上新電機元社員 女子高生強姦で懲役5年求刑
先月、当ブログで取り上げた上新電機元社員による女子高生強姦事件の公判で、検察は懲役5年を求刑し結審しています
朝の通学時間帯に、駅の多目的トイレに連れ込んで強姦するという凶悪な手口であり、被害者が受けた精神的衝撃は相当なものと思慮されます
懲役3年以下の求刑では執行猶予付き判決も考えられますが、懲役5年の求刑ともなれば判決で多少割り引いたところで、懲役4年の実刑は固いと推測されます
例によって性犯罪を中心に取り上げるライターの小川たまか氏の記事から、一部を引用させてもらいます
これまで行われた審議の中で大石被告は犯行がエスカレートした理由を「自分でもはっきりした答えが出ていない」「わからない」などと話していた。被告人側が用意した賠償金100万円は受け取られず、示談は成立していない。
父親の意見陳述
被告人側に遮蔽措置を立てず
被害者の両親はこれまで法廷で裁判を傍聴し、この日、父親は遮蔽措置の中から、母親は代理人弁護士による代読で意見陳述を行った。父親の遮蔽措置は本人の希望により傍聴席側のみに設けられ、被告人側には遮蔽がない異例の措置が取られた。被告人に対して顔を隠さず直接意見を述べたい意図があったと思われる。
父親は意見陳述事件があった日からこれまでを振り返り、「(大石被告は)自分や自分の家族のことを話すときは感情的になったのに、事件や(被害者である)娘について話すときは感情がないように見えた。結局娘のことを今も何も考えていないと感じる」と被告人への憤りを語った。
大石被告は被告人質問の際に、35年間勤めた会社を懲戒解雇処分になったことや、妻と離婚し、娘は破談となったことなどを聞かれて涙を見せていた。一方、自らの動機や被害者の心情について聞かれた際には、「わからない」「申し訳ない」など単純な回答に終始した。
父親は、なぜ犯行を起こしたのか「わからない」と言った被告人に対して「震えが止まらないほどの怒りを感じる。娘が抵抗しなかったから何をしてもいいと思ったのでしょう」と述べた。
母親の意見陳述
「氏名を知られても起訴を望んだ」
代理人弁護士が代読した母親の意見陳述では、被害者の性格について「自己主張が苦手で、極度に緊張しやすい」と語られた。事件時は声が出ず、体を動かすこともできなかったこと、降りるべき駅で降りられず、人が多く乗降するためやっと降りられた駅で被告人から多目的トイレに連れ込まれたことについても触れた。
さらに、被害者が起訴状に氏名が載る不安を押して起訴を望んだことが明かされた。この事件では被害者と被告人に面識がないため、被告人は被害者の名前を知らないが、起訴状には被害者氏名が載ってしまうためだ。
「警察から起訴するのなら起訴状に名前が載ると言われました。名前を知られれば、(被告人の出所後に)仕返しをされるかもしれない。裁判所は氏名を知られるというリスクがあっても起訴を望んだ娘の気持ちを汲んだ判決をしてほしい。考えられる限り思い刑罰を望みます」
被害者氏名が起訴状に載るこの問題は、今年の2月の刑事訴訟法の改正で見直されているが、この事件のように起訴状に氏名が載ることが被害者の負担になるケースはこれまでも多々あったと考えられる。
検察は「求刑5年」
検察は、犯行は悪質であり、1998年に痴漢行為で罰金刑となったことのある被告人は再犯の可能性も認められるとし、懲役5年を求刑。一方弁護側は、旧法の構成要件である「暴行・脅迫」がないことや、性交そのものは行っていないこと、再犯防止プログラムに望む意志を示していることなどを理由に「執行猶予付き判決を含めた温情判決」を求めた。
(以下、略)
大石哲也被告(56)は姉が立て替えた100万円で示談を求めたようですが、被害者側に拒絶されています
会社員だった大石被告が自分で示談金を用意できなかったのか、貯金もなかったのか、と疑問に思うわけですが、前回でも触れたように逮捕されたことによって離婚となり、妻から財産分与を迫られ示談金にも事欠く経済状態なのでしょう。上記の記事の中でも、大石被告逮捕により、娘の結婚が破談になったと書かれており、自分の家族をも不幸のドン底に叩き落としたわけです
会社の方は懲戒解雇でしょうから、退職金は出ません
こうした性犯罪の場合、弁護士が「示談金は100万円が相場です」と教えたりするのですが、裁判前に示談をまとめたいのなら200万円とか300万円を払う必要があります。それで示談書を取り交わし、執行猶予付き判決になるなら安いものかもしれません
さて、大石被告は性依存症の治療プログラムを受講するので執行猶予付き判決にしてくれと望んでいるわけですが、示談が成立していない以上は無理です
小川たまか氏は大石被告の「認知の歪み」が気になると書いているのですが、それが昨今の性犯罪に対する一つの公式見解ではあるにせよ、「認知の歪み」以外にも幾つかの問題を抱えている人物ではないのか、と思われてなりません
当ブログで性犯罪を取り上げるケースが多くあり、ここ最近では性依存症の認知行動療法を受けるから減刑してくれ、と申し立てている裁判例を幾つも紹介しています。が、自分は認知行動療法ですべてが解決できるとは考えませんし、そもそも「認知の歪み」だけで性犯罪に走るとも考えません
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