H3ロケット打ち上げ成功 地球観測衛星4号軌道へ

実用化に向けて足踏みをしていた次期主力ロケット「H3」の3号機が打ち上げに成功し、地球観測衛星「だいち4号」を所定の軌道に投入しています
現在使われている「だいち2号」は設計寿命を大幅に超過しており、いつ観測不能に陥ってもおかしくはない状況でした。本来なら「H3」の1号機で後継となる「だいち3号」を打ち上げ交替させるようていでしたが、「H3」1号機が打ち上げ後のトラブルで失われてしまったため、今回の打ち上げまで引き伸ばされていた格好です
これで「H2」ロケットから「H3」ロケットへの交替が実現し、今後の宇宙計画も進捗することでしょう


宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1日午後0時6分、国産の新型主力ロケット「H3」3号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから発射した。約17分後、搭載した地球観測衛星「だいち4号(ALOS―4)」を高度約613キロで切り離し、予定の軌道に投入。打ち上げは成功した。H3の成功は2機連続。1、2号機は試験機の位置付けだったが、今回の成功で実運用の段階に入る。
H3はJAXAと三菱重工業が共同開発した。2023年3月に打ち上げた初号機は電気系統のトラブルで2段目のエンジンに着火せず、発射後に空中で指令破壊。再発防止策を施し、今年2月に打ち上げた2号機は高い精度で成功していた。
3号機は全長57メートル、直径5・2メートル、重さ422トン。新開発の「LE―9」を含む2段式の主エンジンの他に、2本の補助ブースターを装着した。
軌道投入された「だいち4号」(約3トン)は、14年から運用中の球観測衛地星「だいち2号」の後継機。先進的なレーダーを搭載し、火山活動や地滑りなど地表面の異常を早期発見する役割が期待されている。総開発費は約320億円。
H3は今年度中に引退予定の現行主力機「H2A」に代わり、今後約20年間の日本の宇宙輸送の中心を担う。政府の情報収集衛星や、火星衛星から世界初のサンプルリターンを目指す「MMX」の無人探査機、月上空に建設される有人拠点「ゲートウェイ」に物資を補給する「HTV-X」などを宇宙に運ぶ計画がすでに決まっている。運用が安定した段階で打ち上げ事業はJAXAから三菱重工に移管される。
(毎日新聞の記事から引用)


アメリカではいくつもの民間企業がロケットの打ち上げに乗り出しており、NASAもこれら民間企業に衛星の打ち上げ業務を託すようになっています。中国は相変わらず野心的な計画を進めており、月の土壌を持ち帰るのに成功したのだとか
日本では今後、月面上に有人基地を設置するアルテミス計画への協力や、はやぶさ1号と2号で培った技術を用いて火星の衛星フォボスからサンプルリターンを目指す探査計画もあります。また乗用車やトラックの自動運転をサポートするための衛星測位システムとして、既存のGPSを補強しより精度の高い位置情報取得が可能となる天頂衛星も打ち上げるのでしょう
さて、日本をライバル視する韓国はどうするのでしょうか?いつものように、日本が衛星打ち上げに成功すると、「我が国も負けていないニダ」とばかりに韓国メディアも宇宙関連の記事を掲載するのが恒例です。数日のうちに、何か面白いことを言い出すのかもしれません
ここでは2022年6月の、「ヌリ号」発射成功後に韓国メディアが報じた「今後の計画」を紹介しておきます


100トンエンジン5基の韓国の次世代ロケット、2030年に月探査機打ち上げへ
韓国型ロケット「ヌリ号」が21日、2回目の飛行で成功を収めたことで、韓国の宇宙開発は新しい30年に向けて力強いスタートを切ることになった。韓国は自力でロケットを宇宙に打ち上げた10番目の国、1.5トンの実用衛星を打ち上げる能力を有した7番目の国となった。
(中略)
科技情通部は、ヌリ号を継ぐ「次世代ロケット開発事業」を推進している。ヌリ号だけでは月着陸船の自力発射、3トン級の大型衛星の自力発射など、第3次宇宙開発振興基本計画を実現するのに限界があるためだ。
現在進行中のこの事業が予備妥当性調査を通過すれば、来年から2031年までの9年間、1兆9330億ウォン(約2000億円)が投入され、液体酸素・ケロシン基盤の2段型ロケットが開発される。1段エンジンはヌリ号のエンジン(75トン)より大きい100トン級の液体エンジン5基を束ねるクラスタリング方式で設計され、2段エンジンは10トン級の液体エンジン2基で構成される。航宇研は今年「液体エンジン高性能化先行研究」に入り、100トン級の多段燃焼サイクルエンジンの主要な技術確保に乗り出した。次世代ロケットは2030年頃に打ち上げ予定の月探査機ロケットとしても使われる計画だ。
(ハンギョレ新聞の記事から引用)


相変わらず世界で何番目に人工衛星を打ち上げた国、などと順位を気にする内容です。そのような順位を気にする国など、世界中でも韓国だけだと思うます
今後は「ヌリ号」のエンジンを大型化し、推進力100トン級のエンジンを5つ束ねて打ち上げる計画だそうです。しかし、5つのエンジンが同じ程度の推力を発揮しないとロケットは明後日の方向目指して飛んで行きそうです。そのためには高度な工作精度が求められるのですが、大丈夫でしょうか?
5つあるエンジンの1つでも作動しなかったりすると、予定した軌道までロケットを飛ばすのは不可能です

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