ススキノ首なし遺体 田村母の公判で判ったこと

ススキノのホテルで首なし遺体が発見された事件で、田村親子のうち、母親である田村浩子被告の公判が続いています
公判での証言や調書の朗読で判明した事実がいくつかありましたので、取り上げます
証人として出廷した父親の田村修被告は瑠奈被告についてあれこれ語っているのですが、冷静かつ端的に話をしており、およそ包み隠す気がないのだろうと思われます


起訴状によりますと、田村浩子被告(61)は2023年7月、瑠奈被告が殺害し、切断した当時62歳の男性の頭部を、自宅に隠すことを認めるなどした死体遺棄ほう助などの罪に問われています。
午後3時半ごろ、父親の修被告が、弁護人側の証人として出廷しました。
修被告は落ち着いた雰囲気で、まっすぐに前を見据えて法廷に入りました。
弁護側が「遺族に対して何かありますか」と聞くと、修被告は「言葉ではとても言い表せない。取り返しのつかないことになってしまい、申し訳ない気持ちです」と語りました。
その後、修被告は事件当時の状況などを証言しました。(やりとりを一部抜粋)
▼瑠奈被告に殺害の意思はあったと思うか。
ありません。
▼いつ頭部があることを知ったか。
7月2日未明、すすきのから家に着いた時に、瑠奈被告が「首拾った」と言って、初めて知った。
▼夫婦の仲は?
私は浩子被告のことを信頼し尊敬している。
▼頭部を置いていいと言ったことはあるか。
ありません。
▼頭部を切断したと具体的に聞いたことはあるか。
ありません。
▼なぜ通報しなかったか。
現場まで自家用車で行っているので、すぐに娘が逮捕されると思った。私の手で警察に突き出すのは娘を裏切ることになる。娘が抱えていることを受け止めきれず、裏切る行為になると思った。娘がもっと壊れてしまう、追い詰めたくなかった。
▼いつ警察の捜査の手が及んでいると感じたか。
浩子被告との会話で、「私服警察に尾行されている」「ゴミステーションから私たちのごみを持って行っている」などと話した。
(中略)
▼両親は瑠奈被告の奴隷のような立場だと、検察が主張していることについて
娘の心がこれ以上、壊れないようにするにはどう接していくのか考えて行動している。無理強いされたり、支配されているということはない。
▼両親が娘を甘やかして好き勝手させていたという主張について
妄想が出るまでは、それなりにしつけをしてきたつもり。本人の精神状態から追い詰められると、取り返しのつかないことになるので言えなかった。
▼瑠奈被告が言うことを断ることもあったのか。
娘が「生きているのがつらい、首を絞めて殺してくれと言われ取り乱し半泣きだった。私は「できません」と答えた。
(STV札幌テレビの記事から一部を引用)

読み上げられた被害者妻の調書
開廷すると、証拠調べが行われ、検察側が請求した証拠として被害男性の妻の調書が読み上げられた。
「夫が殺されたと知った時の気持ちを話します。最後に言葉を交わしたのは7月1日の朝です。いつもと変わらない朝でした。長男が夕方に来ることになっていました。仕事に出る時、夫に3人でご飯をするかと聞いたら『今日出かけるからいらないわ』と言われ『わかった』と返事をしました」(被害者妻の供述調書より)
3~4年前から被害男性は週末に女装をするようになったという。ススキノに遊びにいく時にはいつも泊まりがけだったといい、妻は“いつものこと”と気にもとめず、夫を送り出した。しかし翌2日の夜にも帰らず、さらに3日朝になっても夫が帰った様子はない。夫の勤務先から電話がかかってきて「出勤していない」と言われたが、事件に巻き込まれていると頭によぎることもなかった。
3日の夜も帰らず、義理の姉夫婦と警察で事情を説明した。すると、「(札幌)中央署の刑事が来るのを待ってて」と言われ、別の小さな部屋に通されたという。
「防犯カメラの映像を3~4枚見せられて、そこにはウィッグとスカートの、夫によく似た人が映っていました。背格好や立ち姿も似ていて、家から女装して出る時の化粧に見えたし、全体的に、あっ、パパだろうなと思う人が映っていました」(同)
(NEWSポストセブンの記事から一部を引用)


まず、被害者は女装愛好者であり札幌市から離れた恵庭市在住でした。ナイトクラブなどで遊べば夜はタクシーで帰宅するか、朝帰りでしょう。しばしば朝帰りをする夫にして父親を家族はどう思っていたのか、が気になっていました
上記の記事を読む限り、「女装は周りの人たちを楽しませるため、ウケ狙いでやっていた」というのが妻の認識です。夫が夜遊びを繰り返し、複数の女性と乱交関係にあったとは想像もしていなかったとすれば、ちょっと不可解です。自らの性癖と女性遍歴を隠すため、家では良き夫、良き父親を装っていたのかもしれませんが
女性遍歴を繰り返せばトラブルも起こり得るわけですが、家族には知られないままだったのでしょうか?
事件の原因を考えるなら、被害者の夜遊びが原因になったのは明らかです。瑠奈被告と性交するにしても、約束通り避妊をしていれば殺人に発展することはなかったでしょう
しかも、避妊せずの性交で瑠奈被告とトラブルになった後も、被害者は瑠奈被告に執心し、家を捜して出向いたりしています。瑠奈被告に謝罪するつもりだったのか、あるいは瑠奈被告を自分のセックスフレンドとして手なづけようとしたのかは不明ですが
他方で、自分の生活領域の中にまで踏み込んできた被害者に、瑠奈被告の怒りが爆発したものと想像します
さて、父親の修被告の方ですが、犯行前にも精神科受診を瑠奈被告に薦めており、父親として精神科医として瑠奈被告をどうにかしようと思い、考えを巡らせていたものと推測されます。溺愛したまま、瑠奈被告の言いなりになっていた…わけではないのでしょう
しかし、瑠奈被告は精神科受診を拒否し、「独房のようなところにわたしを閉じ込めるのか」と父親をなじっています
瑠奈被告にすれば父親から見捨てられるのがもっとも恐怖であり、絶望だったに違いありません。瑠奈被告は父親を一方的に使役していたように映りますが、反面、父親がどこまで自分を愛しているか試そうとする意図もあったのでしょう。この異常といえる親子関係こそ、身動きできない状況に嵌まり込んでしまった形であり、到底、修被告の手に負えないものだったはずです
ただ、それでも瑠奈被告を強制入院させられず、ずるずると悪化の一途をたどってしまったものと考えます

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