廿日市大学生殺人 保険金目当の犯行で懲役30年求刑

2021年11月、広島県廿日市のラブホテルで男子大学生が死亡する事件があり、行動をともにしていた南波大祐被告が殺人の容疑者として逮捕されています。当初は、「男2人でラブホテルにいた」との報道から、同性愛関係のもつれなのかと思ったものでした
しかし、裁判の中で南波被告による保険金殺人計画だったと明かされ、驚きました。判決は明日、7月2日に予定されているのですが、その前に事件のあらましを書いておきます
南波被告は男子大学生を自分の替え玉として利用する計画を立て、死亡時に6億円もの保険金が支払われる生命保険契約を結びます。保険金が高額になれば、毎月支払う掛金も高額になります。なので、生命保険契約後できるだけ速やかに大学生を殺害する必要がありました
そこで、契約からすぐに死亡しても刑事事件として疑われないケースを調べ、蜂に刺された場合やムカデに噛まれた場合など想定し、スズメバチの巣を採取するなど準備をしたと、検察は起訴状で明らかにしています
南波被告はさまざまな殺害方法、保険金殺人と疑われない手口など、実に500件も検索していたのだとか


3年前、廿日市市のホテルで知人の大学生にアルコールを摂取させ、意識障害を生じさせて殺害した罪などに問われている33歳の被告の裁判で、検察は「保険金目的の動機は極めて悪質だ」として懲役30年を求刑しました。
これに対し被告の弁護士は、「検察が殺人の目的を立証できているとはいえない」などと主張しました。
広島市西区の南波大祐被告(33)は、3年前、知人の21歳の男子大学生に睡眠導入剤を混入させた飲食物を摂取させたうえ、廿日市市内のホテルに連れ込み、注射器を使ってアルコールを摂取させ、意識障害を生じさせて殺害したなどとして、殺人などの罪に問われています。
広島地方裁判所で開かれた25日の裁判で、検察は「遺体の状況などから、被告がホテルに持ち込んだ注射器やカテーテルを使ってアルコールを注入したことで大学生が死亡したことは明らかだ。『なりすまし、殺人』や『事故死、みせかけ』などと検索していた記録もあり、被告が自身の『替え玉』として大学生を殺害したと認められる。殺害は計画的で、保険金目的の動機は極めて悪質だ」として、懲役30年を求刑しました。
これに対し被告の弁護士は、「検索履歴から殺人の目的を推認するのは論理の飛躍がある。救急隊員が到着した際、被告は大学生に心臓マッサージを行っていたことから想定外のことが起きていた可能性があり、検察が殺人の目的を立証できているとはいえない」と主張しました。
これまでの裁判で被告は黙秘していましたが、裁判の最後に「遺族の皆さんにおわび申し上げます。犯した罪の重さにしんしに向き合って生きていきたい」などと述べました。
裁判は25日結審し、判決は7月2日に言い渡される予定です。
25日の裁判では、被害者である大学生の母親が、周囲から見えないようついたてで仕切られた中で、「誰にでも心優しく、みんなの幸せを願っていた息子の未来は奪われてしまった。何をしても息子はかえってこない。被告には本当に反省して罪を償って欲しい」と意見を述べました。
南波被告は、大学生の母親の意見陳述や検察官による求刑を、じっと前を見て聞いていました。
(NHKの記事から引用)


あれこれ殺害のための手段を検討した南波被告は、最終的に記事にある通り男子学生にカテーテルを挿入し、アルコール度数90を超えるスピリタスを直接、腸内に流し込む方法で殺害しています。これは九州の看護師4人による夫殺害事件で使われた手口です。ブログ下段の(関連記事)の中に看護師4人による殺人事件に言及したものがありますので、関心のある方は一読ください
ただ、九州の事件はウィスキーだったのですが、本件ではスピリタスを使ったため腸の一部に穴ができてしまい、医師が不審感を抱いて殺人が疑われる結果になっています
高濃度のアルコール飲料で死亡させるつもりが、逆に疑いを招く結果になったのは皮肉です
また、ホテルから病院に救急搬送される際、男子大学生は替え玉として南波大祐の扱いでした。しかし、病院側が南波被告の実家に電話をし、急を聞いて駆けつけた南波被告の母親が遺体と対面し「自分の息子ではない」と申し出たため、南波被告の保険金詐欺は破綻します
逮捕時から公判に至るまで南波被告は黙秘を貫いたようです。が、上記のとおり最終陳述で被害者遺族への謝罪を口にしました。罪を認めた、のかどうかは判りません。明日の判決内容次第では控訴し、さらに争うつもりとも考えられます。保険金殺人を否定し、より刑の軽い傷害致死事件だと言い出す…可能性もあるのでしょう

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廿日市大学生殺人 保険金殺人と認め懲役30年判決
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/503844138.html
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