妻子3人殺害の父親 初公判で心神耗弱主張
愛知県扶桑町の自宅などで、妻と子ども2人を殺害した罪に問われている田中大介被告(44)の初公判が名古屋地裁であり、田中被告は起訴内容を認めています。ただ、弁護人は事件当時、妻との離婚問題でモメていた田中被告は妄想性障害があり、心神耗弱状態だったとして責任能力を争う姿勢を示しています
2022年8月、愛知県犬山市などで妻と子供の合わせて3人を殺害した罪に問われている父親の裁判が6月25日に行われ、検察が指摘した動機はある「思い込み」でした。
上下紺色のスーツ姿で法廷に現れた田中大介被告(44)は、妻と小学生のきょうだいあわせて3人を殺害した罪に問われています。
事件が起きたのは2022年8月、犬山市内の山林に放置された車の中から、田中被告の長女、千結さん(当時9)と長男、十楽くん(当時6)が首を絞められるなどして殺害されているのが見つかりました。
さらに、扶桑町の自宅でも妻の智子さん(当時42)が遺体で見つかり、4日後に山林に潜伏していた田中被告が、警察に出頭し逮捕されました。
事件から2年近くが経った25日の初公判。冒頭陳述で検察側は犯行の動機となった思い込みについて指摘しました。
<検察官>
「被告人は、智子さんが自分の浮気を疑って離婚するためにスマホを不正に操作し、盗聴や盗撮をしていると思い込むようになった」
スマホや自宅に盗聴器が仕掛けられていると疑った田中被告は、智子さんと口論になり殺害。
その後、子供たちに智子さん殺害を伝え『人殺しの子として生きるのは辛いから、一緒に死ぬか』と迫ったと主張しました。
田中被告は起訴内容を認めましたが、弁護人は「妄想性障害で心神耗弱だった」と責任能力について争う姿勢を示しています。
(東海テレビの記事から引用)
事件から初公判まで相当時間が経過していますので、その間に検察は精神鑑定を実施しており、刑事責任能力に問題はないと判断した上で公判を迎えているはずです
なので、弁護人の言うところの「犯行当時は妄想性障害で心神耗弱だった」との主張を裁判官が採用する可能性は極めて低いものと思われます。今後の公判で心神耗弱を裏付けるような鑑定医の発言が得られれば別ですが
あるいは事件前、田中被告が離婚問題で精神的にまいっており、仕事も手につかず憔悴しきった様子だったと証言する人物がいるとか、田中被告の自宅に監視カメラや盗聴器が取り付けられていた事実があれば、話は違ってきます
ただ、田中被告は電気通信工事屋で、まったくの素人というわけではありません。自宅に監視カメラなど取り付けられていれば、それを発見できたと思うのですが、どうなのでしょう。単なる妄想なのか、監視カメラや盗聴器が現に存在していたのか?
それでも夫婦間の不和を口実にこどもの命を奪う権利など、親にはありません。田中被告が事前にこどもたちに「一緒に死ぬか?」と意向を確認した旨が記事には書かれていますが、当時9歳と6歳のこどもたちに十分な判断ができたのでしょうか?
本来ならば妻とこども2人を殺害した田中被告には死刑が求刑されるところです。が、最近の判例でこどもを3人殺害した父親が無期懲役判決を受けたケースがあり、本件もただちに死刑と断定できるものではありません
追記:名古屋地検は田中被告に対し、懲役30年を求刑しています。妄想性障害はあっても限定的であり、刑事責任能力に問題はなかったとしています
(関連記事)
妻子3人殺害の男を逮捕 心中か?
こども3人殺害した父親 無期懲役確定
福岡母子3人殺害事件を考える 死刑判決
福岡母子3人殺害事件を考える 初公判で無罪主張
福岡母子3人殺害事件を考える こども殺害容疑で再逮捕
福岡母子3人殺害事件を考える 中田容疑者黙秘
福岡母子3人殺害事件を考える 夫の警察官を逮捕
日立母子殺害を考える 小松被告に死刑判決
日立母子殺害を考える 死刑求刑
日立母子6人殺害を考える 無罪主張と処刑願望と
日立母子6人殺害を考える 初公判で無罪主張
日立母子6人殺害を考える 初公判目前
日立市母子6人殺害を考える 記憶喪失で無罪?
日立市母子6人殺害を考える 犯行の背景は離婚話?
日立市母子6人殺害を考える 小松博文容疑者とは
品川一家殺害 「出ていけ」と言われた夫
品川一家4人殺害 父親が無理心中図ったか?