒臭がしなかったなどと指摘。さらに、事件当日まで、「保険金殺人 バレない」「替え玉殺人事件」「最強 睡眠薬」「アルコール致死量」などと検索していることなどから、「替え玉保険金目的の殺意が認められる」と判断しました。
そのうえで、「金目当てに人命を奪うという極めて悪質な事案で、極めて強い殺意の下で行われた計画的殺人である。何の落ち度もない21歳と若い被害者の命を奪ったことは取り返しのつかない重大なものである」と断じました。
また、「同種事例を参考に検討すると、殺意の強さ等に照らして、無期懲役刑の選択が全く視野に入らない事案ではない」と指摘。一方で、「保険金の受領できる現実的可能性が低いという計画のずさんさを含めた犯行全体を見ると、無期懲役刑を選択するには至らない」とし、求刑通り懲役30年を言い渡しました。
（中国放送の記事から引用）
警察の取り調べでも公判でも南波被告は黙秘をしていました。ただ、南波被告の自宅を捜索した警察は高額の死亡保険を契約した保険契約証書を発見したはずで、早い段階から保険金目当ての替え玉殺人と見通しを立てたはずです。黙秘を続ければいつかは支援者が集まり、「南波くんは無罪だ。南波くんを救え」と支援の輪が広がるとでも思ったのでしょうか？
冤罪との主張が通用するはずなど皆無なのですが
あるいは犯行の手口を模索する中で、南波被告はスマートフォンを使って５００件もの検索を繰り返していたようですが、検索履歴を消してもそれを復元できると知らなかったのでしょうか？
あまりに杜撰な犯行です
被害者である愛知県在住の大学生と、広島に住む南波被告がどのような関係であったのか、詳細は不明です。ただ、大学生は宗教活動に熱心だったとの報道があり、いわゆる布教活動のためさまざまな人に声をかけており、その中にたまたま南波被告がいたのかもしれません
南波被告が宗教に関心を抱いていた可能性はなく、替え玉殺人に利用しようと思い立ち、宗教の話を聞くフリをして広島に呼んだのでしょう
余談ですが、保険会社は保険金詐欺を防ぐため、不審な契約についてはこれを受理しないよう注意を払っています。特に高額の死亡保険は支払われる契約や、契約直後に死亡するケースは怪しまれます。事件性が考えられるような死亡事例、負傷事例は保険会社の調査員が徹底的に調べ、疑わしい場合は保険金の支払いを拒否します。この調査員たちは警察OBですから、まさの犯罪捜査のごとく疑いの目で見られるのです
死亡保険金の支払いを拒否された場合、保険会社を相手取って民事訴訟を起こすしかありません。最高裁まで争うことを考えると時間も費用もかかります
なので刑事事件の捜査をかいくぐり、さらに保険会社調査員の目を欺き、なおかつ民事訴訟でも勝たないと保険金を騙し取れないわけです。保険金詐欺はテレビドラマや推理小説で描かれるより、はるかにハードルが高いのです
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